Marilyn,The Last Sessionsという2008年フランスで制作されたドキュメンタリー映画があって、全部で2部構成、93分を見た。マリリンモンローはご存じのように1962年、36歳で死因不明で亡くなった。自殺説・他殺説入り乱れている。

この映画は、2005年、マリリンの死から43年後、ジョン・マイナーという老人がロスアンゼルスタイムス社の記者を訪ねてきて、実は彼女の精神科医ラルフ・グリーソンというフロイト学者に残された約40分の彼女ひとり録音のテープについて彼から聞いた話のメモを記者へ持ってきたのである。文字通りの最後の告白である。

ジョンマイナーは、マリリンの死去のとき地方検事局で検死官をしていて、彼女の自殺説に疑問を持っていた。それを確かめるために死から4日後、ラルフ・グリーソンを訪ねたのである。精神科医は当日、ヨーロッパへ行っていて不在、仕方なくマリリンは彼に訴えるようにテープに自分の思いを録音したのである。

フロイトは映画界で当時は大人気で『言葉による癒し(薬)』を求めるハリウッドスターが続々出てきて、精神分析家医は大もてであった。ラルフ・グリーソンもフロイト学を学んで人気者であつた。1960年、彼のところに電話でマリリンモンローから『いますぐにビバリーヒルズホテルへきて』と電話があって薬の飲み過ぎで倒れそうなマリリンを見た。それから、彼は彼女を助けようともがく日々が始まる。しかし、二人の言葉のやり取りはいつしか『ミイラ取りがミイラ』になってしまい、患者と医者はいつのまにか男女の仲になってしまう。

フロイトの本でも入門書の中に、その危険性について書いているくだりがある。『自分の悩みや苦悩を黙って聞いてくれる人に惚れてしまう』心理である。大失恋後、異性にその苦しさを話したら、以降、ふたりは発展的な恋愛にいったり、離婚直後、気持ちのバランスが崩れたところに現れた男に恋をしてしまう女性とか、言葉を交わす効果や呪術的な要素は、男女間でより鋭くみられる古今の現象である。

しかし、ドキュメンタリーはこのテープの内容を全訳すれば、済むはずだが、なかなか内容が出てこない。断片的に『夜が怖い、夜を乗越える強さが欲しい、私は遅刻の常習者、それは自分をいつまでも待つ(愛してくれる)確証が欲しい、体を見せるだけなら楽、言葉を発するのが辛い、母親から愛されていなかった』など語られる。人間の人格形成は5歳くらいまでにほぼ決まるといわれている。特に母親からたっぷり愛情を、未来の人生を生き抜くエネルギーをもらわないとつらい生涯になる可能性がある。大金持ちだろうと有名人の家庭だろうと貧乏人だろうとそれは変わらない。

『愛情をもらうべきときにもらわないと一生、それを求める彷徨が続く』。三つ子の魂、百までとはよくできた諺である。それを再確認するドキュメントであった。最後に検視官でジョンマイナーであったから持っていたのか、ときどき挿入される顔写真がマリリンの死顔ではないのかと気になるところではある。あまりにもひどい形相の写真なので。

彼女についてたくさんの伝記や死因についての分析本、ケネディー大統領や弟との関係、マフィアとの関わりやら、日本の作家でも作品を書いているが、残念ながら筆者は1冊も読んでいない。

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