札幌の夜のJRタワー 筆者撮影

リドリー・スコット監督ハリソンフォード主演「ブレードランナー」(1982年封切り)。度肝を抜く映像世界とヴァンゲリスの壮大な音楽、アンドロイドの悲しみ(自分はいつまで生きるのだ?という疑問)が伝わる近未来の明るくない映画だ。原作はフィリップ・K・ディック。(1928年~1982年)SF映画は大好きだが、原作は未読な筆者。今回は2作目が上映中だし、読んでから映画館へ行こうと強迫観念に駆られた。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という奇妙な題名だ。時代背景は、第三次世界大戦後の地球で、核戦争影響で朝から灰色の雲、太陽を翳らせ、死の汚染物質が降下するので住めない地球になってしまい(14p)、多くは火星へ移住。その際、お手伝いロボット(アンドロイド)が一つ渡される。しかし、地球を離れがたい一群の人びともまたいる。空から放射性廃棄物が降るから、人間を含めて精神状態に異常をきたす人びとも多い。生命体も放射能汚染で滅びてしまい、地球で生きる人々はペットとして電気仕掛けの動物を飼育することで、精神のバランスを取ろうとする。ある日、火星から8人のアンドロイドが地球へ貨物船に潜入して舞い戻ってくる。警察にはアンドロイド一つ(一人)殺すと1000ドルもらえる制度があって、主人公デッカードは賞金稼ぎに、アンドロイド退治を大怪我した刑事の後釜で動き出す。アンドロイドと人間の境は外見ではわかりにくく、「感情のテスト」「感情移入の程度」を調べることで判明する。しかし、アンドロイドメーカー「ローゼン社」はネクサス6型を開発して、より人間に近づける。もちろんその一人がローゼン社の秘書レイチェエルだ。彼女もネクサス6型だが、主人公デッカードと相思相愛、ベッドを共にする。。デッカードには妻イーランがいるし、最近、生の山羊を買った。「あなたはわたしより、その山羊を愛してるのね。たぶん、奥さん以上に。一が山羊、二が奥さんで、その次は・・・」ゲラゲラ笑い出した。もうアンドロイドのレイチェルには、嫉妬の感情が出てくる。アンドロイドには寿命がある。「わたしは2年生きてきたけど、わたしのいのちはあと何年くらい?」とレイチェル。「あと2年くらいだろう」細胞の交換技術がいまだ完成していないのである。(252p~253p 早川書房)生の山羊は後でレイチェルに殺される。

読みながら、アンドロイドがより人間的で(助け合う)、人間群が非人間的に見えても来る。精神を病んだ人たちが他人に親切に描かれてもいる。フィリップ・K・ディックの思想かもしれない。ディックは映画の完成の5ヶ月前に死去した(58歳)。また、この小説にはマーサー教(あらゆる生命はひとつ)という宗教が情緒不安になりやすい人間が共感BOXに入り、教祖の映像や声を聞いて慰めるシーンが各所に出てくる。しかし、それは実は偽の作られたものに過ぎないことも最後に明かされる。教祖の嘘性についても語られるし、洗脳が果たす役割についても示唆を得られるSFになっている。果たして、新作の(ブレードランナー)はどういうつくりになっているのか鑑賞が楽しみである。

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