企業雑感(潤い・横のつながり消えた職場)

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丹頂のエサを狙う鷲(わし)今井昇撮影

昨年12月17日、「噂の真相」を引き合いに出して、タレコミ情報が情報を流した社員自身の生活をも脅かす危険を顧みず、なぜ報道機関やネットで配信されるのか。

たとえば東芝の不正経理も「数字を作れ!」「利益が増える数字を作れ」とトップから号令が出て、ヒエラルヒーの順番に流れていき、できもしない数字を毎月・毎年作ってきた。経営陣は株主への配当を優先に考え過ぎて、東芝に勤める社員のことは二の次・三の次であった。

アメリカの市場原理、株主を大優先する(金持をさらに金持ちにする国境を越えた経済)企業の生き方が、原発の事故から売上を急に減らし、数字の見通しが大幅に狂いに狂った中で、社内でもモラルハザードを興したと思う。自社のスキャンダルが出て、これまで溜まっていた不満が一気に外へ流れたとも週刊誌では書かれている。自社の経営陣への憤怒には凄いものがある。

何人か東芝社員の知り合いはいるが電話で聞くのは失礼なので、間接的な経済記事・週刊誌でしか内部のあれこれ情報は入らないけ。昔は組合が企業と会社のクッション・橋渡し役をしていた。大きな問題になる前に、話し合いが持たれて、解決の方向へシフトしたものだ。組合は企業の神経だ(小倉昌男)として、ヤマト運輸の故小倉社長は大事にした。内部がおかしくなると神経が痛み出すからだ。しかし、そこに株主という存在、投資家グループという存在が会社の経営に口出しするようになると、狂いだす。彼らは配当を目指してお金を預けるわけで、長い間、じっくり待つということが嫌いだ。

最近のニュースで一斉に日本の生保や損保が海外の同業者を買収に走り出している。貧乏くじを引かなければいいけど。いまM&Aを専門に動く企業が世界中で興隆をきわめている。お金があって海外情報にうとい日本企業は絶好のカモだ。損保にしても若者の車離れや地震立国で保険の相対的な再保険会社への支払いが増えている。

生保も加入者の減少や高い養老保険から保険料の安い疾病保険へ移行していて未来が暗い。しかし、アメリカの生保を買収すると、各病院ごとに生保社員を置いて、医療費の事務手続きを行ったり、裁判も多くそれにかかる費用も半端ではない。アメリカンホームのCEOはできるだけ加入者へ保険を払わないことで、株主への配当を増やしたことで高い評価を受けて就任した。

アフラックはコバンザメのような営業だ。初めは第一生命の疾病部分をアフラックの保険を入れ込み、次はマスコミ系の会社へ代理店をさせPRも自社の媒体で広告させて勧誘する。いまは郵便局やスーパーにまで売らせている。自社の直接営業マンを減らし、人件費を節約。サメになってくれた企業に戻すマージンを増やしてあげて、中国で作ったアフラックのグッズ原価約100円(それも代理店に買わせる)をプレゼントだ。あるとき大きなアヒルのぬいぐるみがヤフーか楽天のオークションに出たことがあって、本社は必死に出展した社員を見つけ出して解雇にした事件もあった。

社内も副支店長だった男が数字が伸ばせないと、次の年は次長や課長へすぐに降格。知り合いで鬱になった人もいる。ブラックダックに近い会社だ。しかし、これは何もこの会社に限らず、山一證券が倒産してメリルリンチに社員が移行したときも、すぐに数字を出せないとなれば首の嵐だった。社員ひとりひとりがワンブースで孤立させられるようなオフィースで、横の社員同士の会話はメールでもやり取りしないといけないオフィース環境だ。

もっともっと無駄話が多くなる企業環境になって欲しい。そう思う。そこから率直な意見や昔の日本企業にあった同僚への信頼感が回復されてくるのではないだろうか。意外にこの企業エートスがこれからの世界標準になるやもしれない。