アンチがなければ文化や経済発展せず。堤清二

日本の黒幕100人の名言(227p)にセゾングループ率いた堤清二さんが上野千鶴子さんとの対談『ポスト消費社会のゆくえ』で語っていた。文化や経済は発展しなくてもいいという現状追認だけで人生を追われる人はずいぶん少なくなってきた。欲望がいつからか超肥大化して、もっともっと欲しいが世界中の人々の主流になってしまった。一番は交換価値の貨幣であるのは言うまでもない。欲望の肥大化に警鐘を鳴らす人も大学から給与をたっぷりもらう教員であったり、テレビ局から出演料をもらう名の売れた人であったり、新聞社や雑誌社から原稿料をせしめているんだから何をかいわんやである。

『アンチ』という言葉に私は懐かしささえ感じる。『アンチ巨人』『アンチ資本主義』『アンチテーゼ』『アンチマルクス』etc。アンチには『新しいものをつくるぞ!』『これまでの既成概念を壊すぞ』『流通のしくみを改革するぞ』など積極的な創造的な営みが感じられた時代があった。無印にしたってセゾングループが『ブランド』への対抗馬として、いい商品。良質な商品。コテコテしない品質で少し高いが素材でいいものを提供するぞという意気込みで始めて、アジアや外国人もいまやMUJIはブランドになっている。堤清二さんの先見は凄い。しかもMUJIは無名であるがゆえに長生きだ。ブランドにはマーケッティングで利用する『物語』を作る癖がある。シャネルがどうだ、イヴサンローランはどうだ,コシノ姉妹がどうだ。創業者の話をゴーストライターが聞き取りで執筆、印税で儲ける仕組みだ。しかし、ブランドもバングラディシュの少女労働で作られていたり(先だって建物が壊れて多数の死者が出た)するから、文化帝国主義のフランスも将来はルノー同様先行きは暗い。あとはCMでいかに女性を騙すかである。

ベルギーダイアモンドのデビアース社は映画館広告で『婚約指輪は男の年収の3倍のダイヤを買う』という洗脳を日本人に施して大成功をした。私は妻には申し訳ないが、1万円のファッションリングで我慢してもらった。結婚指輪はさすがに3万円の指輪で大奮発した。貯金ゼロでの結婚であったから致し方ない。『世の中の風潮に』アンチで生きるほど楽しいことはない。最後にいい話を一つ。ある会社が100室のホテルを買収してほしいと自治体の市長から申し入れがあった。役員や従業員に図ると全員『反対!』であった。だから社長は『買う』ことにした。いま大成功をしている。この意味が分かる人はなかなかの人だと思う。