老子の自由訳 加島祥造「 上等なリーダーとは」(3月分再録)

 

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詩人で英文学者の加島祥造さんを筆者は大好きである。特に「タオ」(ちくま文庫)は、シンプルな日本語でこんなに深く物事や人生・政治を語れるものなのか驚いたものである。第17章は最上の指導者(リーダー)とは・・・について加島さんは下記のような自由訳を試みた。(65ページ)3月に引用したけど何度でも読みたい老子だ。どの政党においてもどこの民間企業でも役所でも家庭でも通用する話だと思い、再録する次第。

 

道(タオ)と指導者(リーダー)のことを話そうか。いちばん上等なリーダーってのは

自分の働きを人びとに知らさなかった。

その次のリーダーは

人びとに親しみ、褒めたたえられ、

愛された。

ところが次の時代になると

リーダーは人びとに恐れられるものとなった。

さらに次の代になると、

人びとに侮(あなど)られる人間がリーダーになった。

ちょうど今の政治家みたいにね。

人の頭に立つ人間は、

下の者たちを信じなくなると、

言葉や規則ばかり作って、それで

ゴリ押しするようになる。

最上のリーダはね

治めることに成功したら、あとは

退いて静かにしている。

すると下の人たちは、自分たちのハッピーな暮らしを

「おれたちが自分で作り上げたんだ」と思う。

これがタオの働きにもとづく政治なのだーーーー

これは会社でも家庭でも

同じように通じることなんだよ。

(おまけにもう一つ)第18章「孝行息子が出るのは」

道(タオ)の大いなる働きは

太古から今にいたるまで

ちっとも変ってやしないんだ。

しかし人間の手にかかると

崩壊現象を起こす。

じっさい、源(みなもと)の道(タオ)が

堕落をはじめたんで、人間は

仁義なんてものを説きはじめたのだ。

人間愛とか正義が必要になった。

なまじ情報や知識を発達させたせいで

大嘘や偽善や詐欺がはびこった。

道徳は孝行息子を褒めるがね、

ダメ親父が道楽して家族を放りだすから

孝行息子が出るのさ。

国家だってそうだ。

領主とか君主とかが

愚かな無茶苦茶をやり

人民を苦しめるから

忠臣が出てくるのさ。