伝説の東大講義 瀧本哲史 。
「2020年6月30日にまたここで会おう」(星海社)
2012年、全国から集まった10代20代の300人が東大伊藤ホールに集まり2時間を超える瀧本さんの講義を聞いた。これまで「ミライの授業」「僕は君たちに武器をおくりたい」「君に友だちはいらない」など、既存の価値を壊す文章を書いてきた瀧本さん。この国を変えるために10代20代に起業を促すアジテーションに近い講義だが、個人の自立とリーダーシップが取れる分野での起業を勧める。3勝97敗のゲームが人生だから失敗を恐れるなと勇気づける名講義だ。そして、10年後、再びここで会い、どれだけのことができたかまたはできなかったか、その検証をすべく再会を期してこの講義は終わった。
残念ながら、瀧本さんは病を得て2019年8月10日死去。47歳。参加者との再会は果たせなかった。
しかし講演を文字化したこの本は、300人の青年たちの心ににいつまでも残っているだろうと思う。「この講義を聞いて、君たちはこれからどう生きるか」である。各章の要約は次のとおおり。
1)第一檄 人のふりした猿になるな。
2)第二檄 最重要な武器は「言葉」である
3)第三檄 世界を変える「学派」をつくれ
4)第四檄 交渉は「情報戦」
5)第五檄 人生は「3勝97敗」のゲームだ。
6)第六檄 よき航海をゆけ
(2)の言葉について私たちが陥りがちな思考は「バイブルやカリスマに頼る思考や生き方」だ。”何度も繰り返しますが、どこかに絶対的に正しい答えがあるんじゃないか」と考えること自体をやめること。バイブルとカリスマの否定というのが、僕の基本的な世界観です。”(瀧本哲史)何々をすればいくら儲かるとか、これを信じれば救われるとか、オウム真理教に似せた教祖のいる宗教もそうだ。”はっきり言いますが、真の教えとか法則みたいなことを言う人は全部インチキです”そのために必要なのは、教養でリベラルアーツ。先人の思考を参照して新しい物の見方、別な視点から考える武器を手に入れられる。
(5)の場合「どうすれば日本に小さなリーダーたちが育っていくのか」が主題。これまで,地縁・血縁・社縁とかでつながった古いタイプの組織が崩れて、新しいゲリラ的な組織が生まれてきている。そこで発揮する小さなリーダーたちが世の中を変えていく。”社会変革というのは、ひとりの大きなカリスマをぶちあげるよりも、小さいリーダーをあちこちにたくさんつくって、その中で勝ち残った人が社会でも重要な役割を果たしていくというモデルのほうが、僕ははるかに健全だと思ってます”125p 現在、元明石市長の泉さんが各地の市長選挙に子供に様々な無償化をすることで人口を増やし、住みやすい街づくりで成功させている。日本全国、こうした地方都市から政治が変わっていく気配がある。分散的なネットワーク構築ができれば強いですね。頭のない組織が強い、アノニマスですね。
若い人を勇気づけるヒントに満ちた本でした。物の考え方ががらりと変わるパラダイムがあります。天動説と地動説もそうですが、政治の世界も官僚の世界でもそうです。大企業もね。しかし、パラダイムは起きます。その世代がいなくなれば新しいパラダイムは生まれます。人間の意識を変えるのはほぼ不可能です。だから彼らがいなくなること,去っていくと世の中変わります。安倍晋三が亡くなって、古い慣習がどんどん変わっていくようにね。芸能の世界も同じ。


坊主の孫。
置かれている環境によって人生のスタートラインはそれぞれ違うので全てに当てはまらないとは思いますが当時『ミライの授業』の講義を受けられた若者たちはどの様に受け停め、今現在どんな状態にあるのでしょうね。講義から何か一つでもヒントを得て、パラダイムの波に乗れていればいいですね。昨日は成人式でしたが、今年は大荒れの成人式のニュースも聞こえてきませんでしたから、これも時代の流れでしょうか。パラダイム・シフトで時代の様々な変化に適応しなければ生きられない時代ですね。
seto
新しい環境を作り出すこと、まだ見ぬ事業を起業化することを願っての熱い講義、文章や授業の数々でした。瀧本さんの授業は京都大学で一番の受講者を集めましたよ。どこの大学でもこういう学者(半分実業家)が講義を持って教えると活気出ますね。中学や高校へ出かけてもOK。社会学の宮台真司さんも中高校生へ講義をしに行ってます。やさしい言葉で深い内容を伝えるにはこういう人たちが必要です。14歳くらいへ向かた本も多数ありますよ。