ある葬儀屋さん・棺桶の輸送と娘の死
「何か面白い企画はないだろうか」と葬儀屋さんをスポンサーに持つ付き合いの深い広告代理店から相談があった。当時、〇〇川柳が流行っていて「遺言川柳」を実施して読者から川柳を投稿してもらい、それから２０作品くらいを選んで新聞に発表してはということになった。ＵＦＪ信託が同名の川柳を実施していて、ＵＦＪの広報部へ問い合わせたら、そのネーミングは使わないでくれということで、こちらは「さわやか」と新聞社の冠を付帯して実施した。集まる集まる。１０００句くらいハガキが来た。
あらかじめこちらの関係者で１００首選択、次に４人の選者で２０作品を選び発表した。ずいぶん親しい付き合いをさせてもらっていた。ある日、筆者へ葬儀屋さんの「娘さんが亡くなって、お別れ会は〇〇日だ」と連絡が入った。「えっ！」「自宅マンションから」。社長の次女で高校１年生だ。ピアノやギターを弾いて自分の曲をテープへ吹き込み歌づくりもしていた娘さんだ。詳しい原因は聞けなかった。社長は業界では人望もあり、素晴らしい人格の持ち主で筆者も尊敬するひとりだった。
お別れ会当日は、父親の経営する葬儀場に、同級生がスクールバスで駆けつけたり、広い北海道の同業者含め物凄い数の出席者。１階２階吹き抜けにしてもまだ入りきらない。無宗教の音楽葬で、札幌交響楽団のメンバーのバイオリン演奏だ。正面には彼女が愛用したギターと子供用ピアノが置かれていた。お父さんの涙をこらえた挨拶もすごかったが、それ以上に同室のお姉さんが「目の前にいた〇〇の気持ちを汲めなかった。私を許して。〇〇ごめんなさい」と泣きながら謝ったときには、私も会場全体も嗚咽だった。お父さんも「仕事、仕事で家庭を顧みないで、申し訳なかった」と次女に謝っていた。
それから何年かして東日本大震災が来て、多くの津波被害者が出た。岩手・宮城の葬儀関係者から「棺桶が足りない」という情報が北海道へも寄せられた。社長は協会の役員でもあったので、道内で集められるだけの棺桶を青森行き寝台急行「はまなす」に乗せて、自分も同乗して東北へ運んで行った。いま自分にできることを淡々とこなし、誰に自慢することもなく生きてる社長にさらに感動した。８９歳で亡くなった私の母親の葬儀はそこを使わせてもらった。自分にも子供が二人いるけれど、自分より先に逝く子供を失う親の悲しみは、戦争もそうだし、事故も、天災も半端ではない悲しみの量がある。
昔の少年。
まさか？ご自分の娘さんの葬儀をご自分の手で執り行う事になろうとは思いもよらなかった事でしょうね。自分に置き換えて考えても私は生まれる前の事ですが三つ上の兄がいて未だ赤ん坊の頃に風邪かインフルエンザか？肺炎かが原因で亡くなって居たそうです。私とは親子ほどの歳の差の長男と私の間にもう一人兄がいたそうですが元々身体が弱かったのか毎日庭に来る鳩を見つめて何かしら会話をしていたようです。両親は自営の家業が忙しく三人の姉たちに子守をさせていたらしいのですが、突然！他界したそうです。その３年後に私が生まれたので両親も姉たちも彼の生まれ代わりの様に思ったらしいです。それから数十年後に母の葬儀で兄姉たちが田舎に集まった時に次女と三女が母親の霊前に涙して謝って居ました。東京の寒い冬に赤ん坊だった彼をおんぶして子守のつもりが自分たちの遊びに夢中になり風邪を引かせ、それが拗れて亡くなったのだと。昔は赤ん坊や幼児の面倒は年上の兄姉が子守するものと決まって居ましたからね。私自身もその次女三女がいつも面倒をみてくれて成長した事を覚えています。或る夏の日は大きな川の深みの真ん中迄手を引いて連れて行かれて急に手を放し溺れかけたのですが、実は姉の水泳指導法だったらしく、その後は泳ぎが身につきました。一方、悪い事も覚えました。田舎ではどこにでも有る西瓜畑で西瓜をカッパらって来て、河原の石で割り食べさせてくれたりと面倒も見てくれましたし、真冬には年上のガキ大将たちに雪玉をぶっつけられた時には男勝りの三女が報復して彼らをやっつけてくれ助けられたものです。大震災時には幼少の私の手を引いて助けてくれたのも彼女でした。そうして両親は仕事で不在の中でも姉たちが弟や妹の身近にいて助けてくれたものですね。勿論喧嘩も絶えませんでしたけどね。きっと亡くなられた社長の娘さんも仕事熱心なご両親よりも身近なお姉さんが最後まで寄り添っていたのでしょう。
seto
いま経営は長女とどの旦那さんが引き継いでいました。本人は会長でした。兄弟助け合うで、ケンカをして成長することですが、その死だけはどうにもなりません。中学（筆者の後輩にあたる）時代、札幌市内でもヒドイ混乱の中学でしたから、イジメに遭って、そのまま高校へ行き、そこでもイジメでした。こういう子供たち、全国にわんさかいるはず。スマホなんか使われるといじめが倍増します。思い出すと、いじめる奴はj一人とその手下ってやつから始まりますね。私の場合もそうでした。そして共通は勉強できず、教師からイジメられてるっぽい男子女子ですね。次女は犠牲になって、創作音楽に慰めをしていたんでしょうが、お通夜の日に高校の専用バスが式場に到着したとき、めったに怒らない私が「この中にいじめた奴がいるんだ。一生かかって償え」と思いました。
坊主の孫。
咄嗟に棺桶を調達して自ら被災地に乗り込むなど、頭で考えたにしても中々実行出来ない事です。業種とは言え死者を敬う姿勢には頭が下がりますね。亡くなられたご遺族縁者の方々にはどれだけ感謝されたか目に見えるようです。それも遠い北海道から自費で最高の素晴らしいボランティアですね。亡くなられた親族や関係者の後ろには多くの支援者もおられるとは思いますが、全く見ず知らずの社長ならではの心遣いはみんなの心にいつまでも残るでしょうね。あの日から何年も経ちますが、何時までも心に響く美しい話ですね。
seto
彼は自慢しない、そういう世界から遠くにいる人でした。社長室に打ち合わせで行きましたが、本棚に並べられた多種多様な本たちをみて読書家勉強家でありましたね。五木寛之や親鸞の本もありましたよ。本の話を私たちは仕事より話していました。最後の看取りもたくさんしてきました、お顔の化粧も。私の母も２日間、葬儀場に置かれましたが。岩内美人とまではいかないがきれいにしてくれました。感謝です。東北の社者のために北海道から棺桶を集めるだけ集めて、いまは走っていない深夜急行に自分も同乗していきました。JR側でも特別配慮「無料）したかもしれません。道内のメディアはこのことを１行も書きません。それでいいと社長も思っています。メディアはSNSも書かなくてもいいことばかりの記事が覆っています。自分の身のまわりを考えましょう・・です。ライターの質も、ヤラセ記事模様ばかり。使う日本語も貧弱、兵庫県知事を笑えるものではありません。たくさん読書をしていない「青春時代）痕跡があちこちにみられます。なので他人の書いた記事を盗用している。コピーしているだけですね。