60歳からの超入門書~男のええ加減料理~

土鍋一つだけ使い、様々な料理(昼ごはんつくり)をカラーで紹介する本だ。休みの日にはラーメン、ソバ、ウドン、チャーハン、焼きソバ弁当、トースト、カレーライス(すべてインスタント)以外、料理実績のない筆者であるが、いつ一人暮らしに入るか見当がつかないので、意を決して借りてきた。


土鍋が料理を作る器具であり、食器を兼ねるという思想に魅かれた。洗うのは土鍋だけでいいのだ。そしてこれは、他人へ振舞ってはいけない。失敗しても自分が責任を負えばいい。味付けも一味で済ます。作者の循環器医師の石倉文信さん曰く「熟年離婚の原因の一つに夫原病があり、夫との関係が引き起こす。特に昼食うつも大きな要因で、自分だけなら余り物で済ますのになまじ夫がいるがゆえに毎日ストレスを感じて憂鬱だと」。「主人在宅ストレス症候群」だ。


さらに外出でもするものなら「どこへ行く」「買い物ならワシも行く」と暇を持て余す夫にうんざりしている実態。昔の犬の散歩仲間に、妻が夫を嫌いで嫌いでしょうがないが一緒に暮らしている夫婦がいる。奥さんの夫嫌い病が悪化すると札幌のホテルに宿泊するとも言っていた。筆者の妻は「別れればいいのに」と言うが「年金がいいので別れられない。それを夫は知っていて関白亭主で振舞うのでしょうね」。


どこの夫婦も薄い氷の上を歩いているようなもので、氷のどこかに別な圧がかかればパリンと割れる。夫婦でなくても人間関係はすべてそういえる。土鍋で作る料理の話から、筆者の悪い癖で禁断の夫婦の話に入ってしまった。そういうわけで、昼ごはんを男が自分で作る能力は、未来の夫婦関係を良好に、また一人暮らしになっても慌てない日常生活のスキルを磨くことにもなる。女性の結婚相手の男に望むことの一つに料理と育児への参加が上げられている。共稼ぎ夫婦であればしょうがないけれどもハードルが高い。昔の筆者なら結婚アウトである。


「男のええ加減料理」は60歳以上に限らず、独身であっても外食を減らして、気分転換に料理をつくる習慣を身に着けるにはいい本だ。土鍋ひとつですべて解決します。

「男のええ加減料理」の決まりごと

1 一人で一からすべて責任を持って料理する。

2 原則、味付け調味料は1種

3 調理と食器を兼ねた土鍋を使う

4 使う道具は最小限、だから片づけが簡単

5 人(妻)に振舞わない