監視社会(2015年4月27日再録)
「レオン」で衝撃的なデビューをしたイスラエル出身のナタリーポートマン主演で2005年映画「Vフォー・ヴェンデッタ」を見て、再び自由について考えてみた。
監視社会
街中、監視カメラだ。このブログだって、私の出すメールだって、読もうと思えば、どこでも強権力があれば、読める(危険思想はないとは思うが)。「グーグルなどが、全人類の電子メールやプラウザ閲覧履歴、スマホ保有者の位置情報などを盗み見することを米当局(NSAなど)に許可している。もしくはグーグル自身が諜報機関として機能していることも含め、全人類の活動全体が米国や自国の当局によって監視される状況が強まっている」(田中宇 配信ブログ 4月23日)。
それに、この監視カメラの普及だ。異常なまでの設置台数だ。それによってATMで金を下している人の顔とか、スピード違反の車を捕まえるオービスとか、コンビニのカメラに映った犯罪者や行方不明者の動向とかで、活躍することはあるにしろ、しかし、エレベーターの中も、企業の中も、監視している人の監視も含めて、「ちょっと待ってほしい」と思うのは私だけだろうか?どこまでこの監視社会は進むのか、どこかでブレーキをかけないと生きてる人間の神経がおかしくならないか?
たとえばアマゾンである本を購入すると、「その本を読んでる人は、次のような本も購入してます」とか、60代の男のブログなら「まだあなたも元気に」で精力剤の広告が入ってきたり,夏休みのリゾートホテルを探してあちこちホームページを見ていると、そこのホテルの広告がどんどん入ってきたり、「機械に先を読まれている不快感」「ロボットにその人の傾向が読まれて(価値観が決めつけられる)気味悪さ」を体験していないだろうか?
これは、広告の世界では「マーケッティング」で消費者の行動傾向を分析して、次の消費へ向かわせる常套の手段で、自分もかつてそこの片隅にいたのだが、半年、その世界を離れて、普通の人々の仲間入りをすると、不愉快なマーケッターっているのだな?と思う。さらに加えて、EC中心に現金扱いを減らして、支払いを電子化して、誰が幾ら何のために払ったかを可視化して、テロや麻薬、武器の購入なりを事前に阻止する動きもある。世界中で現金は持たず、カード(電子化)して、本人の口座の残高も丸見えだ。
秘密やプライバシーはこのままいくとなくなってしまう世界だ。それ以上に困るのが政治や思想の世界で、有名なアメリカのマッカーシズム(赤狩り)では、「日本における近代国家の成立」を書いた軽井沢生まれで知日家のカナダの外交官ハーバート・ノーマンを1957年、カイロのホテルからダイビングさせた。相手を決めつけたり、自由な思想世界を監視し、時の政府のイデオロギーで裁く思考回路を断ち切らないと、とんでもない世界、ジョージ・オーエル「1984」の世界が現れて、屋根を突き破って「思想警察」がやってこないとも限らない。
会社支給のパソコンでのメールは誰でも読めるようにしている。業務上での使用に限定している。以前の職場で仕事中、ネットで買い物ばかりしていて、他人が近づくと慌ててヤフー画面に戻している女子社員がいたけど、そういうこともできなくなる。総務はプロバイダーと手を組んで監視役。しかし監視役も誰かが監視しないとね。経理の横領も多発する世の中になって。権力者を監視するメディアも社内で監視ごっこ。自由に語りたいものである。
しかし、横領はいつの世にもあった。明治時代、日本の紙幣印刷の原版は、プロシアに置いてあったはず。それでプロシアにいったとき、造幣局へ行き、紙幣印刷を頼み、自分の銭にした首相か大蔵官僚がいたと松本清張「日本の黒い霧」に書いてあったように記憶する。
心配症。
家でも監視?一歩外出しても監視?買い物に店に入っても監視?車で走っても監視?野原に寝っ転がっても衛星で監視?パソコンも監視?メールも監視?銀行預金も税務署が監視?もしも宝くじでも高額当選したら,壺に入れて土に埋めるしかない。待てよ?壺を買うところを監視?穴掘りを監視されているかも知れない。そんな心配するより何もしない方がいいのかも知れない。しかし、何もしない人間に分類されて不要物として抹殺されないとも限らないから気を付けよう。
人相描き
PCの上についたカメラも監視カメラかも知れない。スマホのカメラも自撮りしていたらどこかに自動送信されているかも知れない。街を歩いていると,やたらとカメキチが多い。主婦も叔父さんも立派な高級機に何を撮影するのか超ズームレンズを装着してぶらついている。それでなくても子供までがスマホを持っていると言う事はカメラ付きだから,どこでどんな場面を撮影されているか分からない。そんな厄介な写真をその場でどこかに送られてはたまったものではない。これからは防御策として変装でもしていなければ。油断大敵だ。犯罪の犯人探しには役立つが,小市民の情けない写真が一瞬のうちにバラ撒かれては迷惑せんばん。