老子 加島祥造自由訳 「自由と静けさ」
その国なりのやり方が有効だろう。
国と国が戦うんなら
奇襲戦法をとるのが有効だろう。
だがね、この天下、
全世界が、グローバルに
鎮(しず)まり治まるには
そんなこっちゃ駄目なのさ。
どうしてそんなことが言えるかって?
だってよく見てごらんよ、
いま国々ではいろんな禁止や規則を
やたらに設けるもんだから、
少しの金持ちと多くの貧乏人ができてるじゃないか。
多くの人にいろんな武器を持たすから
どの国も不安や暴力につかまっている。
頭のまわる人間があれこれやって
新しい知識が生まれる。
そして知識が生まれれば生まれるほど
人びとは忙しくなる。
法規や税法を細かくすればするほど
網をくぐり抜ける悪党や盗っ人が
増えてるじゃないか。
こんな国々が集まったからって
全世界が静かに治まると思うかね?
この大きな世界が治まるには
国も人々も、
できるだけ相手の自由を尊重することだ。
そして静けさを愛することだ。
自由と静けさ、
それがあれば、人びとは自然に
よく働き、繁栄が生まれてくるんだ。
必要以上の欲望を持たなければ、
人はじつにゆったりした存在でいるものだよ。
こういう人々が
全世界にあふれてごらん。
そうしたら、グローバルな平和と調和が、
成り立つじゃないか。
昔の少年
地球が北半球と南半球に分かれているように、そして北極と南極があるように、人間にも善と悪が同居していて、ある時は善人、ある時は悪人と都合のよい立ち位置に行く。善も悪も人によって度合いが違うが、ともすれば度合いを競い合い、信じられない行動でぶつかり合う。議論は平行線の赤道辺りから徐々に北半球に行く者、さらに北極まで行く者。また逆に熱くなって南半球に行く者、そして南極の極限まで行く者まで現れれば冷戦から長い争いが始まる。諍いの原因のほとんどは私利私欲だが、必ず正当性をテーマにした旗印で意思を確かめ合う。つまり我々は問答無用の怖い存在ですよ。だから従いなさいとゴリ押しし、逆らえば処刑と言う裁判により見せしめとなる。争いは虫達の餌の取り合い、生物の生存競争と似ていて無くなることは無い。もし無くなるとすれば、『富』と言う餌が食べきれないほど地球上に溢れるか、食べつくされて飢餓で全滅するか、地球が砂漠化して、やがて消え行く星になるか?だろう。数知れない殺戮の道具に使われた銃器メーカーの一つ『コルト社』も消滅したらしい。だからと言って安心するのは早い。なぜなら、銃は一人ずつだが、核や細菌や化学兵器は一度に大量に死滅させる武器だからだ。僕達の生活道具なども軍事目的から開発され平和利用されているものも多いが、裏を返せば、軍事目的にも即変更可能と言う訳だ。戦いを好むもの同士は、どこかの『コロシアム』で正々堂々と戦って欲しい。でも観客にはなりたく無いし実況など見たくもない。マカロニ・ウエスタンのTHE END のように、そこには『正義』はないだろうから。