ポジティブ思考信仰の危険な落とし穴。

『ニューズ・ウィーク』に「自己啓発本は前向きになることが幸せな人生のカギだとうたうが、楽観主義を強要されて欝になるリスクもある」という記事が紹介されていた。


実際、サブプライムローンに走り、自分の収入では返せないのに、いずれこの家の不動産価値が何倍にもなって必ず上がるから、そのとき売り抜ければ100%返せるし、それどころか大儲けできると考えた中流下層の人たち。さらにそのローンを証券化して最新の金融工学ではめ込んだ商品を作り、世界中に売り込んだウォール街。基本にあるのは「楽観主義」「ポジティブ思考」である。


いったい、いつからこのポジティブ思考の流行が世間をせっかんしたのか。いまや日本中、いや世界中でポジティブ思考の信仰告白合戦が何万回も会議室で、軍隊で、アスリートの間で、先生が生徒に繰り返し教えを垂れている。お笑いの世界でも多用される。『ポジティブ!!ポジティブ!!』と。


しかし、実態はどの世界でも幸せになってる人を見ていると、「好きだからやっている、人を助けようとしたら、結果、こうなった!」と正直告白する。「練習が好きだ」とか「虫を見ているだけで充実の時間を過ごせる」「顕微鏡で探していると見つかった」。好きなことをひとりコツコツやっていた。いい導師、指導者に巡り合ったが正解ではないだろうか。外からみてポジティブのように見えるだけ。ポジティブ思考の始まりは・・・・・


1952年アメリカで出版された「積極的な考え方の力・ポジティブ思考が人生を変える」は15ヶ国語に翻訳され売れた。1954年、メンタルヘルス面からアブラハム・マズロー「人間性の心理学・・モチベーションとパーソナリティー」の中で初めて「ポジティブ心理学」という言葉が登場した。「それまでの心理学は、ネガティブな側面ばかりに光を当ててきた(フロイトか?)、人間の潜在力や美徳に目が向けられていない」とマズロー。


それが、アメリカの大好きなビジネスやスポーツ界のサクセスストーリーに転化して言語化されたとき、有名になり金持ちになるということに変形し、成功要因を彼らが語るときにポジティブシンキングなる単語が一人歩きしたのかもしれない。企業の会議でも「相手の発言にネガティブな態度や発言は慎む」みたいな慣例が出てきたり(くだらない発言や内容はやはりくだらないし内容がないと言った方が筆者は好感持てるが)する。


しかし、どこの国や大都市でも「うつ病」が激増している。「ニューズ・ウィーク」にネガティブ思考いわゆる「防衛的悲観主義」が悪いことを回避する作用もあり、現実に出てきたマイナスの現実に対処できるのも大事なことであるからネガティブ思考の大切さを忘れてはいけないとコメント。


ポジティブ思考は、「次になんとかなるよ、次には値上げして損を挽回できる、競馬で万馬券当たればあっという間に損が吹き飛ぶ。何とか人生なるものさ」と楽観して、現実を直視しない。企業決算のごまかしも似たようなものだ。人生いつも前向きでは生きていけない。無理にそうしようとすると、自分の正直な感情に嘘をつき精神と肉体を病ませる。欝の増加とポジティブ思考は平行現象に筆者に見える。「ポジティブ病の国、アメリカ」という本もある。

4 thoughts on “ポジティブ思考信仰の危険な落とし穴。

  • 2021年11月11日 at 5:33 AM
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    日本もいつの間にかアメリカナイズされてきました。結果は消費社会であり楽観主義でもあり、犯罪増加など、悩みも多く抱えるようになりました。現在の日本は数十年前の正にアメリカそのもののようですね。欧米の食文化を見習う事で体力も向上した代わりに、以前の我が国では想像もつかなかったダイエットの流行です。それもお金をかけてジム通いやサプリメントの常用もすっかり常態化を見せています。暮らしは苦しいはずなのにあえて都会に住み富裕層の真似事をして見栄を張る生き方にも、そろそろ気づくべきだと思いますね。最近では外国人が古き良き時代の日本にあこがれる現象さえ見え始めました。が、悲しいかな我々は未だ気づいていないようですね。我々が昔に経験したつつましい暮らしを恥じる事などありませんね。国民平均体力の増強は目標値以上の現在ですが精神の健康については疑わしい限りですね。それとも、鬱病などの精神障害などは豊かさの副産物と考えるべきなのでしょうか。

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    • 2021年11月11日 at 10:07 PM
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      日本に限らず、どこでも消費・消費を繰り返す社会に変貌していて、それを得るために貨幣です。国の信用と言う裏書があるだけで、いつなんどき紙屑になるかもしれません。新製品を見ても、なあんだここだけ意匠変更ですかと言う程度で画期的なものはまだ表に出ないで密かに開発されているとおもいます。大脳の発達、指先の器用と反対に肉体の衰えが並行していると見えます。草原や公園を走り回ってる子供たちが日本中にいつまでも残っていますように祈るだけです。自然に接触して五感を鍛えて長い人生の基礎的な感受性を養ってほしいと思います。残酷なゲームにははまりませんように。

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  • 2021年11月11日 at 5:41 AM
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    ポジティブと言えば自分にも当てはまります。今は四苦八苦して何とか生きていますが、これ以上年を重ねて働けなくなったらとか、コロナ禍第6波などで仕事が全く無くなったらと悩む一方で「いやぁ~何とかなるさ~きっと!」と空元気の自分も居ます。わずかな年金だけの暮らしとなれば心配ですが「その頃に宝くじでも当たれば」なんて楽観的な自分も居ます。今朝も早く目覚めて、この先の事を考え出したら眠れなくなって起きてしまいました。ポジティブな自分とネガティブな自分とのせめぎ合いですね。

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    • 2021年11月11日 at 10:14 PM
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      私は11月に入ってネガティブです。冬至が12月21日で、ここまで夜が長くなります。オオカミになって吠えたくなります。2階3室全部明かりをつけて、石油ストーブつけて夜を闇を追い払います。この戦いにエネルギー消耗します。自然との闘いです。さっき眠剤2錠飲んで眠ればいいのですが、ふと思いついたブログテーマがあってまとめようと思いました。戦争です。あんまり報じられない話題です。

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