逃げ出す人々
北海道はご存じのように明治以来、本州各地から土地のない、風水害で食えなくなったり、廃藩置県で武士として暮らせない人々、犯罪者として北海道の刑務所に収監された人、対ロシアの軍事力に対抗するために兵士と農民を兼ねる屯田兵として、また中には東本願寺など布教も兼ねて人々とやってきた僧もいた。
しかし、共通は「動く必要のない人は動かなかった」である。「動く」を「逃げる」と表現したら、切迫感が出てくる。そこには「人口増で動かしたい政府(官僚)」も背後に控える。考えてみると、人の移動は、組織だって列を組んで移動するだけではなくて、一人でまたは家族で「逃げる」人々も多い。それは時代を超えて毎日、どこかで行われている。
このブログを書いている最中にも、ウクライナから世界じゅうへ、徴兵逃れのロシアの若者たちが脱出する。アジアや中近東やアフリカや南米で国境線を超えて、命を守るためだけでもわずかなお金と食料と衣類を抱えて道路上を歩いている。国境についても次の国へ入れる保証もない。トルコの国境も壁を作るといって中東からEU諸国への移動を制限しようとしている。ともかく、世界中で「逃げ出す人々」が増えている。
私の父や義父が中国から引き揚げてきたが「国なんて信用してはいけない」と繰り返し言っていた。国なんて軍隊と官僚と政治家の暮らしを守るための人工的な組織で、国民は彼らへ税金や物を収める存在にすぎないと。小さな反対給付(サービスや年金医療)を受けるがそれに倍する税金を納め続ける、国家制度は不思議な組織(しくみ)である。
小松左京「日本沈没」の第二巻が、列島が沈んで、生き残った人々がユーラシア大陸へ流れていくところで終わる。エグゾダスジャパンであるが、果たして孤立した島育ちの私たちが大陸で生き延びれるのかどうか。北海道はエグゾダス本州であったが、これから貧しい国は仕事と豊かさを求めてエグゾダス(脱・出)の社会に入る。超金持ちは地球を出て宇宙旅行へ向かう。エグゾダスアースか。国土の70%が森林で覆われている国だから、日本中に逃げる場所はたくさんあるのでいまのうちから作物を作れる小さな土地と作物つくりの種子を確保してパソコン持参で移住するのも賢明かと思う。

坊主の孫。
新天地を求めて移住と聞けば素晴らしいと思うけれども、移住先の土地や国が受け入れてくれるかどうかは別問題ですね。排他的で有ったり、閉鎖的だったり、厳しい環境だったりと、必ずしも歓迎される約束など有りませんね。ピザが無くても簡単に行き来できる外国なら良いのでしょうが、ましてや我が国のように国境を海に囲まれていては移住も困難です。最近、早朝に白鳥の群れを見て思うに、国際法も何も関係無く遠いシベリア辺りから隊列を組んで飛来する渡鳥たちは厳しい旅路とは言え、自由て羨ましい限りです。鳥たちは自前の翼を持っていますから人間たちとは違い誰の世話にもならず自力で、しかも人間たちが勝手に作った国境などお構い無しで行き来します。もし人間が鳥たちの真似をしょうとすれば大袈裟な翼や動力やエネルギーを必要としますから鳥たちのようにはいきません。しかも人間自身が作った法律に縛られて身動きすら制限されてしまいますから。
seto
その羽根が飛行機になったのかもしれませんが、勝手につくった縄張りの中で人間は生きています。国家なんて新しい概念で17世紀か18世紀くらいでしょう。それまでは領主や教会ですか。日本では殿様や藩。税を取り上げるために囲い込みをしたり、ほかの土地へ侵略、奴隷をつくっていったので、それに耐えられない人々がほかの土地へ逃げていきました。アメリカは飢えもあってアイルランドやイタリア、大陸から来たのでした。シベリアに抑留されていた人々が、白鳥を見て「自由に飛んで日本に帰りたい」とたくさんの人が思ってましたね。国境の持つ残酷さは、ウクライナロシアの戦争もそうだし、地下資源でもあれば殺戮が始まります。軍人が闊歩する国はろくなことが起きていません。
昔の少年。
我々高齢者もそろそろ人生から逃げ出す準備を考えなければいけませんが、逃げ出すにも体力が必要で、せめて少しでも元気を持続させて家族や他人に迷惑かけることなく終わらせたいものです。手始めにクルマ依存症を改善して体力をつける為に歩いたり公共交通機関を利用したりしています。昨日も乗るつもりの1時間に一本しか無いバスに目の前で乗り遅れ、歩くことにしました。上り坂の遠い道のりは大変でしたが何とか1時間で目的地に到着。その直後に次便のバスも到着。バスターミナルでただ1時間待っている事は苦痛ですから思い切って歩いたのですが、バスなら15分の距離もまるで登山のような1時間でした。でも全てクルマに依存していた以前より心無しか体力もついたようです。生きているうちは出来るだけ動いた方が良いようですね。
seto
歩くと出会いや、事件に遭遇します。白鳥がたくさん南下してますから声が聞こえると見上げます。写真を撮る楽しみも増えますよ。なんといっても空気と足の筋肉補強です。「人生から逃げ出す」とは言い得て妙ですが、逃げるには場所と銭が必要かも。逃げても会話できる人間はぜひ確保しましょう。老人にとって何が大事かといえばおしゃべりで、特に男はここを地域社会やメールで鍛えたいものです。長い文章はメールに限ります。長電話もいいですね。私も札幌へはJRと徒歩。関東圏に住む同世代は続々車を捨てています。身軽になったと喜んでいました。必要ならレンタカーでOKと。兄は免許も返上しました。車離れです。電気自動車、ハイブリッド、ガソリンといことではなくて、物流トラックを除いて車需要の絶対数は日本では激減すると思いますよ。