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2022年4月17日 河口湖畔から 今井昇撮影

いい加減が好きな筆者でも37年間、営業の世界に身を置いていたから、多少は数字の厳しさは知っているつもり。しかし、銀行のBIS規制とか会計の方式がアメリカ型に変わったりしたが、結果として出てきたのが、本家本元の会計事務所の不正経理ばかり。世界中から失笑を買っていたり、株主はじめ世界中に大迷惑をかけてきた。

日本の金融機関も1998年からBIS規制で、自己資本比率を8%まで上げないと国際業務ができなくなるので、中小企業への貸し出しを引き揚げたり、たくさんの優良な会社をつぶしてきた。期限を入れた目標数値に「絶対」をつけると碌な結果にならない。血が流れる場合もある。果ては企業を潰す結果になる。利益を上げるための目標が付き合いのある会社を潰したり、自分自身の会社を潰す時代に入っている。

生命保険の大会でも「必達」と大書きされた文字が躍る。「完遂」も。デパート商戦もエイエイオーもうるさい。どこを向いても「目標」「目標」「目標」。生命保険の世界でも、目標に2本足りないと自腹を切って1回目の保険料を払う人もいた。デパートに働いていたフロアマネージャの同級生も「百貨店協会の発表する数字は信用してはいけないよ。インチキだから。俺も今月、宝石を買ってくれた客がいるが、今月は数字はまあまあだからこの売り上げは来月に持っていく」。これが別なブランドショップの店長は筆者に「奥さんにこのイタリア製のセーターいいわよ。今月、数字がないので買って、お願い。目標額いかないのよ。」10万円はする手織りのセーターだ。「みんな売上がないと自分で買って給料から引かれるの」。貧乏サラリーマンは買えない。ミッソーニだ。普段の付き合いで、お歳暮やお中元でビールや肉ハムならいいけど。目標にいかないと数字を持つ個人は友人・知人に電話かけまくりする。現場の庶民は身を削って生きている。

トヨタ系の車のディーラーに22歳で就職、28歳で道庁へ転職した家庭教師時代の教え子も「毎月、毎月、朝の朝礼で新車販売台数を必ず売るよう店長から言われて、もう親や同級生、親戚に売ったし。頑張らないと」と言っていたが、公務員受験年齢ギリギリで公務員になったとたん「楽で楽で天国です。稼がないでもこの程度の仕事で給料をもらえるのかと思ったが、ディーラーのときよりよりいいんですよ。さらに目標数字がないのが楽チンです」。楽になった分、その時間で有意義な楽しい人生をおくれればいいが。

同じ時代、同じ社会に生きていても、長い間の仕事で培われる、価値観、態度や言葉使いまで変わってくる。数字の世界は、相手先とサービスや物の売買について売り上げが立つこと。決算、予算、決算、予算、対前年比、売上、利益、経費、見込予想。取引先倒産につき引当金。各課が作り、部でまとめ企業の数字にして役員会・株主総会での承認まで持っていく。しかも対前年批マイナスを相当な事情が無い限り認めない企業が多いから、嘘の資料つくりをする。「絶対に数字を作れ」と命令する。「はい、わかりました」。作れないのは現場が一番知っている。

東芝の粉飾決算、三菱自動車の日産から要望された低燃費技術(数値)をテストプロドライバーがたたき出した燃費で走ったのも「絶対目標」という圧力と決裁権者のモラルハザード。出来ないことはできないと言う勇気がなかった。この企業風土はほとんどの民間企業に実は内在している。役所はこのときとばかり何かの組織を作って国がもっと厳しい検査をと意見する役人が必ず出る。うまくいけば、自分たちの仕事と天下り先を増やすだろう。民間の不祥事は官僚にとって蜜の世界、出張費でも稼げる、利権も広げられる、しかも国民のためにという隠れ蓑を使える。マスコミを利用できる。シメシメである。税務署もそうだし、公正取引委員会もね。

だから、提案したいのは、民間は目標は緩やかにアバウトな数字にしていくことで、かえっていい仕事になるという話だ。大きなケガを負う前に、擦り傷で終わるよう、無理しないで生きたいもの。経営危機になれば、一番困るのは社員とその家族、納入中小企業だ。株主はどうせ、暮らしに困らない連中ばかりだから無視していい。私の車も最初リッター23キロが今では12キロ。向かいの人の車も新車で20キロが今では10キロ。ハイブリッドプリウスも詳しく調べれば購買時の低燃費は崩れているはず。メーカーがどこであろうと運転手は皆知っている。問題は数字ごまかしの企業風土をどうするか。ごまかすのは企業だけでなくて国家や学校、言葉を覚えた人間は必ず嘘をついて、逃げるものだ。アバウトな数字にするのは、実は逃げ場を作ってあげることなのだ。報道する新聞も足元の押し紙を含めて部数改竄、テレビも電通の子会社ビデオリサーチの視聴率(東京でたった600~800軒調べですよ)に一喜一憂、全部筆者にはインチキにしか見えない。伝える側も伝えらえる側も同じ穴のムジナにしか見えないのだ。

  1. 粉飾決算が原因で長年勤めた会社が倒産。寝耳に水と言うより、予兆は確かにありました。そこで呑気に海外旅行ばかり楽しんでいた女子社員に言いました。労働組合員であっても、会社が無くなれば誰も守ってくれないよと。それに、どんなに大きな会社でも明日の事は分からない時代だよと。予想通り或る日突然その時はやって来ました。そんな情報は内部からよりも真っ先に外部から飛び込んで来るものですね。裁判所詰めの記者たちは些細な動きもキャッチしてその日の内に夕刊紙の新聞に記事を掲載します。それよりも先に各新聞社間でも同業社間での情報のやり取りが行われます。更には新聞社系列の電波媒体関係にも波及して一気に広がり、実は一番情報が遅いのが自社の当の社員たちと言う訳です。私は以前から社員にも警告していたように、ある程度の覚悟と心の準備をしていたので、新聞社からの変な問い合わせが・・・携帯電話に第一報「お宅の本社で何かありましたか?」で「やっぱり!来たか」と思いながらも冷静を装い「本社に問い合わせ中ですが責任者の連絡待ちですので・・・」と。社に戻ると普段より来客が多く、しかも中々帰らず情報を探りに来ているのが明らかでした。来客も一旦落ち着いた夕方からドアに張り紙をしてロックし各媒体社や取引先や協力会社宛に手分けしてファックスでお知らせを。まごまごしない様に実は以前から原稿は準備していて保存したフロッピーディスクを常にポケットに用意していたのです。そんなドタバタ劇も情報開示とともに落ち着き、管財人のお手伝いと言う形に変わり、閉鎖した事務所に近いところに小規模な個人事務所を開設して社員の再就職の為の連絡先兼自分の次へのステップ用としました。一時はどうなるかと?不安もありましたが、粉飾決算のお陰で?幸か不幸か退職金が出たのです。赤字を隠すために税金は真面に納めていた訳です。当然乍らそれらが返還され退職金に充当されたと言う訳です。それさえ無かったらどうなっていたのでしょうね。喉元過ぎればと言いますが、今頃になってゾッとします。これから就活する若者たちも会社に依存し過ぎる考えはいけませんね。お洒落や遊びに夢中に成りたいのも分かりますが、若いうちにスキルをアップしてどんな状況でも対応できる能力や気力を身に着けるべきでしょうね。青春を謳歌したい時でしょうが、歳をとってからでは遅すぎますよ。

    • 現代は会社だけでなく、家庭でさえなくなる可能性多いですよ。一人になっても生きれるスキル欲しいです。料理・洗濯・掃除ですね。アイロンはハードルが高い。会社も連鎖がありますから、自分のところの収支が良くても倒れるときは倒れます。たくぎんの倒産を見てますから、あっと言う間です。100億円残債して倒れた広告代理店2つありました。ひとつの会社は給与の自己申告制をしてました。幾ら数字を挙げるから年棒1500万円欲しいと書けば、給与査定委員会で審議されその可否を決めると言う制度です。高い給与を欲しいからどうしても夢みたいな売り上げを出しますね。制作陣も下請けいじめで稼ぎます。媒体はテレビスポット本数を増やしたり、新聞広告料金を叩いたり、自分の持ち場で数字を(利益)を出していました。
      この国もGNPも真っ赤な嘘の数字を安倍政権時代に経産省がつくっていました。国全体がアバウトだったんですが、安倍が言うと、右ならへの情けない国です。どうした官僚???

  2. 余程大胆な性格か?最初からやる気が無い性格以外、真面目な人ほどノルマ数字で鬱になるのは当然ですね。責任感がそうさせるのでしょう。つまり鬱になるくらいの人は責任感が有り過ぎると言う事にもなりますね。ですから、その人たちが自ら辞めて行く前に手を差し伸べてとどめてあげるのが結局は会社の為になり、その結果は人材も育成されるのです。辞めたいとまで思っても即次の職場は無い訳ですから、苦しめていたノルマの無いセクションに一時配転したり休暇をあげたり方法は有ると思いますね。今の若者は根性が無くてダメと決めつける前に、もう一度見直してあげて欲しいですね。

    • 数字が減る、減らせる、売り上げが下がるなどがこれからの企業の目標になりますね。そのためにしているのが資生堂で退職希望者募集とか人間減らしですね。40代以上なら子供が大学あたりにかかり、住宅ローンも半ばくらい。共稼ぎで奥さん稼ぐか、両親から資金援助(これが一番いいと思いますね、老人のお金を吐き出させる)ですね。そういう定年前での退職希望が張られると社内の環境は悪化すること間違いないですよ。そこで病人がまた増えるかもしれません。社内での転職をしてみるのも活性化させるかもしれません。技術者以外はなんでもできる勉強は必要です。生涯、勉強ですけど。

  3. クルマ遍歴者

    クルマの新車時検査に関する改ざんが問題になって居ます。燃費では神の足と呼ばれる超絶技巧アクセルワークのドライバーがメーカーに居てバンクを切った信号機も無い無風のテストコースを周回して叩きだした数字が記録されます。素人の一般ドライバーではそんな数字は不可能ですし、交通の状況では信号も多くストップ&ゴーの繰り返しでは条件が違いすぎますからカタログ数字の燃費などは到底ムリですね。しかし機械ですから新しい時にはスムースに動いたエンジンも時と共に摩耗も進み劣化して動きも悪くなりますね。シリンダー内壁とシリンダーのお互いの摩耗で隙間ができれば潤滑エンジンオイルも熱で燃焼し白い煙が出るように成れば絶えずエンジンオイルを足さなければ益々摩耗が進み、そのままではエンジンもクラッシュして走らなくなってしまいます。どんな高級車も同じで走行距離に比例して燃費も悪くなり、修理費の負担がどんどん多くなりますね。機械にも寿命がありますから余程大切に乗らなければ長持ちしませんね。メーカー同士も無理な数字で競い合うのはやめて欲しいですね。テストも素人の一般女性ドライバーがやれば正確な数字かそれ以下になりますから、その計測記録も本人が記載したらどうでしょうね。極論ですが。

    • 主婦のテストドライバーであれば公平さを保てます。普通の人と普通の数字が並べば安心して買えます。CMや広告キャツチフレーズのために出す数字は辞めて欲しいですね。カーレースを競う道路ではないのでね。安全、安心で走る車でいいのですよ。マニアのための車ではありませんね。息子が高速道路で、トイレタイムで休み、エンジンをかけたらエンジンオイルに赤ランプ。JAFに電話したら、とりあえず赤ランプのまま高速を降りてガソリンスタンドへ行くよう指示。やはりエンジンオイル不足でした。高速に乗る前は点検必要ですね。軽自動車です。私もそうですが、車は走ればOKなのでできるだけ安い車を買います。物を持てば維持費がかかる。70歳で免許返上した兄が、車一台を維持するのにかかる経費を計算したら1年間で約40万と弾き出しました。税金の塊みたいな車所有です。

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