ユヴァル・ノア・ハラリ「21世紀の人類のための21の思考」の第11章「戦争」だ。キューバ危機のときはワシントンとモスクワ間に「ホットライン」があって電話会談をケネディーとフルフチョフで実施、核戦争を回避した。現代はインターネットの普及で「どれが真実でどれがフェイクか」判別しづらい。この本の中で
「戦争が損な企てであり続けたとしても、平和の絶対的な保証にはならない。人間の愚かさは、けっして過小評価するべきではない。人間は個人のレベルでも、集団のレベルでも、自滅的なことをやりがちだから。人間の愚かさの治療薬となり得るものの一つが謙虚さだろう。国家や宗教や文化の間の緊張は、誇大な感情によって悪化する。すなわち、私の国、私の宗教、私の文化は世界で最も重要だ。だから私の権益は、ほかの誰の権益よりも、人類全体の権益よりも優先されるべきであるという思いだ。世界に占める本当の位置について、国家や文化や宗教にもう少し現実的で控えめになってもらうには、どうしたらいいのだろうか」(同著235p
次の章で「謙虚さ」を定義して、ユヴァル・ノア・ハラリは「あなたは世界の中心ではない」と。独裁者が座り続ける国や企業や団体で見られる「私がここの中心にいる人間なんだ、黙っておれのことを聞け」。そこでたくさんの人が死ぬ。未来を担う若者たちも。
日本についても書かれてあった。「1930年代に日本の将軍や提督、経済学者、ジャーナリストたちは,朝鮮半島と満州と中国沿岸部の支配権を失えば、日本は経済が停滞する運命にあるということで意見が一致した。だが、彼ら全員が間違っていた。じつは、日本経済の奇跡は、大陸に持っていた領土をすべて失った後に、ようやく始まったのだ」(同著236)
ウクライナを失ったのち、ロシアの再生が始まると思う。軍需産業と戦争請負人傭兵企業を除いて、もう戦争は軍事費の膨大なツケを後世に残し人的損失で国の未来を狭くするだけだ。それにしても、ジャーナリズムは戦争が好きだ。ここぞとばかりに外交評論家も安全地帯に身を置いて飛び出してくる。
