1月のコーヒータイム(暗闇フィットネスほか)

1)『負け犬の遠吠え』を書いた酒井順子さんの『センス・オブ・シェイム』(恥の感覚)(文春)に、暗闇トランポリンに行ったことが書かれてある。暗闇といえばそれこそ犯罪の匂いや脱法行為を連想するが、照明を落として暗い中で運動すると、腹ボテの姿やスパッツが似合わない体型を鏡で見ることもないし、思い切って運動できるような気がする。教室全体が明るいと、フィットネスジムで講師の真ん前で『イエッ!』なんて運動する人たちは、そもそもジムに通う必要のない素晴らし体型で恥じらい感覚というより、ノリノリ感っぱいの健康体そのもの。そしていつも目立つところで踊るのが定番だ。私も3年ばかり夕方から使い放題のジムの会員になったことがあるが、バーベルを2~3回持ち上げると疲れてダメ、30分マシーンで歩いてはお風呂に入り汗を落すだけのジム。ジムはファッションの場でもあって安物の運動靴とダブダブの短パンを穿いたおっさんは隅っこ暮らし。ほかにも暗闇ヨガもある。暗闇であれば大胆になれる。6月1日からスポーツジムも解禁して駐車場は満杯。住宅街のジムに暗闇は合わない、暗闇フィットネスは都会のど真ん中がお似合いだ。様々な暗闇ビジネスができそうだ。高級なバーなんて暗闇に近い照度でムードをつくるから男と女の『恥感覚』を少し捨てられるからいいのかもしれない。『暗闇電車』『暗闇カラオケ』会社の『暗闇化』(パソコンの画面がオフィース照明になる)、学校のカリキュラムに週に1回『暗闇時間』をつくる(何でもおしゃべりタイム)。恥感覚を遠くにやって言いたいことを言いあう時間もいいねと私など思う。暗闇タイムは告白タイムに似ている。ブログ書きも相手が見えず、暗闇事業に近い。横浜でガス灯が点灯したのが1872年、それから150年しかたっていない。闇が普通の時間であったことを私たちは忘れてしまっただけなのだ。世の中の方向が電力をたっぷり使うITやリモートやスマホなどの世界に向かっているが、意外とこの『暗闇産業』に別な未来があるかもしれない。小さな照明で楽しむ読書も暗闇産業に加わる。眠りも暗闇時間だし、夢もそうだ。なんと生涯の3分の1が暗闇で生きてきたし、赤ん坊もお母さんの羊水の中を10か月、闇の中で過ごしてきた。暗闇産業が流行るとしたら、そういうお母さんのお腹の中に帰りたい現象とつながるかもしれないと思うのだがどうだろうか?自宅の片隅に仕事部屋を作って籠ることも案外、暗闇産業の延長にあったりして。