私の親戚に2名、友人に1名、営業の取引先社長に3名、近所の知り合いで2名の自殺者がいる。それ以外にも、半分、人生を投げて生きている人もいて、彼はある朝、脳梗塞で死に至った。私にとって、自殺者は身近な存在である。特殊なことではない。特に欝になった人の自殺念慮は強い。最後に私に会いに来てその直後自殺した人もいる。目が血走っており、危ないと思い、2階に布団を引いてパンを食べさせ、落ち着かせようとしたが、車で走っていって、林道で排気ガスを室内に引いて還らぬ人になった。


そういうこともあって、先日、札幌市のこれからの自殺対策を考える会議を傍聴する機会があったので行ってきた。札幌市は1年間に320人前後の自殺者があり、1日約1名の人が自殺している。当日は、精神科医や看護士の会、大学の精神科医、いのちの電話にかかわる人、自殺者家族を支える会や、精神病院を経営している人、大学で学生の精神面をケアしている人、道警本部、患者を搬送する札幌市消防局、それに札幌市の関係者が出てきて、全員が公平に自分たちの立場から、昨今の自殺事情や未遂の多さや家族関係、イジメや社会構造、雇用問題、周囲の無理解など思い思いに語っていた。1年間に「いのちの電話」を利用する人が札幌市で1万1000件、そのうち「死にたい」コールが2000件との発表もあった。若いときは「死ねば楽になるわ」と感じることは誰しもあるが、友人たちと遊んでいるうちに消えてしまう。


林達夫のエセイに「子供はなぜ自殺するか」という文章がある。(思想の運命 中公文庫 278p)この中に、*ニール*という教育家が、「何が子供を病的にするか」に答えて「それは多くの事実についてみれば、両親の不和な場合である」「病的な子供は愛を求めている。それなのに、家庭においては愛がない」ルナールの「にんじん」という本も両親の不和から作られた「愛なき」家庭の不幸な所産であり、同時にその受難である・・・とする。「あんまり不幸だと自殺する子供もある」(にんじんの言葉)。にんじんのお父さんが話す言葉・・・

ルビック(にんじんの父):お前は生まれてきたときは、お母さんと俺との間はもうおしまいになってたんだ。

にんじん:僕の生まれたことがパパとお母さんを仲直りさせればよかったのになあ。

ルビック:駄目だ。お前の生まれた時はもう遅い。お前は俺たちの最後の喧嘩の真っ最中に生まれてきたんだ。二人ともお前なんか生まれて来てもらいたくなかったんだ。・・・(同書284p)


話を筆者が傍聴した会議に戻せば、統計上、昨年は自殺者数が3万人を割ったと言っているが、実は死因不明や引き取り手のない遺体が全国で多いと道警の人が発表していた。それをも自殺者と考えたら決して減ってはいないのである。最後に一言のコーナで、ある精神病院の院長から「死を美化する風潮が映像や漫画や日本文化の中に色濃く反映されていることは問題だ」「自殺報道のメディアのあり方、センセーションに扱い過ぎて、自殺は殺人同様、模倣されるので(岡田有希子の飛び降り報道で真似する子供が増えた事例を引いて)テレビや新聞の抑えた報道を促していた」。


この日は、報道席を設けたが、出席者はゼロ人だった。午後6時半開始で終わったのは午後9時を過ぎていた。NHKのEテレで、このまま撮影して番組にしても十分耐えられるディスカッションであった。生々しい討論会、会議発表であった。家族を自殺で失い、慰める会の人も、「行政が家族に踏み込んで、自殺予防の話を聴こうとしても拒否される、そっとしておいて欲しい」と行政と距離を置く人が多いとのことである。


*ニイル:アレキサンダー・サザーランド・ニイル・・イギリスの新教育運動家。「子供を学校に合わせるのではなくて、学校を子供に合わせる」という言葉は有名。


追加です。:昨日の「スマホが嫌いなわけ」について、記事を書いた投稿者から追伸メールが来たので公開します。

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昨年9月20日に書いた、「スマホが嫌いなワケ」に若い方からコメントを頂戴 した。スマホは使っているがPC愛好派で、画像処理や音楽に欠かせないとのこ と。若い人の中にも自分と同じように感じる人がいて、非常にうれしかったのと 同時に、ちょっとした疑問がひとつ解決した。書いた画像を送受信するのに、ス マホはコストがかかってとても使えないということ。以前からネット上にはおび ただしい数のアマチュアのイラストが公開され、中にはとんでもない高レベルの ものがあって驚いてるのだが、そういう若者と、所かまわずスマホを広げてる若 者のイメージが一致しなかった。だが、クリエイティブ指向の若者はちゃんと PCを使って、進化し続けているようなのである。なにかとても安心した。
話は変わるが、もしこのブログを読んでいる方でコメントしたいと思った方は、 何歳でも遠慮なく投稿してあげて欲しい。tose77氏は、かなり硬派の記事 が多いが、ご本人はいたって甘口の優しい好人物なので。

  1. スマホとのつきあい方。

    スマホの件は,同じ意見です。画像処理や制作にはデスクトップの27インチのマックを主に,出先では,重いですが鞄の中の14.5インチのパワー・ブックとポケットWi-Fiルーターを使っています。時にはノートPCやタブレットでWi-Fi電波を拾って使用する事もあります。スマホは主に通話とカメラ機能とブログチェックなど用に使います。カメラも一眼レフのほうが好きですが,広告用写真撮影以外は,いつも携帯していない場合が多く,モニター程度の写真はスマホで撮影して,そのまま報告メール添付したり,マックに送信し,加工したりしています。今朝は,スマホのi OSを10.2にバージョン・アップしました。最初は変わった画面に戸惑いましたが,午前中のうちに慣れました。そう言えば,電話工事の方々や技術系のプロの方々はスマホなど使って居ませんね。みんな二つ折りの携帯電話とタフな携帯PCを持ち歩いていますね。片手で器用に使いこなしながら作業しています。僕のスマホとのつきあい方は「余り深くなく,それなりに」です。

  2. 我が家の自殺願望者。

    我が家にも自殺願望の中学一年の女子がいます。「リスト・カット」と書かれたメモを僕が見つけて注意はしていましたが,カッターで手首を傷つけてしまいました。サポーターをして隠してはいますが,何度か試みたようです。そんなある日,僕のスマホのラインに彼女から「風邪を引いたので薬を買って来て」、「SS製薬のブロン錠をね」と。素直に受け取った僕は買って帰りましたが,その晩に彼女はその錠剤を一気に大量に飲み自殺を図りました。その事は後で知りました。実は彼女に優しい僕に嘘をついていたのでした。薬の事は,スマホのネットで調べたのでしょう。その次に同じ要求をラインしてきましたが,「明日朝一番に病院につれていくから」と断りました。原因は両親の離婚と家を出て数年後の最近,再婚した母親への執着愛からの鬱と,「文豪ストレイドッグ」のアニメの登場人物の中のチュウヤのファンで,自殺願望の引き金になったようです。妹や弟たちは現実主義ですが,むしろ長女で両親の愛情たっぷりに育てられた事がかえって仇になってしまったようです。これからも突き放さず見守って自立させてあげたいと思っています。

  3. 灯油焼身自殺未遂。

    僕の又従兄弟が前進に灯油をかぶって火だるまになって自殺未遂を起こした事がありました。選挙に関わって責任を自ら下そうとしたようです。小さな田舎町では誰もが知っていましたが,僕は田舎に帰るまで知らずにお土産持参で彼の家をたずねて初めて知り愕然としました。彼は日本手拭いを頭からかぶって,口で手ぬぐいの端を噛んで頬のケロイドを隠していました。親に似ていい奴でした。今では立直って暮らしていますが,あの当時は,かける言葉を失いました。

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