2012年7月発刊

昨日、ペストの話を書いたが、記録に残されたペスト死・疫病の歴史は相当古いし、別に文字で残されていなくても、実際、たくさんの人が亡くなった(はずである)。人間の歴史で、今の時点であること・見えることは、過去を同時に見ている、きっと昔も同じようなことがあったはずと思うのは当然で、歴史を学ぶ意義もそこにあるし、汲めども尽きぬ知恵の宝庫が歴史であったりする。

 

ペストの歴史は、だから比喩として考えれば、現代社会の態様に甚大な被害をもたらすウィルスや海外渡航者の来訪で広がる伝染病もそうだし、一番は福島原発のメルトダウンと損傷。あてにならない専門家のいい加減な言説の山に国民が振り回されて、『専門バカとバカ専門』の人々にメディアが占拠された時間を返してほしいと筆者なら思う。

 

先月、NHK特番で日高の鵡川町の穂別で見つかった恐竜の化石の番組をしていた。化石収集趣味のおじさんが山の斜面に『おや?あれは化石ではないかな?』と掘って持ち帰り、専門家に調べてみると、『このあたり一帯を掘ってみよう』ということで掘ると、全身骨格に近い骨を発見した。歴史・過去は、地層の中や地層の表面に顔を出していたりするので、よくよく見ましょうね・・・ということである。そしてそれは未来(この場合はなぜ恐竜は滅びたのかなど)を指し示す。つまり、現在の中に過去も未来も含まれるとはそういうことである。

 

人を見る場合に『第一印象が大事だね』という言葉遣いも、実は『表面の顔に、彼の過ごしてきた時間、これからするであろう出来事(仕事や人間関係の構築可能性)を』瞬間的に、見た人が光の速さで判断するのかもしれない。すでに7回書いた『ペスト』について、再度書くのは、デフォーの『ペスト』が同時代人の記録として書かれていたからで、さらに彼の視点に自分の書いたものが未来の人たちにわかってくれたらいいなあという記述もあって、筆者は応答のブログを書いたのである。こういう同時代人が視点を高く天まで昇らせ、目は地面を這いずりながら、生きてる庶民に横から観察して書くのは並大抵の気力ではできない。

 

16世紀、カリブ海の金銀財宝を目指して艦隊を送り込んだスペイン。宣教師としてカトリックドミニコ会の宣教師ラス・カサスが同行したが、次々にインディアンを虐殺する同胞のスペイン人について『インディアンに関する簡潔な報告書』を国王に書いたことを思い出す。『なぜ、同じ人間に対してこうも残酷な行いをするのか』と詰問する・弾劾する文書を当時の国王に送ったのである。モンテーニュの『随想録』にも同様な記述があったと記憶する。しかし、これが労働力として西アフリカから黒人労働者をインディアに変わって運ばせたとも言われている。別称この『黒い報告書』はスペイン王室かカトリック教会に深く隠されて、国民に見せないようにしたのである。この文書が日の目を見たのはフィリピンを取り合うアメリカとスペインの戦争(1898年)でアメリカ側からスペインの非道を暴くものとして世界に出された。権力側はいつも都合の悪い文書を隠すことになっているのである。メディアや勇気ある人はこれを暴こうとする。『新約聖書』『旧約聖書』でも信者に知られたらマズイ言葉は、深くバチカン図書館にあるかもしれない。

 

しかし、人間には想像力があって、『あれっ、おかしい』という事実の断片から、膨大な新事実、広大な嘘を発見することもできる。デフォーの『ペスト』を読みながら、そんなことを考えていたので報告しておきます。『現在の中に、過去も未来も含まれている』と思うと現実が多面的に立体的に見えてくる。今にすべてがある。あの人があそこでああいう行動をするのは、少年時代からああいう性癖がずっとあってしょうがないのだ・・と思ってる親や教師がいるかもしれない。見たくないものは見ないように生きることはできる。しかし、それは何倍も大きな負債として未来に返ってくるものだ。もちろん利子をつけて

 

中曽根と正力松太郎から始まる原発導入に始まる原発推進の国家プロジェクト。ISもアフガン戦争で旧ソ連を食い止めるために莫大な資金と武器を供与し、軍事訓練までさせたアメリカ・CIAが作ったようなもの。供与した武器が今度は自分に返ってきている。築地問題も森友も加計も丸投げ仕事、丸投げ計画はいずれ本人たちにブーメランのように刺さる。明日はペストの2回目。

  1. 現在・過去・未来も過去の繰り返し?。

    今の政治に,過去と未来を見るとしたら,未来は危険ですね。安倍氏も過去のおじいさんの顔にそっくりになってきました。つまり過去の一部が地表に顔を出したのでしょうか?。そして掘れば掘るほどに未来は過去の歴史を繰り返そうとしていますね。「首相!前線にお先にどうぞ!」のキャッチ・コピーで自衛隊員が整列して安倍氏に道を譲っている「ブラック・ユーモアのポスター」を思い出します。

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