FAXの話

会社や家庭で、いまだにFAXを使ってる日本社会は遅れているという話を聞きます。確かに近年ではすっかりFAXを使わなくなりましたが、それでも新しく事務所を開いたり家庭を持つ際に、新たにFAXを買う人はまだまだ多いと思います。理由は簡単で、まだFAXを持っている相手がいるからです。FAXを持っている相手がいるのを知っていながら、あえてそれをやめてしまうことに抵抗がある人もいるでしょう。

FAXは時代遅れではなく、他の通信手段にはない「安全性」という特色があります。交通に例えれば、インターネットが途中から公共交通に乗り合いで行くことだとすれば、専用回線である電話とFAXは自家用車やタクシーで行くようなものです。いくら暗号化されているとは言え、インターネットは通過するサーバーなどに記録が残り、盗み見や改ざんの可能性が捨てきれません。これに対して電話やFAXを盗み見や改ざんするなら、電柱に登って電話線からコードを引っ張ってこなければなりません。

宮内庁から令和の年号を各国大使館に伝えたのもFAXでした。同じ通知でも、最も格式が高く相手への敬意がこもっているのは、出向いて口頭と書面で伝えることでしょうが、相手が多い場合には時間がかかる上、訪問の順番が問題になる場合もあります。郵送は相応の格式がありますが、即時性に問題があり、電話で口頭でというのも、外国人に漢字を伝えるのは困難です。そしてインターネットは問題外となると、FAXしかないことになります。私も海外のサイトのショッピングカートが怪しいときは、FAXでクレジット番号を伝えていました。これだと怪しいのは相手の店の人間だけで、通信自体は安全だからです。今はやりませんが、それは万一の場合にクレジット会社が保障してくれるからで、安全だからではありません。

日本の電話回線のインフラ整備は明治時代から始まり、インターネットのはるか前に家庭に電話回線がつながっていました。それに比べていわゆる途上国では、ほんの10年ほど前まで村長の家にしか電話がないという状態から、いきなり携帯電話、スマホ時代になりました。各家庭まで線を引き込まずに電波塔を立てるだけでいい携帯は、後進国向けだったわけです。

世界にはFAXを使ったことがなく、置きたくてもできないという人も少なくありません。日本はFAXの選択肢があるから使いたい人は使う。日本は遅れているというより、恵まれているというべきでしょう。

  1. FAXは余り使わなくなりました。今ではオフイスの片隅の複合機がFAXですから、コピーやプリントをする時以外は近寄らず、ともすればFAXが来ている事さえも気づかない事もあります。こんな調子で皆さんデスクのPCが仕事のツールですから全てPCで済まそうと考えているのでしょう。複合機でプリントしたものを再び複合機でスキャンと同時にPDFにして自分のPCに転送。それをメールに添付して相手に送信。FAXだけの方がシンプルですが、写真などの場合の解像度の悪さの問題はPCメール添付にはかなわないですね。しかしセキュリティの観点からは、古いシステムやシンプルなもの程安全性は高いと言う訳ですね。

    • 役所との仕事はFAXを数多く私用します。特に国の行政機関はFAXや郵便を多用します。メールは覗かれる危険があるからだそうです。ところが東京の霞が関からの文書は平気でメールで来ます。札幌の出先が過剰に本省の指示を守ってる現象(連絡にはメールは使うな)が見られます。過剰適応現象です。FAXは安全性からいうと高いですね。おっしゃるとおおりカラーは送られないですがね。セキュリティ守れないと首が飛ぶ官僚の世界、何でも確認確認確認確認。自分の責任あっちけ行け・・で生ききてます。プリンターあればFAXあるのでこれから使用頻度が増えると思います、在宅勤務増えれば。

  2. 年金老人
    FAXは固定電話番号を持たないと使えない。
    FAXの回線には、アナログ回線と光回線があるが、光回線は特有のIPアドレスがある。(当然非公開)
    セキュリティから見ると光回線はIPアドレスさえ知れば情報を盗まれやすい。
    アナログ回線は電話局直接収容なので、盗まれないし(電柱に登れば別であるが)、印字品質は断然アナログの方が良い。また警察や新聞社、消防署等公共機関には必ずアナログ回線が電話機やFAXに繋がっています。停電になっても電話局さえ無事なら使えます。意外と日本政府も秘密の事はアナログ回線を使っているかも。

    • なるほど、固定電話が少なくなるとFAX台数も減るが、アナログであるがゆえに秘密も守られやすいということか。停電ではしかし、いまの電話は電気を使用するので(液晶部分)使えなくなります。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です