お先にどうぞの生き方。「そちらこそどうぞ」

70歳を過ぎた政治家と経営者は早く知ってほしい。引退の時期を皆さん間違えている。本田宗一郎は65歳で引退した。

内田樹さんの本に、究極の倫理的な生き方は、「お先にどうぞ」を実践することだと映画「タイタニック」でディカプリオ君が恋人に浮き輪を上げて、沈んでいくシーンを書いていた。他人を生かすために自分の死を厭わない生き方である。年齢から言うと、若い人がより長い人生を過ごすわけだから「あれをしたい」「こんな新しい仕事をつくりたい」「こんな思いつきがあるんだけど」など次々にアイディアが浮かぶ人がいるものである。失敗しても何度でも復活させる仕組みを作って安心してチャレンジできる世の中にしたいものである。10代でも20代でも30代の男女で世の中に積極的に打って出る人を応援して、せめて、彼らの邪魔をしない中高年になりたいものである。

筆者は新しい仕事や企画を考える会議を何年にもわたって主催してきた。その実感でいうと最低ひとり10案はいろいろなアイディアを持っている。その中で一つ二つはシンプルながら実現する場合がある。会議はご存じのようにマイナスの意見に流されるケースが多い。そういう「失敗するかもしれない」「言うが損、責任を取らされる」という無言の空気が会議室に流れて、大脳を委縮させがちである。しかし、そのとき40代や50代の「やってみては。それ面白いよ」と背中を押してくれる上司がいると気持ちが楽になる。ここに小さいながら資金提供(予算)がつけばしめたもの。前のめりに生きてきた私だから言うが、初めての仕事はしんどいものである。手探りでいくしかない。何度も私は失敗・挫折したが、「ほら、だから言っただろう。ダメだって、それ」と口出しする先輩もいたが、後ろ押しをしてくれた上司は「勉強代だと思えば安いものだ」「次に頑張って」と言ってくれる。

この話をなぜ書くかと言うと、どうも世の中、異なる意見や、ちょっと変わった視点、いわゆる変わり者へ、今までにないものの考え方を抑圧する空気が流れているようで気になるのだ。戦前の大本営発表に日の丸の旗を振って提灯行列をしていた国民が馴らされた時代と変わらないねと思うのである。そういう空気を破る生き方、考え方が「お先にどうぞ」と若者を激励する中高年の役割のような気がするのだ。激励しなくても邪魔しないで、風通しを良くする裏方仕事を手伝う程度で見守りたい。そういうところから世の中をいい方向へ変えていくシステムや起業の種が生まれると思うのである。これからの世界に未来からの信号を受け取ってるかもしれない人々に「お先にどうぞ行ってください」。「何か助けすることがあれば遠慮なく言ってください」。未来のある人に道を開けましょう。

2 thoughts on “お先にどうぞの生き方。「そちらこそどうぞ」

  • 2021年5月9日 at 9:51 AM
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    時代の違いを感じますね。やる人、出来る人、新しい時代に即応できる人は若い人に多いと思います。我々は幾つもの時代を経験してきましたが、今の時代には適応しなくなってしまっていますね。例えば音楽の世界でも、古き良きものは知っていても、新しい今の音楽には着いて行けませんね。このように音楽の例をとっても、Web中心のメディア環境にしても、若者たちが活躍できる時代の証かもしれません。ですから我々から継承するものは無くなったとも言えますね。

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    • 2021年5月9日 at 1:41 PM
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      フランスの社会学者でブルデューという人がいました。人にはハビトゥス(癖や傾向、習慣や傾向性)があって、家庭や学校で刷り込まれた価値観があります。それがどんな場面でも出てくるというのです。昔、努力できたこと、またそれをやるぞという気持ち(性向)は死ぬまで続くと言います。学校時代、机に座っていられたこと、集中してできたことは社会人になっても定年後でも全く応用可能な行動ができるというわけですから、昔の少年さんが長い間、デザインしたりコピーを机の上や車の中でつくれたことは、それは小さなころから続いてきたことなのです。私も何気なくNHK100分で名著のブルデューを借りて読んだら目からうろこでした。なのでどんな時代がきても大丈夫です。この習慣は、自分の周りの環境や教室での先生との出会いも含まれて、自分で獲得したものではないだろうと思います。お先にどうぞは、かなり高度な人生観で、なかなかできることではありませんね。どんなメディア環境になっても、メディアを離れればただの人ですよ。彼からみたら昔の少年さんの豊富な自然体験が羨ましく思われますよ、きっと。ブルデューは72歳で2002年亡くなりました。フランスの貧しい農家に生まれた天才でした。

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