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山川出版「ペストの歴史」(2500円 宮崎楊弘1940年生まれ)は2015年5月に出版されている。いざとなった時の危機管理にも言及している。9.11や3.11の悲惨な事件を念頭に置きながら筆者は書いている。この本を書くのに10年費やしている。ペストの歴史ではあるけれど、疫病史に限らず、人はどう振る舞ったか、都市国家はどうなったか、ペストのお蔭で近代国家ではあたりまえの検疫制度や公衆衛生が発達したこと、言いにくい話だけど、誰かが死ぬことで財産持ち、大金持ちが出現したのも現実。誰かが損をして誰かが儲ける宝くじや競馬や株の世界に似ている。誰かの犠牲の上で誰かが繁栄している。

有名人のスキャンダル発生で週刊誌が売れて、テレビの視聴率が上がるようなもの。ペストの時代、正式な相続人がおらず、全家族死亡の家に泥棒に入れば、金持ちに成れる。

ペストはWHO「世界保健機構」によれば、1984年から1992年まで1万30件起きて1201人が死亡している。大多数は腺ペスト。モンゴル、中国、カザフスタン、イランだ。インド、ミャンマー、ラオス、ベトナム、インドネシアも要注意だ。アフリカでも注目はマダガスカル。2012年のペスト患者256人、死亡60人。現代のペスト死者の60%はマダガスカルだ。南アメリカにもペスト菌はあるし、アジアからサンフランシコへ、ペスト菌は定着している。

最後は、ペストが生み出した文学・絵画・音楽・演劇といった文化遺産について。ボッカチオ「デカメロン」はペストを避けるため10人の男女が10日間に代わる代わる一話話して合計100話の話をする物語。英国デフォーの「ペスト」。フランス詩人ロンサール、フォンテーヌの「寓話」。近現代ではエドガーアーランポー「ペスト王」コナンドイル「ナイジエェル卿」。イタリア・マンゾーニ「婚約者」なんといってもカミュ「ペスト」ペストはファシズムの隠喩として使われている。

絵画でもラファエロ、ダビッドが「マルセイユのペスト」を書いた。スペインのゴヤも「ペスト患者の施療院」を描いている。映画ではエリアカザン「暗黒の恐怖」、イングリッドベルイマン「第七の封印」。音楽でもリスト「死の舞踏」サン・サーンス「死の舞踏」ドビッシー「聖セバスチャンの殉教」。最後に、当然、ペストが流行するとキリスト教への信仰が高まる。したがって膨大な寄付が集まるようになって、教会を新しくする資金として使われ新しく礼拝堂を建築して、自分たちの祈りの場を立派に大きくしたのである。レンタルビデオに行くと、感染症で人類危機話がたくさんある。

私は6回これを書きながら思ったのは、ペストって実はお金だったり、SNSだったり、すぐに交換する(されるもの)、そして伝播する(感染する)こと全般を著者は結論として言いたいのではないだろうかと思ったのである。深読み過ぎだろうか。現代のペストはノミに媒介されないが、ネットで媒介される。あくまでも比喩ではあるけど。軽いうつ病も環境が媒介して転移すると私は思ってもいたので。

明日は「豚肉の歴史」・・フードタブーの発生です。

  1. サイバー攻撃がますます盛んになって日本も標的にされている。「ウイルス」と言う言葉はWeb用語に化してしまったが、元々は生き物の病原菌だったはず。「ウイルスに感染?」最初の頃は、どうやってPCの中に菌が入ったのだろうか?などと不思議に思ったものだ。PCや携帯端末に限らず比較的ウイルスに犯されないOSに切り替える人達まででるほどで、地球上の多くの人がウインドウズのOSが入ったPCに頼って暮らしている。まさにPCのウイルス感染は現代のペストのようだ。ひと昔前はエロ動画で自動的に会員登録させて脅す荒業が多かったが、手の内もバレた今では、身近にも日常、新手の詐欺被害が発生している。国のシステムが変わるたびに、電話で公的機関などを名乗って悪用する者が現れ、騙され大金を奪われるケースも多いが、これも悪知恵(裏を返せば頭がいいが)で、詐欺防止の係員が全く居ないコンビニやスーパーマーケットのCDコーナーから操作させる手口が主流だ。現代はネットでのショッピングもすべて対面しないで済むから犯罪もお互い相手が見えないところで蔓延する。これらの全てが現代の伝染病とも言えるだろう。

  2. TVを見ると、○○病院だの○○大学だのといかにも信用させようとする肩書の大先生たちが雁首そろえて出演し、おバカタレントたちが花を添えて病気の話ばかり。そしてCMチャンスには今度は健康食品ばかりだ。番組編成で既に仕組まれている中にどっぶり使って視ていると視聴者はみんな病気になってしまう。人は必ずどこかが悪いに決まっているからだ。血糖値だの血圧だの中性脂肪だのと、気にしていない人以外完璧な人など少ない。TVも病気をどんどん感染させているようだ。

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