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2月7日のニューズウィークの見出しは「トランプ大統領」についての特集だ。NewsWeek は多少、民主党よりの雑誌なので、少し差し引いて読まないといけない。日本の新聞やテレビ報道より、書き手が直截な表現が多くてわかりやすい分析だ。

まさかアメリカのマスコミはトランプがここまで共和党の大統領候補の先頭を走るとは思わなかったと、正直に書いている。失言や罵詈雑言、とても外交はできない、テカテカの髪の毛(ヘアスプレー使用・オゾン問題へっちゃら)とか「アメリカの大統領にするには対外的に恥ずかしい候補」という印象をインテリたちは思っていたが、いつの時代もどこの国でもインテリは情勢判断を誤る者だ。書かれたものや表現されたもので判断して、自分の五感で世間を判断しようとしないからだ。官僚もマスコミも同じだ。文学者や詩人のほうが市井に生きていて正確に言い当てるのも、五感が健在だからだ。例外もたくさんいるけど。

トランプの各論点についてざっと書いてみる。(同紙29p)

1)銃規制・・「武器を保有・携帯する権利こそが、われわれの自由と他の権利を守る」相次ぐ銃乱射事件にもかかわらず、規制に反対。銃犯罪を犯しそうな頭のおかしい人は施設に隔離する。

2)在外米軍・・「撤退させれば何百万ドルも浮く」欧州に限らず、在外米軍が大きな財政負担になっている。「いつまでタダで韓国を北朝鮮から守るんだ、その必要はない」と言う一方「中国のけん制のため米軍強化を」と矛盾したことを言う。

3)イスラムとの関係・・「イスラム教徒を入国を完全に禁止する」テロの真相がはっきりするまで。モスク監視や信者のデータベースを作ることに意欲。

4)移民対策・・「南部の国境には壁が必要だ」メキシコの移民を「犯罪者やレイプ魔」。万里の長城のような壁を作り、費用は全額メキシコ政府に負担させる。

5)テロ対策・・「わが国民を殺そうとしている連中にわれわれの発明品を使ってほしくない」ISISがソシャルメディアを通じて勧誘していることを受けての発言。ネットを遮断すればいいと言うが「アメリカ国民も困るよ」と言われて沈黙。

6)税制改革・・「アメリカンドリームを実現できるように財源を増やす」アメリカ企業が祖国を捨てて国外へ出て行き中産階層が貧しくなったと嘆く。夫婦で年収5万ドル以下は税金をゼロ。相続税を全部廃止。財源は富裕層への減税措置を止めて捻出。

7)退役軍人へのケア・・「退役軍人省の施設に600万ドル以上つぎ込み噴水や銅像を作る無駄」を指摘、それより彼らへの医療サービスを手厚くする。

これまでの大統領候補と違うのは、大金持ち(不動産王)ゆえ、ほかの候補がウォ-ル街の投資・金融機関や製薬メーカー、保険会社やエネルギー会社から選挙資金を投下されて、戦う選挙ではなくて自前と寄付でやってるから「言いたい放題」が受けていて、特にブルーワーカー層の白人(自分たちの代弁者がいなかったし、選挙に関心も低かった層。失業に怯える層)が熱狂していることだ。ブッシュや現職の州知事、上院議員や保守に強いクルーズ。オバマに近い、妻が証券会社ゴールドマンサックスで働くルビオなど華麗なキャリアを持つことが災いしていると言う奇妙な選挙だ。トランプは倒産・失敗・離婚、あっちにいったりこっちに来たり、意見もコロコロ変えて右往左往。そこがうけたのだと筆者は思う。

インテリから言うと反知性主義の流れに落とし込む層だ。1920年30年時代のドイツに似ているともいえる。失業者が強い指導者出てこいと出てきたのが「国家社会主義ドイツ労働者党」(ナチス)ヒトラー党首だった。明確でわかりやすい、すぐに敵はここだと指摘して迫害させる生き方だ。トランプ以外は全員で足の引っ張り合いで、共和党自ら招いたことだとニューズウィークは手厳しい。

オバマの政策になんでも反対を使命にしてきた共和党は、ここにきてパニックに陥ってる。党内のモラルハザードだ。かつてといまのアフガニスタンやシリアの状況「破綻国家」の様相だ。共和党は議会で過半数を制しながら、何も建設的なプランを出せなかった。共和党が漂流している。ヨーロッパの既成政党も社会に溶け込めないイスラム教の若者たちのレジストに、地元若者(中産下層階級含めて)中心に右傾化(イスラム排斥・移民排斥)が北欧を含めて支持されているのに似ている。日本でも匿名によるネット右翼の横行や罵詈雑言の排他性(クレーマー)跋扈に近い。

誰かが言っていたけど「人間は歴史から何も学ばない」。学ぶと言ってるのは歴史番組を作ってるTV製作者や学校の先生と説教好きなプチインテリ、悠々自適の年金生活を送る高齢者だけかもしれない。現実はどんどん退化しているように、1週に3回は街中を歩きたくさんの人とお喋りしてる筆者には思える。

  1. 異色な人物もTVの司会などで選挙前から着々と下地を作っていたのだろう。思い切った発言も外交的ではなくとも現時点での国内での発言は話題性もあり人気取りには絶妙なテクニックだ。日本でも過去に田中角栄氏がいたが、彼は思い切った政策と「よっしゃ!」の連発で現在の日本に改造した。今、彼の改造した日本が壊れかけては来ているが、彼が選出された時も驚いた。トランプ氏も新しいマジックを使って最終的に上り詰めるのだろうか。

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