帝王学「貞観政要」(山本七平)日経ビジネス文庫

 

貞観とは、唐王朝2代目太宗李世民の年号。唐王朝はは618年から907年まで281年間続いた。その前の隋が589年から618年の29年間。いかに唐王朝が長期政権であったのかわかる。今も昔も「権力の周辺には阿諛追従の徒」が渦巻く。殷や周の時代、隋の時代に帝王の廻りで起きたたくさんの事件の本質から、それが原因で王朝が滅んだ。「貞観政要」は、そうならないよう太宗の側近たちが書き残した帝王学としての言葉。なかでも魏徴は孔子などに隠れて有名ではないが、人事の要諦、人材の登用から失敗まで書かれている。この本を読んだ形跡のある人は源頼朝、徳川家康。人を見分ける術で六邪に気をつけろとある。同著98p

一)見臣・・・官職に安住して高給をむさぼるだけで、公務に精励せずに世俗に無批判順応して、ただ周囲の情勢をうかがっている。

二)諛臣(ゆしん)・・主人の言うことには皆けっこうとですと言い、行いも御立派ですと言い、密かに主人の好きなことを突き止めてこれを勧め、見る物聞くものすべてにいい気持にさせる。

三)姦臣(かんしん)・・本心は邪険陰険なのに外面は小心で謹厳、口が上手で一見温和、善者や賢者を妬み嫌う。・・・自分が失脚させたいと思う者は短所を誇張して長所を隠す。

四)讒臣(ざんしん)・・自分の非をごまかす弁舌があり、家の中では骨肉を離間させ、朝廷ではもめごとを作り出す。

五)賊臣(ぞくしん)・・・権勢を思うがままにし、自分に都合のよいように基準を定め、自分中心の派閥をつくって自分を富ませ、勝手に主人の命令を曲げ、それによって自分の地位や名誉を高める。

六)亡国の臣・・・邪な気持ちをもってへつらい、主人を不義に陥れ、仲間同士でぐるになって主人の目をくらまし、黒白を一緒にし、是非の区別をなくし、主人の悪を国中に広め、四方の国々まで聞こえさせる

山本七平さんは「倒産会社を見ると大体六邪がいる」と言う99p。どんな本でも倒産する企業には必ず、こういう人に取り囲まれているし、国家にしても全く同じ。官僚集団、TV局・新聞社などでの権力闘争でもね。六邪に対して六正という人たちがいる。人を選ぶ場合、六正の人たちを選べばいいのだが、これがむつかしい。単なるペーパー試験で選べるなら、日本の官僚たちはこうはならなかったはず。最適解は、その人が生きてきた地方での評判を聞くと間違いは少ないかもしれない。必ず、性格が悪い、根性が悪い、他人の足を引っ張る、金に汚いなど出てくるはず。文科省の社会科や倫理社会に採用してもいい「貞観政要」。論語からの引用より、日々、官僚たちの生きざまを活写させるこの本を掲載させるほうが、子どもたちが世の中を深く知る本になり得ると思うがどうだろうか?