運動会の徒競走は一等賞を取った人とビリの人が出るけれど、もし後ろからトラがエサを求めて来たなら、ビリの人が食われる。しかし、前にトラがいた場合は一等の人が食われるから「勝ったほうが生き残るとは限らない」という話を養老さんが書いていた。(養老猛司 旅する脳 100p)


それで思い出したのが、札幌の進学高から東大文1へトップ合格、卒業もトップで大蔵省入省して翌年自殺した同級生がいたと話した知人から聞いた話を思い出した。エリートは叩かれるのに弱い。出自や学歴に関係なく、「生き残る、生き延びる、生き続ける」ことは、大変な人間の(個人や家族の)事業であることを思えば(無事に定年を迎えるのは夢のまた夢の時代に入っている)、個人的な能力や環境もあるだろうけど、棺桶に入るまで厳しい世の中だ。


棺桶に入ってから、子供や配偶者のことまで考えている人も多い。生命保険や遺産分割や葬儀のあれこれについてだ。小さなころから、私立幼稚園から始まるお受験と加熱ママのヒステリー。都会に住む人ほど、悩み深い。家庭内の事件も起きやすいわけである。たえず他人の暮らしと比べながら生きていくシンドさの中に住んでいる。この価値観には終わりがない。あるのはエスカレートと諦め・断念だ。


「世間が神の世の中」が戦前も戦後も連続してる世の中だから、信仰心はあるのだろうけど。国の栄枯盛衰も、似ていてそのときトップを走っていても、ジリ貧になるのは時間の問題。世界の歴史年表を見れば一目瞭然。今回のアメリカ大統領選挙を見ても、「アメリカを偉大に」「ユナイティドステイツ」を連呼したり、「NO1」にこだわった叫び声が会場に響く。


イギリスもかつて大英帝国、ドイツもゲルマン民族優越説、日本の八紘一宇(アジアを一つ屋根の下でまとめる考え方)、中国の中華思想(日本という国名も日の本、日が昇る国、中国から見たら東側の国。日本国名も中華思想の中にある)に通じる。


人類は闇の世界(異なる人種や言語を排他的に、不寛容な扱いをする癖)を持っている。水と食糧を求める戦争をし続けている。。アメリカは特に負け方が下手だ。第二次世界大戦以降、ベトナム戦争で負けたのを例外に勝ち続けてきた。CIAを使った犯罪的な戦争勝利も多い。スポーツが過剰に熱心な国は敵・味方、勝ち・負けに異常にこだわる。オリンピックもギリシャ都市国家間の戦争が多過ぎて、考えられた擬似戦争が起源である。競技期間中、休戦だ。競技場の中で裸で戦争をするのである。


フェイスブックやツイッターやマイクロソフト、アップルやグーグル、アマゾンだっていつまで繁栄するかは疑問である。永遠に繁栄する企業は100%ない。あるのは農業だけだ。IBMを買収したレノボやアイフォンを製造している中国がアメリカの中身を学ぶことで技術が移転(学び盗み)しているから、むしろこれから中国(人口14億人)がアメリカにかわってNO1の時代が始まっている。


アメリカ人(3億5千万人)の消費するエネルギーは日本人の4倍から5倍使っている(石油や水、食糧など)。中国が全国民の生活水準を上げれば上げるほど必要なエネルギー(石油と水・ガス・食糧)は膨大に膨れる。それを必死に確保する行為が尖閣諸島の領有権宣言。自国の石油ははるか西側にあり、運ぶだけでもパイプラインの敷設、イスラム教徒の混在で政情政情不安もある。どうしても尖閣の下に眠る油やガスが欲しいのである。問題はシンプルだ。


ABCD包囲網を作られて日本は石油を輸入できず、飛行機や船が動かないから軍部はパニックになり、インドネシアまで向かう戦争を起こした。精神ではなく物から考えるとわかりやすい。ブログテーマの「勝ったほうが生き残るとは限らない」という話がどこかへいってしまった。前回のオリンピック開催都市ブラジルのリオは祭りの後、超不景気に襲われて公務員へも給与払えず、デモ&デモ続き。IOC大会で開催都市決まった瞬間大声で「ヤッター!」の関係者、いまいずこに?勝っても、そこに時間を加えると、時間経過とともに劣化していく文明を見るだろう。コンクリートや鉄の劣化が早いように。雑草のほうが長持ちする。

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