きょうからデザインをシンプルなものにしました。スマホに対応できる軽いデザインにして、中身をじっくり読んでねというメッセージでもあります。

神への祈り、牧師さんからの励ましの言葉をもらいに、教会へ集まった人々も、さすがにペスト感染を防ぐために、多数の人が集まる教会へ行くのを恐れ始めていた。さらに牧師たちもたくさん死亡していった。会衆の中で通常の聖務を果たすことは、並大抵の勇気と信仰ではやっていけなくなった。会衆にペスト菌の保菌者がいることが考えられたからである。牧師たちも命がけなのである。参集した人々は驚くほど熱心で、教会は誰にでも扉を開けていた。


私はクリスチャンでもないのでデフォーが随所で神の裁き、神の復讐として神を愚弄する者を滅ぼすという文言には理解はするが、ついていけないと嘆息する。たとえば『神は、いまや、いわば剣をひっさげて、悪人ばかりでなく全国民の頭上に復讐を加えんとして居たまうではないか』。とはいえ、デフォーが見るペスト罹災のロンドンは、はじめのうちは観察する余裕があったが、猖獗を極めると情報の交換もなくなった。さらに兵隊がいなくなった。宮廷の移転とともにそちらへ行ったのである。ロンドン塔と官庁街にわずかに護衛兵としていた程度である。


したがって、ペスト患者が発生して家屋閉鎖した家々にいる監視人が中に住む住人か暴力を受けても、駆けつける兵隊はいないという状況であった。デフォーは最初は家屋閉鎖令の効能について、評価をしていたが、だんだんと『家屋閉鎖は、結局、有害ではなかったか』という考えに変わっていく。患者が疫病をつけたまま街中を徘徊するのは、食べるもの探しや慰め探しなので、ここをうまく解決していくほうがいいという意見に変わっていく。当時、シティおよび郊外で空き家が1万軒、20万人くらいが田舎へ退去。


ここで、デフォーから今後疫病などの災禍に遭う場合、役立つ話が披瀝される。(1)伝染病は大体、奉公人を通じて広がった。食料や薬を買うために往来を行き来して、感染者と接触しているからである。(2)ロンドンという町にペストハウスがたった1か所しかないという失策。最大200~300人しか収容できない。デフォーは1000人単位で入院できる病院が数個欲しいと言う。そうであれば、莫大な死者は出ないで済んだかもしれない。(3)この病気が100%伝染病で、ある種の臭気や呼吸や汗、腫瘍や悪臭など、医者でもよくわからない経路で感染するということ。そして最後に市民について、その怠慢ぶりを指摘する。『疫病流行の注意や警告が前から出ていたのに、食料や日常必需品を蓄えず、茫然と毎日を過ごしていた。備えあって命拾いをした人が多かった』。とはいえ、デフォー自身も、その愚か者の一人で、さっぱり食料など買い込んではいなかった。せめて1か月分貯めたかった。


この本は、まだ三段組で100ページも残っているが、エピソードが多くてきりがないので、この辺でおしまいにする。これは、ぜひ伝えたい内容があれば、特別編として書くということで、お許し願いたい。関心の向きは、中公文庫にあるからお読みください。偶然、7月2日、朝日新聞朝刊の『GLOBE』は、エボラはじめアウトブレイクについての特集をしていた。薬メーカーが開発費を投入する金額に見合わないので創薬にイマイチ力が入らない記事もあった。『貧者の病気』という位置づけ。富士フィルム開発の抗インフルエンザ薬アビガンはエボラへの切り札として緊急に使われたが、厚生労働省から薬事許可は下りていない。

新薬開発のキーは薬ハンター(植物ハンター)の存在で、きょうも世界中の野山を駆けめぐり、原住民から話を聴いて「これが昔から効く」という薬草を集めて、薬学部のある大学やメーカーの「薬草栽培室」で植えられて、化学式を分析されて、長い年月・研究費をかけて何かいい効果のある薬はできないかマウスをモルモットに、地味な仕事が続いている。ジェネリックスは医療費大幅削減の意味で使用されてるが、私の糖尿の72歳の主治医は「効果ないよ」と否定的だ。

中公文庫

 

  1. 人間を護る悲惨な殺処分。

    ジカ熱に限れば,アフリカの「ジカの森」に数十メートルの鉄塔が建てられていて段階的な高度ごとに野生動物を置き,蚊の攻撃にさらして実験していると言う。人間を護るために動物たちが生きた実験台にされているのが医学の現場ですね。動物から感染すると言われる伝染病も動物も犠牲者で蚊や微生物などとの接触が根源のようですね。あの野生動物の宝庫「マダガスカル島」は一番危険な区域のようですね。人間ばかりではなく感染した動物たちに効く特効薬の開発も必要かも知れませんよ。今のところは鳥インフルや狂牛病で大量殺処分しかないようですが?感染していない動物たちは悲惨ですね。

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