どこかが得をするとどこかが損や犠牲を強いられるのが市場世界だ。会社のエレベーターに運輸会社の社員がいると筆者は声をかける癖がある。特にヤマト運輸が企業として請け負っているアマゾンの通販。彼らのアマゾンについての実感を聞きたいときがある。報道される二次加工のニュースより実際に運んでいる現場の人の声が聞きたいのである。

これまでの法人から請け負っていた宅配業務を個人へと転換したクロネコヤマト。そのアイディアを実現するべく、三越との関係を切ったのは業界の風雲児小倉昌男だ。全国へ配達するためには地域だけの配達ではダメで全国ネットワークが必要だ。しかし、地元には既得権を振りかざす運送業者とそれを守る政治家や運輸省の壁があった。『宅急便』をつくってもスムースに配達できないとその存在理由はない。小倉昌男はその許認可に運輸省と戦争した人だ。裁判闘争も行い、勝訴した。そのいきさつを書いたのが彼の名著『経営学』。1999年9月に書かれた。古典でもあり、ときどき筆者は読みなおす。

当時の三越の押し付け(お歳暮やお中元の仕事を出しているんだから、五木寛之原作の映画(奈津子)の前売り券を買え)次々と要求がエスカレートして大和運輸の利益を食ってしまう。このままでは倒産する。そして決断する。1979年2月末日『今日限りで三越との縁を切る』。これからは『個人』を相手にする。社員にそのマークを募集したら、出てきたのが現在のクロネコが子供を咥える絵だ。クロネコヤマトのロゴになった。

『需要はあるのではなくて、つくるものである』(経営リーダーの10条件のその4にある)ほかに『行政や政治家に頼るな、頼むな』『経営者は身銭を切れ』など、政治家のパーティー券を買ったり、飲み屋で領収書を取ったり、サイン一発で公私混同の買い物をしたり、キリのない金の使い方をしがちである。それを戒めている。お金はその使い方に一番、その人が出てくるからおかしい。企業体質もそうで、国の予算の使い方でもそういう面が強い。渦中にいるとわかりずらと思うが、外から覗くとよく見える。

そこで表題のヤマトの社員が吐いた冗談のセリフ。私が『アマゾンの通販多くて大変ですね』という問いに『アマゾンも運送会社を持てばいいのですよ』と答えた。『でも、自分もアマゾン使ってますけどね、あっはっは』。中国も通販の荷物が急増して段ボールが不足している。古紙の単価が上がっている。私はアマゾンで物を買ったことはないが、娘が我が家に長期滞在するときに、水を2ケース頼んでいた。トラックから2箱を運んできたとき『水ならここの近くに売っている。欲しいなら私の車に乗せて買いに行ける。運転手に負担をかけるな』と叱った。『だって、炭酸入りのこの天領水は普通の店にはない』。

都会では運んでも(配達の指定時間を守っても)届け先が不在が多い。道路もガソリンも不必要に消費する。最初のヤマト運輸の社員が『アマゾンも運送会社を持てばいいのに』というセリフは、日々の労働の苦労をあんたがたも体験してみなさい・・・という風にも理解できる。この次、エレベーターであった時に、さらに詳しく聞いてみたい。通信販売というシステム依存症に罹ると、安く買える、楽だ、店に無いもとが買える、見ているだけで楽しくなる。テレビの健康売りとフリーダイヤル連呼も似たようなものだ。もう少し高くてもいい、苦労をして探し、足腰を動かして、対面で会話をしながら物を買う時間を増やしたいものである。便利は乱暴な人間(怠惰な人)を再生産しがちだ。

  1. 送料の不思議?。

    確かに今の流通はスピーディですね。例えば、イベントで急きょ必要になったTVスタンドを1月28日にネットで探してamazonで買いました。大袈裟なものの割には送料込みで8,590円と安かったのです。するとクレジット決済をした直後に即、31日にクロネコヤマト便で届きますとメールが来ました。当時東京も大雪でしたが、札幌も雪の中をネコロジーと書かれたキャンバス地の箱の台車で重そうにオフイスまで運んで来てくれました。思わず「大変でしたね、ご苦労様」とねぎらいの声を掛けました。僕も自前の台車でガレージまで運んでクルマに乗せましたが、15kgほど有って雪の凸凹道は苦労しました。冬の札幌ではソリやクローラの付いた台車も時々見ます。夏は自転車とリヤカーを組み合わせたものも見ました。しかし階段しか無いマンションなどは大変ですね。どんな場所にでも確実に運ぶ彼らのプロ根性には頭が下がる思いですね。ところであんなに重いものを運んで送料は一体いくらなんでしょうか。私たちが送れば数千円はするでしょうね。

    • 会社でもスピーカー探しをしたとき異口同音に『アマゾンで調べたら』と女性陣から返ってきます。私は、昔から信販系
      カードで痛い目にあってから、最低限(リフォームや高い電化製品はカードを利用するが)通販は使わないようにしています。
      イベントは助かりましたね。道内の本州送りは物産は郵便局かヤマト運輸に決めています。トラックドライバー不足です。息子
      も食糧を輸送する会社で運行管理者をしてますが、高齢ドライバー多く、悩みを抱えています。

  2. ホランペッター。

    昨年3月末にamazonで、安いトランペットを買いました。4月初めに、待ちきれずに佐川急便のセンターに受け取りに行きました。大きな段ボール箱にケースごと納められていました。早速試奏しましたがピストンの不具合で練習もままなりませんでした。欲見ると中国製でした。安い楽器ですから仕方ないかと半ばあきらめて時間をかけて慣らせば何とかなるのではと思いながら年を越してから保証書を見つけました。それには、初期不良は2週間以内に。製品保証は1年間と書かれていたので、連絡をして段ボールに厳重に梱包して不具合説明文を同梱してヤマト便で愛知県の修理センターに送料元払いで送りました。相当期間掛かると思っていた修理が意外にも早く、数日で今度は佐川急便で届きました。ヤマト便の受付は女性でしたが、佐川便も配達は女性でした。トラックの運転や力仕事の分野も女性進出が目立ってきました。運送業も運転手不足なのでしょうね。

  3. 送る方も配慮を。

    福井の義妹に北海道の美味しいジャガイモを使用した冷凍食品をヤマト便で送りました。現在福井は豪雪です。配達伝票に僕が何気にチェックを入れた明後日の午前中配達指定に間に合わなかったそうです。その日の夕方義妹宅にヤマト便の配達員が遅延を平謝りで届けてくれたそうです。そんなに急いでいたわけでもないのに、僕の時間指定のせいで気の毒な事をしてしまったと反省です。福井の豪雪は経験済みですから、今度から冬の配達指定は、僕たちも配慮しなければいけないと思いました。

    • 時間指定は、運転する人のことを考えると少し残酷なシステムかもしれません。イベントが○○月○日に、誕生会とかあるのなら
      別ですが。いまは共稼ぎが多くて不在多い。そこのところ、工夫を始めています。近所のコンビニに取りに行くとか動き出してます。私の団地は
      自転車でリヤカーを引いています。若い女性です。街中は滑車付きの台車を引いてますが、いつまでこういう光景が続くのか、続け
      られるのか疑問を持ってます。一番はトラックドラーバーの熾烈な取りあいです。それと荷物運びの車への駐車違反の緩和です。神経が
      やられてしまいます。ヘトヘトになります。ビル街はどんどん高層になって、ネットで運び、文書を取りに行く。ヤマトや佐川、郵政の職員に
      聞くと、クレーマーの実態が転がってる気もします。コールセンターへ行くでしょうが。仕分けのスピードや荷物がいまどこにあるか
      も調べられますね。大学の入試申し込みは、到着次第、大学から○○月○○日○時○○分受領しましたと届く時代。

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