火星に住むを目指す人たち。
火星に住むを目指す人たち。
『ナショナル・ジオグラフィック』のバックナンバーを探していたら、2016年11月号で『火星移住』の特集を組んでいた。ハリソン・フォード主演の『ブレードランナー』ファンなら、核戦争後の地球上で生き延びるために火星へ移住する人間とレプリカント(作業用ロボット)の話なのだが、火星へ行くためには資金・リスク・技術、行く人の心理的な現象変化など数え切れない難問が横たわる。
まず火星へ行くには、先発隊が火星に居住区をつくらないといけない。基地作り専門のロボットも開発しているが、居住区をつくるために膨大な資源(資材)を運ばないといけない。部品が一つでも足りないと完成しない。それは火星まで行く『居住モジュール』を輸送船で運ぶ必要がある。火星まで片道約500日間の暮らしを6人(輸送船船員)で過ごすには、仲間割れを防ぐ、外の放射線から身を守る、輸送船のシステムを守り続ける、たえず運動して無重力空間で健康を保つ。
しかし、狭い空間に500日間も同じメンバーで暮らすことを想像してみよう。しかも、無重力空間である。食品は飽きてくる。日常の細目に及んでくると具合が悪くなる。さらに火星に無事に着陸するとして、約20トンの荷物を火星の表面に下ろさないといけない。わずかに大気があるとしても、まず空気や水をつくる施設が必要だ。NASAは1トンの無人踏査機キャリオシティを2012年8月6日に軟着陸させたが、20トンの例はない。しかも地球から火星へ向う途中で輸送船が故障をして、あれこれ部品が必要だとしても、追いかけて部品を届けることはできない。犬死になってしまう。
さらに予期しない隕石が飛んでいる宇宙空間である。輸送船に当たるとアウト。火星の温度は最低マイナス120度、最高プラス30度。エネルギーは太陽光パネルと原子力を考えている。ところで、それでも火星へ行きたい人はいるものでひとり費用は5000万円だ。1998年結成された『火星協会』に問い合わせてみるといい。火星での砂嵐を想定した『密閉空間での砂嵐体験もしている』。
しかし、そもそも、なぜ足元の地球を住みやすい環境へ、戦争を減らして、子孫へ緑と青い水と清潔な空気を残すことを考えないのか、基本的なことに筆者は戸惑う。宇宙開発は初めは、米ソのイデオロギー対立と何でも一番乗りを目指す両国の技術開発戦争であった。月面へどちらが最初に降り立つのか、月の資源探査も争ったのである。そのときも地上は各地で紛争が絶えない時代であったから、宇宙開発は全く別次元のことと思えるが、使われる国家予算はそれぞれの国民の税金である。
今回の火星旅行は宇宙開発ベンチヤーのスペースX社。2015年12月、同社のロケット『ファルコン9』が11基の通信衛星を載せて、ケープカナベラル基地から打ち上げ、これまで捨てられていた1段目のブースター(補助推進ロケット)を、向きを変えて速度を落として近くの着陸地点に無事に着いた。使い捨てのロケットから何度も使える(回収・再使用可能)ことでコストは1000分の1になったとも書かれているが・・・・・・・。
本当に火星に行って何をしようとしているのか。こういう問いかけは文系的な人間の発想でしかないのか?『こうした火星への移住開発から、思わぬ副産物が生じることもあるから、開発を否定的に発言することもないだろう』と言われるのだろうか?
以下は、同誌の付録・火星地図に記入されたロケット動向を表にまとめてみた。
1971年11月27日マルス2号(旧ソ連)墜落
1971年12月2日 マルス3号(旧ソ連)着陸後に通信途絶
1974年3月12日 マルス6号(旧ソ連) 墜落
1976年7月20日 バイキング1号(米国)着陸
1976年9月3日 バイキング2号(米国) 着陸
1997年7月4日 マーズ・パスファインダー(米国)着陸
1999年12月3日 スペース2号(米国)墜落
1999年12月3日 マーズ・ポーラー・ランター(米国)墜落
2003年12月25日 ビーグル2号(英国)着陸後に通信途絶
2004年1月4日 マーズ・エクスプロージョン・ローバーA・スピリット(米 国)着陸
2004年1月25日 マーズ・エクスプロレーション・ローバーB・オポチュニティ(米国)着陸
2008年5月25日 フェニックス(米国)着陸
2012年8月6日 マーズ・サイエンス・ラボラトリー・キュリオシティ(米国)着陸
坊主の孫。
火星に限らず地球を脱出したいと考える事は単なる映画のシナリオでは無く、既に地球が存亡の危機に直面しているからなのでしょう。海外のシンクタンクの報告書では2050年には地球は壊滅する予測を公言しています。温度上昇による生物の生きる限界がやって来るからです。我々高齢者には関係ない。もう生きていないのだからと思うかも知れないのですが、現実のようです。ようやく地球の再生を考えてはいるものの追い付かないみたいです。戦争もそうですが、各国の利害が生命共同体としての環境への取り組みを阻害している事も大きな原因なのでしょう。化石燃料の枯渇もそう遠い話では無いでしょうし、代替エネルギーの開発も未だ道半ばですから、未だしばらくは温暖化は治まらないでしょうね。その後の地球ではAIしか生きて行けないのかも知れません。火星や他の惑星を果たして生きていける環境に出来るのかも疑問です。私見ですが、月も火星も生物の居なくなった地球の未来の姿のような気がしてならないのですが。
seto
地球は存続し続けると思いますよ。《人間というこわれやすい(フラジァイル)種)(ルイス・トマスという学者の遺著)という本を読んでいますが、45億年前の地球誕生から37億年前の生命の始まり(バクテリアの細胞)。そのまま25億年経過。1個の細胞にミトコンドリアが住みついて進化し続けて、どいうわけか最初の人類誕生まできた。酸素や窒素・二酸化炭素も植物のおかげで作られた。バクテリアが人間の先祖なので、たとえホモサピエンスが1回滅びても、バクテリアは生き残るはずで、それがまた何億年かして違う生物を生み出すと思いますが。慰めにもならない話ですが、何でも人間中心主義から立ち位置をずらし、人間が生物の頂点にはいないという認識、植物や他の生物と同じ目線にならないといけないと皆気づけば、もう少し自然界に謙虚な生き方になると思いますが。