『あすは 何か あるかも』(映画・・名もなき男の歌から)2014年上映 コーエン兄弟
1961年のニユーヨーク。フォークシンガーを目指してグリニッジ・ビレッジに住む主人公ルーヴィン・デビス。パートナーのマイクに自殺され、ソロデビューLPを発売するが売れず、困窮、宿無し、金なし、女からクズ・ゴミと言われ、知り合いのライブハウス(ガスライトカフェ)で寺銭を稼ぐ暮らしも限界、同棲の女にもう音楽を止める告白宣言した時に恋人から言われる。『あすは 何か あるかも』。音楽の世界もそうだが、人生は何が幸運するかわからないし誰と出会うかもわからない世界でである。監督は『ファーゴ』(1996年)『ノーカントリー』(2007年)のコーエン兄弟。原題は『インサイト・ルーヴィン・デイヴィス』。映画の終わりはサクセスでもないし絶望でもない。『さーて、これから彼の人生に何が待ち受けているか』。淡々と彼の人生をリアルに描くことに徹して心の葛藤やイライラはスラングを多用して描き切る。今は絶望の境地であっても希望はどこかにあると暗示させて終わるのがいい。6年前に作った気に食わないと殺してしまう殺戮シーン多過ぎた『ノーカントリー』の反省の上に立ったのかもしれない。映画の中のマイペースの猫が出てくるのは救いである。猫が人間関係をつないでいる。この映画で歌われる曲も全部良くて、最初の曲はショックな歌詞であった。(俺の首をくくってれ)だ。『500マイル』も歌われていて感無量であった。
1番の日本語訳
首を吊るしてくれ
そうすりゃオサラバさ
この首を吊るしてくれ
もうすぐ死ぬおれさ
縛り首は構わないが
長い間、墓に横たわる 哀れな男
世界中を渡り歩いた俺さ