新型コロナによる長期の大不況のなか、不適切なテーマかもしれないが、平時の経済においてみられることなので書いた。人間関係においても職場においても「特定の人のおかげで生きてきた人」は注意すべき事柄でもある。基本は多様性(企業にあってはたくさんの取り引き会社、企業内ではごますりはしない生き方)の順守であると私なら思う。

北洋銀行の元頭取武井正直講演録「バカな大将、敵より怖い」(北海道新聞社刊101p)の一言だ。アメリカのバトラーという経済学者の言葉だけど『富は一極に集まり過ぎると碌なことにならない』。利益の源泉も1か所だけだと危うい。

このブログではお金持をテーマに何回か書いているが、筆者の身近に大金持ちがいないので、どうも実感を持って書けない。ブログの限界である。私が投資家でネットの株取引で億単位のお金を儲けていれば、話題も豊富になるだろうけど、筆者は低空飛行生活を続けている。噂としてあの人のお嫁さんは『ブラックカードを持っている。何県の大病院の令嬢だから』と聞いたことがある程度。

筆者は営業主体の世界に長くいたから、そこで言える格言は『興隆と衰亡の原因は同じ』ということ。企業に当てはめれば、売上や利益の多くを一つの企業に依存し過ぎると、そこが無くなったとき倒産の憂き目に遭う。年商が100億円を超えた札幌の広告代理店がお蔭で二つ連鎖倒産したことがある。原因は膨大な広告費を使っていた企業の倒産である。売掛残が回収できない事態だ。

ほかの何社も同じ憂き目に遭ったが、生き残ったのは自社ビルを所有し、金融機関からの融資の担保になったとか、経営者が自分の財産を放出して社員と企業を守った会社の違いである。上場企業の倒産額はとても経営者個人の財産では補てんはできないが、中小企業のいいところは、経営者が身銭を切って企業と社員を救えることだ。救う意思があってのことだけど。

利益の大半を同一企業から上げてる場合は赤信号が点滅してると考えて間違いない。点滅している間、別な分野へシフトを移せるよう人を育成しないといけないが、『いいときはいつまでも続くと思いたい』のが人の常。最悪のことは後回し、後回しだ。結果、相手に倒産されたり、ライバル企業に取られてチョンである。

そして、日本の企業でよくあるのは何でも『隠す』である。マイナスの話をもっと早く公開していれば、解決があれこれ、知恵がたくさん出たものを、どん尻になって公開する、それこそ大後悔。公開することで担当者が責任を問われる、経営者が責任を問われることを避ける(役人を考えても同じ)癖が染みついている。嘘のデータ公開を平気でしてその場を逃げる。時間が経過すれば、その事案は世間から忘れられると思っている。しかし、逃げたことは後で雪だるま式に何倍にもなって帰ってくる。

すべて尻拭いは次世代に任せてあの世へ行くつもりの人たちが都市部でなんと多くなったことか。政治家や役人や老人も。最初に紹介した武井正直氏は「倒産しても正直に関連会社へお詫びを言い、きちんとした数字を相手側に示せる経営者は、再建が早い』と。しかし、この言葉が現代も通用するかどうか。筆者は確かめていない。

  1. 日銀(国)から出向され頭取になった武井氏もその前の大塚氏も拓銀倒産とその後の北洋へシフトするシナリオは、我々が知る以前から描かれていたのでしょうね。北洋相互銀行時代から仕事で関わっていた私は業務部のフロアに顔出しして打ち合わせを頻繁にしていました。もちろん我が支店の取引主要銀行でしたが融資などは一切受けていませんでした。拓銀倒産後の北洋銀行は組織替えで、人もすっかり様子が変わりました。そんな頃に長年勤めた我が社の本社倒産劇があり、早速北洋銀行の業務部に経緯報告と業務上のお詫びに伺ったものです。昨日まで談笑していた調査役も担当課長も背中を向け口座も即凍結されていました。それ以来銀行の仕事はしていませんが、生き残って行く企業とは、こんなにも冷酷に?ならなければいけないのかと痛感しました。我が支店の取引先で迷惑を掛けた相手は銀行や、常に現金決済をしてきた大手企業ではなく、翌月末に支払っていた小さな印刷ブローカーだけでした。当然ながら口座凍結で印刷ブローカーへの支払いもできなくなり連鎖倒産させてしまいました。負債額は800万円ほどでした。そんな北洋銀行でしたが、今も我が社の主要銀行ですから皮肉なものです。創業109年目の我が本社には武井氏が言うバカな大将がいたのでしょう。創業者精神は年月の経過と共に忘れられて行くものですね。

    • 私は直接、銀行とのやり取りやお詫びに行ったことはないのですが、天気になれば(企業上向き)傘を貸してくれて、雨になると(倒れるようになると)傘を取る存在とはよく言ったもんです。所詮、金貸し屋ですからね。拓銀倒産後、行員の様々な人生模様があります。たくぎんは元々行員のプライド(道内で)が高くて中小企業では評判が悪かったのは事実で、そのあたり北洋の武井さんはよく知っていたと思います。たくぎんの無茶な投資を見て危うさを感じたと思います。匿名さんも本社倒産劇に巻き込まれて、その当事者として説明と謝罪と報告に行ったわけですが、忘れぬ事件、そして印刷ブローカーをも倒産させた思いも辛かっただろうと察します。先日、倒産した大手の代理店の社長さんが孫を連れて歩いてました。聞くところによると、役員たちへは退職金はゼロで社長を恨んでいたと聞きます。いまでも御殿に住んで悠悠自適らしい。名義を変えて財産を秘匿していた疑いもありますが。若くして役員たちは次々に脳疾患や心臓で70歳を待たずに亡くなりました。トップは残り、脇方が死んでいきます。バカな大将は自分はバカとは思ってないでしょうね。

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