最新型と枯れた技術

電気製品の最新型は、それまでの欠点が改良され、さらに新機能が加わった製品であるような印象がありますが、ことソフトウェアの世界では、新製品は「半製品」と同義語な場合があります。新製品の開発では、あらゆるユーザーの環境下での動作を試すわけにはいかないので、とりあえず発売し、顧客からの不良箇所の報告を受けて改善したものをバージョンアップ版として配布します。「飛行機を空中で修理しながら飛んでいるようなもの」と言われることもありますが、昔はユーザーとの間で協同作業を行っているような一体感がありました。それだけに、メーカーの都合が優先されたバージョンアップは、総スカンを食らいました。

もともと技術畑の人間は「枯れた技術」を尊重します。長年使いこなされて、欠点も長所も知りぬいた技術を使いたがるという意味です。だから宇宙船や工業プラントなど、壊れた場合にすぐ(投稿修理できなかったり莫大な損害が出るシステムには、何十年も前のソフトウェアやCPUなどが今でも使われています。最新の技術をありがたがるのは、技術に無縁な人のほうが多いようです。ところで、「枯れた人間」に心当たりがあるのですが、尊重される時代にならないでしょうか。

  1. クルマ遍歴オヤジ

    そうですか?意外ですが、考えてみればロケットだって精密部品は熟練した町工場で長年積み重ねた感と手仕事の熟練工のオヤジさんたちが主役ですね。有人ロケットや宇宙船などは、人命が掛かっている訳ですからね。クルマ選びも同じですね。よく知っている人は新型に飛びつきません。素人程何も考えずに新型に飛びつきます。マイナーチェンジの場合なら改良されているのですが、全くの新型の場合は、とんでもない基本的なものが抜けて居たりすることもあります。未だヘビースモーカーだった頃に買った車は、ミニバンの先駆け的斬新なデザインで、乗る事さえ恥ずかしいほどでしたが、夜の運転でとんでもない事に気づきました。灰皿を引き出しても豆ランプがついていないため真っ暗で何処が灰皿か分かりませんでした。開発に急ぐ余り、細かな事が抜けたのでしょう。今でこそ禁煙の時代で灰皿の無いクルマばかりですが、その意味では、あのクルマも最新式?だったのかと。

    • ネジや釘1本をおろそかにしない町の技術ですね。工芸品でも宮大工でもね。徒弟の世界でしょうが、受け継ぐ人が現れるといいですね。待遇的には恵まれないとは思いますが、こういう世界にどんと国費を投入して欲しいものです。世界中、助かりますからね。ローテクという単語をある映画では「古代の技術」と飜訳されてました。ローテクあってハイテクが成立すいているのですが。

  2. 古い私など「枯れた技術」と言えば、トンカントンカンとリズムよく鎚打つ鍛冶屋のオヤジさんとか、鰹節のようにカンナを使う大工の棟梁とか、町工場の熟練旋盤工などを思い起こしますが、今や、IT関連の世界でさえ「枯れた技術」があるんですね。技術者と言ってもあらゆる分野が有りますから、科学や工学の世界までとなると幅広く、専門家は沢山いるのでしょうね。

    • 枯れた技術の「枯れた」っていい響きですね。私も枯れた男ですが,技術の全くない情けない枯れ方です。どういう終末を迎えるのかわかりません。

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