医学ウィルス学 故日沼頼夫

新型コロナウィルスの渦中にあって、筆者持病のパニック障害が全然出ない。いつもの自分でなくて落ち着いている。通勤のJR電車が空いているということもあるし、観光客が激減して静かな札幌に戻って、10代の頃の幸福感を追体験してみたりして落ち着く。しかし、現実は新型コロナ。テレビニュースはできるだけ見ないようにしている。見ているとアナウンサーがしゃべる報道部の記者が書いた原稿に具合が悪くなる。ネットで世界のニュースを拾って広い視野から見ようとしている自分がいる。まるで世界をSF映画のように見ている私だ。自分は通行人Sで参加している。

書棚にあった免疫学者の故多田富雄さん『生命のまなざし』(青土社)という本を見つけ、ウィルスの話はないかと探したらありました。医学ウィルス学の日沼頼夫(よりお)さんとの対談があった(同著178pから)。日沼さんはATL(成人T細胞白血病)を起こすレトロウィルスを世界で最初に報告した人だ。ATLはエイズウィルスに似ている。ATLは血液のがん、エイズは免疫不全である。どちらにしても痴呆にもウィルスが関係しているとすれば、電子顕微鏡で見ることができるウィルスの正体っていったい何だ?ウィルスの大きさは塩の結晶1辺に横に1000個並ぶ。そして1日で1個が1000個に増殖する。ウィルスは生き物だという人もいれば非生物だと言う人もいる。

日沼さんの言葉を借りると『私はウィルスは生き物であると、はっきり定義します。しかし、それは欠陥のある生き物なのです。なぜかというと、それ自身で勝手に増殖できる生き物ではないのです。ウィルスは生きた細胞の中に潜り込んではじめて、それを借りて自分の子孫を残すことができるのです。ウィルス自体では二つの重要な装置を持っていません。タンパク質を合成する装置も、エネルギーを生産する装置も持っていないのです。しかし、それにもまして、ウィルスの生き物としての重要な属性は、DNAという遺伝物質を持っていることです。あるいはRNAを持っていることなのです。RNAを持っているのはウィルスだけです。』多田さんはこれを『自己複製に関する情報は持っているけれど、複製をつくるときの道具がない』と言い換えてました。

日沼さんは『HIVも生物ですが、単純な生物が、人間という高等な生物とぶつかったら、今のところ人間がたじたじです。生き物というものは、単純であろうが複雑であろうがそういうことでは勝負云々はむつかしい。ネイチャー(自然)というものはそういうものなんです。考えてみれば当たり前ですが、植物も虫もみんな一緒に住んでいるわけです』。『人間なんて高級だといいながら、自分の情報の何百万の一しか持っていない生物をコントロールできるほど高等ではないんだということです』。(この話続く)

  1. 新型コロナウイルスも人間が格好の住み家ですね。余程居心地が良いのか、どんどん増殖し伝染して、今では数種の変異株までに成長しています。この変異スピードを止めるワクチンは未だ開発中でしょうから、そうこうして居る内に更に新種の変異株が現れれば人類史上初めての見えない敵との戦争ですね。人間の抗体も進化してくれればよいのですが。

    • どんな変異種でも対応できるワクチンは無理だとしたら、しばらくおかしな時代は続くでしょう。経済がボロボロになっても食べ物つくりと食べ物を買う賃金を稼げる仕事があればの話ですが。官僚のモラルハザードも激しいし、仕事を楽しくしようという気持ち(そうであれば破廉恥なことを考える暇や時間はないはず)が全然ないとしか思えませんね。腐ったリンゴの箱が各省庁で安部長期政権、菅官房が人事威力を発揮した後遺症で、コノツケは相当に重くて、日本の未来へ影を落としています。新型コロナウィルスもさることながら、安部の退廃ウィルスもなんとかしないと。

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