「人類が同時にそれぞれの過去の歴史を忘れたら、なんの わだかまりもなく、幸福について語れる」という阿久悠さん。真実はそうかもしれないが、現実は余りに悲惨・過酷・残酷で大脳の記憶庫に沈んだまま、いつ飛び出してくるかわからぬまま私たちは日常を生きている。

8月13日夜、NHKで「731部隊 エリート医師たち」についてのドキュメントを見ていたら、昔読んだ森村誠一「悪魔の飽食」を思い出した。中国人の捕虜を実験台にチフス菌を中心に細菌兵器開発を進める話であった。南方では餓死者ばかり出している兵士をよそに、潤沢な資金を与えられたエリート医師たち。番組はそこで下働きをしていた少年兵が80代になって、顔を出しての証言する。さらに石井四郎細菌部隊で働く医師たちが戦後の裁判でGHQを前にしての音声記録や医師たちの実名も出てくる。

すでに関係者の医師たちは物故しているから作れたドキュメント。戦中に細菌兵器を3回使用したとの生々しい証言もあった。チフス菌を培養・増殖に従事した兵士は自らの犯した罪の重さに耐えかねて、刑期を終えると自殺したとされる。その声も出てくる。ソ連兵が満州に入ってくるや、人体実験の証拠や施設を破壊、捕虜は集められて焼き尽くされ、少年兵は後片付けを命じられる。「ひどいものであるが、捕虜が可哀相だと口に出して言えない雰囲気があった。絶対、戦争はしてはいけない」と何度も何度も80歳を超える少年兵は語る。

敗戦が確実になり、ソ連が参戦してきて、エリート医師たちは、特別列車で日本へ帰還し、その後、教授の道、学長の道へと出世する。そのときの石井細菌部隊の研究資料はGHQへ全部渡すかわりに、医師たちは責任を免れる。中国北部で捕虜を人体実験していたのは京都大学、東京大学、慶応大学、東北大学、北大など帝国大学医学部を中心に派遣された医師たちと彼らを派遣した大学教授である。

当時発刊された新聞見出しもテレビ画面出されていたが、日本軍に抵抗する中国人は「匪賊(ひぞく)」とされ、殺して構わないという見出しの新聞記事が踊っている。新聞記事を書いているのも、当時では知的なエリートたちである。陸軍も海軍もトップは陸軍士官学校のトップクラス、海軍兵学校のエリートたちである。細菌兵器という武器開発に国挙げて、中国人捕虜の人体を使い論文を書いて、「お国が戦争に勝つために」を至上命題に生きてきた研究者たち。ここには自分の人間観や良心があっという間により大きな国益とプロバガンダに吸収されて、消えていくプロセスが見える。そうしてとりあえず、自分だけは家族のために暮らしのために生き延びる。より安全に帰国できるよう特権を享受する。

番組は「社会全体の風潮が戦争を押しやっている」と国民ひとりひとりにも大きな責任があると欄外に伝えていた。タイトルの「そうだな、123を合図に人類みな歴史を忘れたら本当に幸福について語れる」とは、ウルトラ級の理想ではあるが、事件や出来事、それも生死に関わる事件を加害者が忘れて欲しいということであっても、被害者の感情が果たして許してくれるかどうか?無理だろうと思う。ということは私たちはまっすぐ前を向いて生きるためには、いつまでも歴史を学び続けなければいけないことでもある。

  1. ゼロ戦パイロットの弟。

    現在、猛威を振るっている新型コロナウイルスも、細菌兵器でなければ良いのですが、もし、そうであれば、既に細菌戦争の世界大戦の真っただ中なのかも知れませんね。私の身近なところでは、一昨日、娘からLINEで濃厚接触者と断定されたと知らせてきました。PCR検査の結果、昨日陽性だったと言って来ました。会社も今日から休む事になるそうですが、重症化しない事を願っています。感染源は知り合いの子供たちからだそうです。家に招いて御馳走したまでは良かったのですが大変なお土産を置いて行かれてしまいました。同居はしていないので我が家では孫も含めて未だ大丈夫ですが、何でも子供たちの感染拡大が広がって来たようです。今日から中学も始業式ですから十分に注意しなければいけませんね。こうなれば、皮肉な事に不登校児童の方がまだ安心と考えてしまいますね。こうも長引けば、社会構造も全てを大きく変えなければいけないですね。

    • 身近なコロナですね。私も新型コロナ大規模接種の手伝いをしてますが、一緒に仕事をしている大学生のお母さんんが陽性と判断されて、早退で帰りました。それを聞いた時、一瞬、体がピクンとなりました。イスラエルが8月7日より第三回の接種に入りました。ファイザーですね。2回打っても死者の90%は60歳以上という統計も出ています。娘さん、心配ですね。水と食料運ぶと喜ばれますよ。感染の65%は家庭内観戦です。2番目が15%で職場です。居酒屋や飲食は3%以下です。ここ1週間の感染場所です。エアゾール感染なら防ぎようがありません。

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