筆者は40代後半に、定年はまだまだ先だ、他人事のように思っていた。仕事をばりばりやれる自信があったとはいえ、体力が衰え、以前ほど粘りのない自分に気付く。眠りも浅くて、次の日になっても疲れが取れない。仕事の切り替えも上手にできなくなり、苛立ちが出てきた。

会社の先輩から『50代に入ると、あっと言う間に定年が来るよ』といわれたことがあるが『まさか、まだ10年以上あるではないか』と思っていたら、どっこいあっと言う間に定年が来て、役職が無くなり、元部下が上司になり営業会議に呼ばれなくなった。必ず、そういう日は来るし、あなたにもやって来る。来ないのは『生涯現役のまま倒れる人』くらいであろう。

ある人の年賀状に『元旦、ことしもあと少しとなりました』と書いてくる人がいた。聞くと『新しい年になるとあっという間に年末が来るような実感があるんだ』ということであった。74歳の人であり2年前に亡くなった。主人公は本来、人間であるはずが、時間が主人でそのしもべが人間のようである。庭のミミズもヒヨドリも彼らは体内の時計に従い、どこか悠々と生きている。

何年か前の朝日新聞朝刊に、アインシュタインが来日したとき泊まった東京帝国ホテル。そこのベルボーイにアインシュタインが世話になったお礼に書いたメモが発見された。『静かで質素な生活は、絶え間ない不安にかられながら成功を追い求めるより、多くの喜びをもたらす』(アインシュタイン)。以前、黒澤明も同じようなことを言っていたことを思い出した。それは『平凡』とか『普通』に生きることの大事さとむつかしさであった。スマホが急激に普及して、いつでもだれでも言葉や写真を発信でき、あわよくば一夜にして大金持ちや有名人になるかもしれないし、それはそれで真実かもしれない。

しかし、人生は継続とプロセスしか生きられないから、ある年齢にならないと静かで質素な暮らしの喜びはわかりにくい。天変地異がなくて、戦争が身近でなくて、軍人が闊歩する国でなくて、屋根の付いた家に住み、ときどきアハハと笑えて、おしゃべりする友達がいれば、志は低いかもしれないが十分生きたなと思えるのだ。東京でATMの修理に奔走していた小学校・中学の同級生から『そろそろ札幌へ帰ろうか』とメールが来た。『先日、蒲田駅前の0.1円パチンコ(楽園)が無くなり、全店スロットに。夏は涼しく、冬暖かく、飴も用意されてるし、Wi-Fiも完備、金もかからず本当に楽園でした。0.1パチなくなってもパチンコやめるわけにもいかず、まずい状況です』。『帰ってこいよ、お前のために歓迎会、ご苦労さん会開くから』と返信した。

  1. サラリーマン時代、4~50代から平気で年金の話をする人たちがいました。それも『早く定年を迎えて、楽な年金暮らしを』と言うのです。当時は『まだ若いのに情けない』と思って居ましたし、興味もありませんでした。しかし、年金を受けるこの年になって実感するのは貯金の筈だった年金から自動的に(勝手に)差し引かれる額の多い事。長いサラリーマン生活をしていた自分はまだしも、年金を納められなかった期間の長い人たちにとっては到底暮らしていけない事に気づきますね。残る道は生活保護しかありませんが、中途半端に働いて居れば、その道さえ断たれ、一層苦しい立場に立たされますね。不思議なのは?苦しい筈の生活保護世帯の中には普通の暮らしより贅沢な人達も居たりします。クルマは持てない、貯金は出来ないから働けないし、贅沢は出来ない、とは言うものの、働かなくても食べて行けるとも解釈できます。もちろん財源は他人様からの税金です。助け合いの精神から生まれた生活保護世帯の中には、制度を悪用していると思わせるケースも多いとは、元ヘルパーの家内の感想でした。

    • 30歳の知り合いが「早く60歳にならないか。年金暮らしがしたい」と言ってました。仕事をしたくなくて毎日パチンコ三昧の人生を送ってました。いかし大企業に勤めていたので自動的に年金を資格年数を積み上げています。国民年金だけでは生きていけない金額ですから、死ぬまで働き続けるか、どこかで生活保護を申請するほうが暮らしは楽になるのも現実です。シングルマザーで生活保護をもらえばいいのに、もらわず頑張ってるお母さんもたくさんいます。こういう人を応援したいですね。

  2. 大勢の社員たちを叱咤激励していた社長さんが身を引き会長職になり週に2度ほどしか出社しなくなりました。出社日に合わせて訪問した時の雑談の中に『遊びで株を始めた』と言うのです。発端は医者の長男ご子息からのアドバイスのようでした。何でも、医師も副業が常識の時代らしく、安泰と思われていた医師たちさえもが、いろいろやっているとの事でした。我々の世代では一生できる仕事などと言われたものですが、今や時代変化も激しく、一つの仕事に固守していては危ういのかも知れません。何でも出来るに越した事は無いでしょうが、働く以上は、資格も含めて少なくても最低は二つ以上の仕事が出来る事が現代を生き抜く術のようです。現役で働く者にとっては、或る意味『サバイバル時代』かも知れませんね。

    • 貧乏に慣れることがサバイバルの条件ではないかと考えている私です。貧乏は楽しい、貧乏は自分の感性が磨かれる、貧乏バンザイ、そういう風潮になればいいなと思ってます。近所で一人暮らしの60代、70代、80代人たちがたくさん住んでいます。スーパーで会うと、買う食品はわずか、知り合いなら必ず声かけをしています。若い人は共稼ぎで子供の教育費(これがゼロ円になればいいですね)や習い事・通信やゲームソフトなどたくさん使ってます。私も次のバイト探しをしていますが、寒いので冬眠状態です。株は元資金が要るので私には向きません。スクラッチで100万ねらいますよ!

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