ある医学研究者の現実&妄想
医学の研究は、その作業を支えるのは、食べるものを作り、作られたものを料理して、研究者を生かす人たちだ。世間を一冊の書物にたとえたのは、デカルトだったけど、酷薄な世間は読み解くものではなくて生きる場所で、瞬時の変化についていかないと殺される17世紀ではなかったか。研究室もあり書斎もあり電気が通ってパソコンの前で、横には書棚があって、各種の辞典類が豊富に並べられて、デスクには入れられたばかりのコーヒーカップ。スマホがあって、時々、メール着信ランプが点灯する。今月号の「BMJ(ブリティシュ・メディカル・ジャーナル)はどこにいった」と助手に聞きながらペラペラめくる。決められた講座と講義を持って小賢しい学生たちに教える以外は、この場所で、根本的とは思えない、しかし、誰も論文を書いていない現代のテーマはこれしかない「なぜキレる人は子どもにまで拡大したか」と思い込み、大脳の仕組み研究をやっていれば1か月後、給与が振り込まれ、決められた図書費も使えるから今月は小遣いは5万円でOKなどとニヤッとして笑う。可愛い久美ちゃんとビールも飲めるぞと思いながら、大学って楽なところだと思いつつも、それを正直に世間で公言すると、同僚たちから「裏切り者」と断罪されるし、ここがつらいところだ。大学は研究でも生き方でも「真実」の探求なのだから、やはり、いつかこの暮らしを暴露しないと、我々のために税金を負担している国民に顔向けできない。そう思うが、大学以外で自分の能力を発揮できる(果たして能力があるのかわからない)場所はあるかと考えれば、何人か政治の世界や給料の高い他大学へ行ったが、ぱっとしない。それにしても国立大学はじめいろいろな組織や研究施設を「独立行政法人」とネーミングした官僚の発想は凄い。なんだか、自分たちの給与は自分たちの営業力で稼ぐんだという姿勢が国民に伝わるではないか?煙幕言語(漢字)だ。民間企業からこの薬の研究をしてくださいと大金がくればしめしめ実績になるし、時々、これをマスコミにリークすれば書いてくれる。おっ、この大学稼いでるぞと。国立のころからそのレベルの研究は昔からやってるよ。来年は教授選だが、立候補はしない。医学部の場合、負けるといられなくなる慣習で、どこかの病院の院長への道もあるが、肩書に教授とつけば次は名誉教授、年金もいいし、次の大学に招へいされて懐は温かくなる。製薬メーカーの連中の、教授へのあの腰の低さはどうだ。あそこまで卑屈になるのかね。そういえば、あの教授は羽振りが良すぎて、大学のトップから注意メールが入ったと職員が言ってたことを思い出した。クワバラクワバラ。教授の論文は私と助手で書いたものを出しただけ。哀れな教授と思うが、その本心を悟られないようにしないと私の暮らしも崩れる。ローンがまだ2000万円残り、出来の悪い子供たち、高校1年と中2の息子だ。妻は近所で評判の悪妻。夫の肩書を利用して、知ったかぶりの医学の最先端知識を奥様方へ開陳して、場の雰囲気を独占して、周りから浮くわ浮くわ、そのまま天に昇るのではないかと心配するくらいだ。高血圧の基準値を決めたを学会関係者11人に薬メーカーからたしか13億円くらいの謝礼が払われたはず。ひどい金まみれの世界だ。中性脂肪や糖尿病の値も同じようなもんだ。テレビで白衣を着た医者たちが病院の宣伝を兼ねて、偉そうに「予防」話をしているが、全員、予防して病人がいなくなっなったら真っ先に失業するのは医者だろうに。しかし、それはいいが、先だっての教授選で負けた助教授が体調を崩したという。「うつ病になっていなければいいが。でも自分で治すだろう」。出世競争が厳しい、嫉妬で渦巻くのは霞が関だけではなくて、アカデミーの方が手が付けられないほどヒドイかもしれない。象牙の塔は変わらない。甦れ山崎豊子。もう1回、ペンを執って。
ここで、目が覚めた。
匿名
或る大学構内の研究棟の経理事務の女性はプライベートメールなども監視されていたと言う。辞めたあとも追尾されノイローゼ気味だった。内部の資金の流れを知られていたからだ。製薬会社との関係も気にからの資金の流れなども漏洩しないよう内部は仲間意識で固められ暗黙の世界のようだ。それにしても病院には今日は〇〇大学病院の先生が来るとか横のつながりも凄い世界だ。医者は問診時に僕に「タバコ吸ってますか?お酒は?食生活は?運動は?」と聞いてくるが、本人はタバコ臭く、明らかにメタボだったりするから説得力に欠ける。むしろ、こちらが問診してあげたいくらいだ。
最近はどこの病院の医者も、文字通り「問診」で聴診器など不要のようだ。クスリの処方箋をPCで作成するのが仕事らしい。これなら外部の薬局に医者を置けば一度で済み、診察料金も安くつくはずだが・・・・?。