官公庁の審議会や委員会を傍聴していて、感ずることを書きます。こういう審議会はマスコミ関係や傍聴人も入れる審議会も多数あります。こまめに調べてみてください。ただし、マスコミ関係者や傍聴人はその場での質疑応答はできず、審議内容に質問あれば、後日、担当部署へ質問することになります。さらに審議内容は担当部署のホームページで公開されますからこちらから読むこともできますがなまなましい息遣いや雰囲気は伝わりません。私は恥ずかしながら、審議会傍聴で2回ほど感動で泣きそうになったこともあるとだけお伝えしておきます。


さて今日は30歳代の役人たちが現場で頑張ってる様子を伝えておきたい。私のブログを長年読んでいる人は『また、公務員批判か』と思ってる読者がが多いと思います。実際、筆者は30年以上、広告営業職で稼ぐ仕事に従事してきたので、一人でできることを3人でやってる公務員の姿や、1時間で結論を出せる仕事を1週間でも出なかったり、やらなくてもいいことを仕事づくりや時間つぶし。旧習の慣例から次々書類の山を築いて、囲まれている。5時に近くなればそわそわしてエレベーターへ我先に乗り込む姿を見ているので批判的にならざるおえなかった。しかし、そういう中にあって、バブル経済を体験していない30代の若手官僚たちが、それぞれの持ち場で頑張ってる様子を伝えたい。


読まれた人も多いと思うが古市憲寿さんの新書に、安保反対の学生主体のSEALDsの運動体があり、霞が関にもデモをかけたことがあります。そのとき古市さんは政府の審議会に出るため、役所を訪れたときに、デモをしている世代と同じ年齢の官僚たちが窓ガラスから不安そうに・心配そうにデモ隊をじっと見ていたという一文がありました。ともかく、税金を投入する仕事は、①予算を組む、②経過報告のとき、③結果の査定と大きく三つの山があり、大学の先生はじめ、弁護士や各分野で活躍している人が審議と査定に入ります。『この事業は金額は高すぎではないか』とか『いい仕事ですね』とか委員から文字表現の誤りにまで言及されます。それぞれの分野から集中質問を受け応答して、できるだけ納税者に納得できる事業と計画と報告という形をとります。


そこで事業の可否、効果測定として民間でも使われるB/Cが100を超えていないと無駄な仕事とみなされてしまいます。Bは利益(BENEFIT)CはCOSTで、費用対効果という数量化された考え方。しかし、利益といってもあくまで予測数値なので、道路1本つくるのにトラック何台、玉ねぎを運ぶ量は何千キロで幾らとかどんどん足して利益を弾き出します。判定する期間も5年でみるかはるか先の20年後まで見るかで数値は変わります。1億円かけて1億5000万利益を見込めればB/Cは150です。


ある審議会で30代の官僚が突然手をあげました。テーマは高規格道路新設に関することでした。『私の発言はオフレコでお願いします。これまでの予算と事業に関してB/Cという、定量的な分析が主流でした。しかし、そこの地区は人口数も少なく走るトラック台数、利用する乗用車も少なく、単に量という観点からみるとかなり厳しい数値でありますが、しかし、この地区は日本の食糧基地、タマネギやジャガイモなどエリアで見ると広大で、日本人の胃袋を支える大事な道路になります。定量的な分析では測れない、定性的に物を見ないといけないと思うのです。』会場は静かな感動に包まれた。新聞記者はうなづき、審議委員の大学教授も素晴らしい発言と感嘆の顔をしてました。北海道は過疎化が激しく、高速道路も他府県から見ると進捗率が低く、そして広大な面積です。大学教授から『なぜ、進捗率が低いか?』という質問に若手官僚が、既成の考え方ではなくて『定性的な考え方』を導入すれば、道路網を整備できるという提案・私案を述べたわけです。前例にとらわれない考え方、30歳代にどんどん浸透してほしいと思った次第です。


一番の敵はたぶん身内の先輩官僚たちでしょう。頑張ってほしいと思います。民間にも私の知っているバブルを知らない30代の人がたくさんいます。機会をみて紹介していきたいと思います。共通は腰が低く、とてもいい仕事を誠実にこなしていく、だからといって先輩の物まねはしないという共通性があります。たえず、外に目を向けています。これからの社会をたぶん変えていくバブル知らない世代です。

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