自殺について(札幌市の場合)7月11日再録
自殺について(札幌市の場合)
追記:下記のシンポジウムも30代の札幌市の職員が活躍してメンバーをそろえて素晴らしい会議にしてくれた。終わった後、熱のこもったいい会議に筆者はお礼を述べた。
先日、札幌市のこれからの自殺対策を考える会議を傍聴する機会があったので行ってきた。札幌市は1年間に320人前後の自殺者があり、1日約1名の人が自殺している。当日は、精神科医や看護士の会、大学の精神科医、いのちの電話にかかわる人、自殺者家族を支える会や、精神病院を経営している人、大学で学生の精神面をケアしている人、道警本部、患者を搬送する札幌市消防局、それに札幌市医師会、北海道医師会の関係者が出てきて、全員が公平に自分たちの立場から、昨今の自殺事情や未遂の多さや家族関係、イジメや社会構造、雇用問題、周囲の無理解、マスコミの報道の仕方にまで言及してなど思い思いに語っていた。この2時間をNHKの教育テレビでそのまま放送しても全国で反響を呼ぶ番組になったのに惜しい。1年間に「いのちの電話」を利用する人が札幌市で1万1000件、そのうち「死にたい」コールが2000件との発表もあった。若いときは「死ねば楽になるわ」と感じることは誰しもあるが、友人たちと遊んでいるうちに消えてしまう。
林達夫のエセイに「子供はなぜ自殺するか」という文章がある。(思想の運命 中公文庫 278p)この中に、*ニール*という教育家が、「何が子供を病的にするか」に答えて「それは多くの事実についてみれば、両親の不和な場合である」「病的な子供は愛を求めている。それなのに、家庭においては愛がない」ルナールの「にんじん」という本も両親の不和から作られた「愛なき」家庭の不幸な所産であり、同時にその受難である・・・とする。「あんまり不幸だと自殺する子供もある」(にんじんの言葉)。にんじんのお父さんが話す言葉・・・
ルビック(にんじんの父):お前は生まれてきたときは、お母さんと俺との間はもうおしまいになってたんだ。
にんじん:僕の生まれたことがパパとお母さんを仲直りさせればよかったのになあ。
ルビック:駄目だ。お前の生まれた時はもう遅い。お前は俺たちの最後の喧嘩の真っ最中に生まれてきたんだ。二人ともお前なんか生まれて来てもらいたくなかったんだ。・・・(同書284p)
話を筆者が傍聴した会議に戻せば、統計上、昨年は自殺者数が3万人を割ったと言っているが、実は死因不明や引き取り手のない遺体が全国で多いと道警の人が発表していた。それをも自殺者と考えたら決して減ってはいないのである。最後に一言のコーナで、ある精神病院の院長から「死を美化する風潮が映像や漫画や日本文化の中に色濃く反映されていることは問題だ」「自殺報道のメディアのあり方、センセーションに扱い過ぎて、自殺は殺人同様、模倣されるので(岡田有希子の飛び降り報道で真似する子供が増えた事例を引いて)テレビや新聞の抑えた報道を促していた」。
この日は、報道席を設けたが、出席者はゼロ人だった。午後6時半開始で終わったのは午後9時を過ぎていた。NHKのEテレで、このまま撮影して番組にしても十分耐えられるディスカッションであった。生々しい討論会、会議発表であった。家族を自殺で失い、慰める会の人も、「行政が家族に踏み込んで、自殺予防の話を聴こうとしても拒否される、そっとしておいて欲しい」と行政と距離を置く人が多いとのことである。
*ニイル:アレキサンダー・サザーランド・ニイル・・イギリスの新教育運動家。「子供を学校に合わせるのではなくて、学校を子供に合わせる」という言葉は有名。
そうだね。大変だね~。
自殺と言っても人それぞれ理由も様々だと思いますが、果たして、一人一人の心の問題を聞いて、それぞれに対応できるのでしょうか。いくら専門医だとしても、当人が心を開かない限りは防ぐ手立てはないのではないでしょうか。当人から相談を受ければ兆候を察することもできるでしょうが、口を閉ざせば、心の中までは覗けませんね。最も身近な家族や友人には事前に何らかの兆候は感じられるのかも知れません。そんなシグナルを感じたとしても防ぐための心の準備をしていない限りは防ぎきれないのではないでしょうか。もしも当人から相談を受けたら「こちらから話すのではなく、先ず聞いてあげる」ことでしょうね。とんな精神障害でも、お説教めいた話などは受け入れられません。「そうだね。大変だね」と聞いてあげて一緒に悩んであげる事から始めなければ、心を開いてはくれないでしょうね。私の家族が葬祭業に関係しているので、自殺者の話はよく聞いています。高齢者や、経営に行き詰った経営者の場合もありますが、未来ある若者にも多いようですが、冷静になれば、原因は命を絶つほど大きな問題でもない場合もありますからね。
seto
私が不動産会社のチラシ配りで新興団地へポスティングしていたとき。ピンクのレンガ色の瀟洒な家で
バラの手入れをしていた奥さんとバラ談義をしていたら、話がひとり息子の自殺の話を告白されて、どう
言葉をかけていいか戸惑いました。ご主人との会話もなくなって、こうしてバラつくりをしていると少し
落ち着くとも。部屋はそのままにしているとか、家の中の話までされました。話して少し気が楽になって
くれればいいけれど。そっとしておいて欲しい半分、黙って聞いてくれるだけの人には話したいのも親と
してあるでしょうね。道警の人が話してましたが、事故に見せかけた正面衝突事故死も件数ありますよと
言ってました。負債を抱えた経営者に多い。自分の生命保険が2倍出るし、相手からも保険をもらえるから。
ヤクザさえ絡まなければ、お金で殺された人は少ないです。未遂事件はこの10倍はいます。
不思議な出会い。
或る朝、突然!救急車がとサイレンを鳴らして近所のお宅に横づけされました。やがてストレッチャーに人が載せられて運ばれていきました。リュックを背負って、大学か?職場か?どこかに行くのでしょう。僕にも朝の挨拶を気持ちよくしてくれた、あの若者が、信じられない事に、亡くなったようです。一人っ子だった彼は家族に大切に育てられて高校を卒業とまでになったのでしょうが、他の子供たちとは少し違った精神的な障害もあったようです。しかし僕には普通の気持ちの良い若者に見えました。公務員を退職した父と看護師の母の悲しみは計り知れないと思います。元々近所づきあいが少ない家庭ではありましたが、その件以来、近所の人もその話には触れないようにしています。外では明るく見えた若者がどうして?と、今でも不思議な気がしてなりません。
死にたい!。
残業していた数日前の夜、自宅から、直ぐ帰宅するようにと電話があった。電話口から子供の悲壮な泣きさけぶ声が聞こえ、ただならぬ気配にクルマを飛ばして戻ると、孫の野球少年がドアの蝶番側に右手薬指を挟まれて痛みで泣きさけんでいた。何でも姉の部屋に居た妹に「早く歯磨きして寝なさい!」と言いに行ったら姉に勘違いされたのか?押し出されて内側から勢いよくドアを閉められ、抵抗したはずみに薬指をドアの隙間でつぶされたらしい。救急当番医を探すと、中央区だったが、また来た道を、泣きさけぶ野球少年をなだめながら飛ばして病院へ直行!。彼は今シーズンキャッチャーとして活躍し、ある冠大会でシーズンの優秀選手に選ばれたばかりで、指が骨折して再起できなかったらとの心配からも泣きさけんでいたらしい。病院に着くと更に消毒や縫う治療を、余りの痛さに拒否して泣きさけんだが、早く治療すれば、また野球ができると説得して最終的には治まった。幸いにして骨折は免れ、裂傷の治療で事は済んだが、間違いとは言え、責任を感じた妹は毛布の中に隠れ、姉は携帯に「死にたい!」とまでラインをして来た。深夜1時過ぎに病院から帰宅した僕は、大きな声で皆に聞こえるように「大丈夫だったよ~!」と言って、彼とともに就寝した。
seto
大事件でしたが、野球に支障がなくてよかったですね。大活躍のおじいちゃんです。火事場の力量発揮で
野球少年の未来を救いました。