(ブログ3年目に入ります)1099回目。

3年前にヘルニア手術をしたが、トイレ困難状況を味わい、食べることより、難なく出せるありがたさを再発見。

食についてはあれこれ書いてきた筆者だが、食べたら出す(出る)話を書いていないことに気づいた。たまたま『トイレ』(ミネルヴァ書房)というそのままズバリの本を見つけた。トイレ掃除たけなわの年末でもあるし。


スウィフトの本に裏切り者は緑色の便をするので、それを確かめに家来が王様の命で便色を調べる話とか、フランス文学者渡辺一夫さんの本に超美人でクラクラする女性を見たら、バランスを取るために彼女のトイレでのポーズを思い浮かべるといいとか、中村浩『糞尿博士世界漫遊記』(教養文庫)で尿を飲み水に変える研究をしていて、ソ連(現ロシア)で宇宙開発の関係者を前にした講演で、突然、自分の尿を出して水に変えてそれを飲んで、会場を唖然とさせたと。


誰しも実は糞尿に関しては、男女に関わらず失敗談含めていろいろなエピソードを持っている。その発表の機会がないだけだ。居酒屋で話されてるとは思うが、話せば『おいおい、食べているときに汚い話はよしてくれ、悪趣味だ』と嫌われる。子供は尿や便の話が大好きだから(おならの話も)、いつのまにかし尿・便の文化は入試試験問題からも遠ざけられてしまった。大事だと思うけど。


『トイレ』の本に戻れば、副題が排泄の空間から見る日本の文化と歴史。書き手がし尿・下水研究会だ。1998年に立ち上げた組織。会員は約20名。し尿・トイレ・下水道関係者が多い。『日ごろ、何となく口にするのがはばかれる話を、話題にしにくい話を幅広く情報交換する場をつくった』わけだ。古代、人間はどこでどういうポーズや環境で排泄をしていたのか?世界史の教科書には書いていない。日常の暮らしが書いていないのである。食べていないと生きられない生物としての人間だから必ず排泄をしているはず。


糞石(福井鳥浜貝塚)

古代人は川を利用して排泄していた。天然の水洗トイレである。日本では縄文時代の貝塚やゴミ貯めから石化した便が見つかっている。糞石と言う。しかし、自然の中におおらかに男女とも大小便をしていたと思えば間違いないし、それが天然の肥料にもなっていた。川ヘリに突き出すように作られたトイレは世界じゅうで見られる。


私の義姉が万里の長城を見に行ったが『もう中国へは行かない』と言う。『どうして?』『トイレが丸見えところでするので嫌だ』と。水洗トイレに慣れている者から排泄に行くときに感じる違和感は大きい。水に流すトイレットぺーパーも使える国は少ないそうだ。ヨーロッパも下水道が作られる前は、自宅にある容器にし尿を入れて窓から『ご注意!』と叫んでざっと道路へ捨てていた。どれだけ匂う町であったろうかと想像する。ベルサイユの庭もあちこちで淑女がスカートを上げて何をしていたと思うと興ざめる。


一番、上の図は、江戸時代のし尿のリサイクル図であり、無駄の無い環境の江戸を示している。江戸の長屋20人の借家人が住んでいれば、1年でし尿を売り1両以上の収入がある。一人前の大工の1か月分の収入に匹敵する。2回目は厠(かわや)について書きます。

  1. 知人の大阪の兄が今日入院しました。大腸ガンで腸閉塞の恐れがあるため月曜に開腹手術らしい。いい人だけに無事手術が成功して欲しい。本人から今日、入院先の病院から電話が来たそうだ。明るい人で、周りが心配しているのを知ってか、気を紛らわせようとしてか?「16階の病室から見る景色はまるで観光地のホテルみたいだ」と。でも一つ心配していたのは、手術後に人工肛門をつけて排泄がうまくできるか?だった。他からの情報では、ある程度回復して来たら人工肛門は外せる旨伝え、本人も少し安心したようだった。排泄と大腸は切っても切れない関係だから本人の心配もうなずける。健康な腸内環境を保つには普段の食生活や外食や飲酒にも気をつけなければいけないのでしょうね。母も最後は大腸ガンでしたから、他人事ではない気がしました。

    • 偶然とはいえ、手術及び人工肛門が早く外せるよう祈っております。大腸ガンでの人工肛門、多いです。人口肛門の会員組織
      もあるくらいです。

  2. 現在の日本の一般的なトイレ概念では、水洗、それもシャワートイレが基準ですね。非常に清潔で使用する側から見れば快適ですが、それも上下水道が完備して居なければ不可能ですね。上下水道など無い地域や災害時などでインフラが壊滅状態になれば、シャワートイレどころか水洗さえ機能しませんね。僕たちは昭和の時代から不便な暮らしを体験して来ていますが、今の子供や若者たち、いや?中高年でさえも近代化日本しか知らない人たちが殆どになりました。災害経験者や自衛隊員などは別として、一般人は便利さばかり求める時代ですから、イザっ!と言う場合に応用が効きませんね。汚い物には一切触れない清潔な暮らしも伝染病の予防などメリットは大きいのですが、地球の変動や気象環境の変化で人間がコントロール不可能な災害も多くなっていますから、大人や青少年はもちろん、幼児教育から不便な体験授業なども必要ではないでしょうか。

    • 生き延びれる能力は不潔に強い子供や親が残るような(すぐに適応できる)子どもが高いと思います。私も小学校時代、トイレ
      は水洗もないところでしたから、最初は抵抗あっても慣れると思いますね。抗菌を減らすと強いからだになると思いますよ。

  3. シャネル931番。

    健康志向で野菜をよく食べる昨今ですが、下肥だけで野菜を作る有機野菜栽培などの体験や現場を見たら、今の人たちは野菜を絶対に食べなくなるでしょうね。野菜や作物は土との勝負ですから実際には肥えた土を作るところから始まります。牛糞や鶏糞などの堆肥を混ぜたり、スラリー(糞尿)を散布活用して土壌改良をします。田園地帯をドライブすると開放した窓から「田舎の香水=シャネル931番」の強烈な匂いがすることが良くありますね。写真では綺麗に実った畑しかイメージできませんが、それまでの下準備は汚い臭い不潔とも言える作業ばかりですね。こんな苦労の上に綺麗な野菜も育つのです。時代は変わって機械化はされていても、排泄物から得た食物をまた食して排泄する。今も、江戸時代の下肥サイクルと大差は無いですね。

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