ウクライナが独立する前のウクライナの話です。

Posted by seto

第二次世界大戦直前、主人公のイギリス人ジャーナリストが、ドイツではヒットラーのインタビューに成功、次はスターリンへのインタビューをしにモスクワにやってくる。母の生まれ故郷のウクライヘも旅をするが、同僚がウクライナへ取材に行こうとして,不審死を遂げた。何かを隠している。ウクライナで飢えが発生している噂もあり、確かめる取材だ。ウクライナ駅へ着くと駅逓で人が死んでいる、子供たちに囲まれて歌を歌われる。(映画字幕から引用)

スターリンは王座でヴァイオリンを弾く

・彼はしかめっ面でパンを生む地方を見る(ウクライナはロシアの穀倉地帯 筆者注)

・木の実でできた楽器、悲嘆が生んだ弓

・彼の指令を弾けばそれは大地に鳴り響く

・そしてスターリンは弦を切り、演奏をやめた

・地方では大勢が死に、生き残りは少しだけ

・飢えと寒さが家の中を満たしている

・食べるものはなく寝る場所はない

1932年から1933年にかけてウクライナで推定700万人が餓死した。ウクライナは穀倉地帯であるがゆえに、スターリンの命令で収穫した小麦を全量取り上げられてしまい、自分たちの食べる麦さえ無くなってしまったのである。映画「赤い闇」は、戦争直前のソビエトを取り上げている。スパイ網もフル稼働、権力に盾突くものや発言する者は密告され、通報されて収容所へ送られる時代だ。現代でも中国・北朝鮮・アフリカなどの独裁者のいる国、新興宗教の世界などでこのシステムは活用されている。大事な話をするときは、大きな音楽を流したり、森の中を散歩しながら話さないと盗聴される時代だ。スマホの録音機能にも注意しないといけない。身内や親戚でも通報され逮捕される社会でもある。現代は監視カメラか?

映画は、当初、ソビエト政府のウウライナの餓死否定情報を、戦後、米英の新聞は覆すのだが、その情報を真っ先に西側メディアに教えた主人公は、その後、誘拐され殺されている。いまでもロシアでは政敵が不審な死を遂げているケースも多い。フィクションなのかノンフィクションなのか不明だが、十分あり得る話だ。

現在、ウクライナの北側のベラルーシ(白ロシア)で自国から脱出や中東経由の人々が難民化している。欧州最後の独裁者ルカシェンコ大統領はロシアのエリツェン支持を背景にやりたい放題をしている。前回の大統領選挙で政敵の元銀行頭取を禁固刑にしている。独裁者は必ず政敵を密告させたり、探し出すシステムをつくるものだ。自殺に見せかけた他殺も平気でする。そうでなくても監獄や収容所へ送る。自由な権力批判がなくなれば息苦しい社会の再来だ。

  • 映画の中でアイヌが使っていたムックリを鳴らすシーンが2回出てくる。シベリヤや極東にいたギリヤーク人やオロッコたちの文化がモスクワまで来ていたのか?
  • 映画の後半にイギリスの作家、ジョージ・オーエルが映画の主人公に会うシーンがある。オーエルはソビエト社会主義体制批判の意味で「動物農場」を1951年書いた。動物たちは平等を目指して農場主を追い出したのはいいいが、結局、親分に豚のナポレオンがなって、やりたい放題をされる結末だ。
ムックリ

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