老健施設に母が7年いて思ったこと。
川崎の老健施設でお年寄りの転落死や歩けない老人が部屋から出てトイレで変死している事件、遺族が部屋の中に隠しカメラを取り付けて施設に働く男性職員が母親を虐待している映像も流している。ぞっとする。その施設は全国チェーン。
私の住む地域のフリーペーパーも介護職員の募集が大量に出ている。ヘルパー資格〇級以上は時給幾らと。仕事のハードさからみて安い。ゴミ収集車の仕事もキツイし、現場の過酷な仕事ほど待遇がひどいケースが多い。市会議員や道会議員は北欧の都市のように時給2000円くらいにして、昼間は普通に働いて、なおエネルギー有り余る人がボランティア精神と実際に働いて感じる矛盾を軽減する政治活動をするのがいいと思うがどうだろうか?現実に密着した自治体活動になると思う。
老健施設は交代の夜勤もある。体調を崩したり、精神的にバランスを崩す職員も多い。私の母もBという施設に7年間入居して嫌な思い出がある。とにかく担当職員がコロコロ替わる。親しくなり過ぎると金銭面でトラブルが発生しやすいので変えるのだというが、施設に不満を持つ病院へ運んでくれる運転手の話では「待遇の悪さで辞めていくのだ」と。運転手は怖い、何でもよく見ているし、耳をそばだてている。
入口の窓には、地域の人へ「この施設でのボランティア募集」まで貼ってあったのには唖然!!入会金400万円取り、毎月15万の入居費を取って、さらにボランティアで人件費を浮かせるか!頭数を確保する意味もあるらしい。100人も年寄りがいる大きな施設だから。親の家族が来ると、外で仕事の合間に美味しそうにタバコを吸っている職員が慌てて火を消す。1本吸い終わるまで休んでいればいいのにと思う。
1階に診察室があって、毎週決められた日に近くの内科医が来る。母も喉のタンが詰まり取れないときもあって、受診をしていた。看護師は3人いる。ある時期から、母の部屋に入ると眠ってばかり。処方されている薬の副作用を調べて、コピーし、主治医に抗議した。抗鬱剤を朝、昼、夜2錠づつ6錠飲んでいたのだ。さらに眠剤を夜に飲ませている。元気がなくなるわけだ。水分補給も不十分で、あるとき倒れて、脳神経外科へ運ばれて血液検査をするとカリウムが異常に低く危ない所であった。脳外科の医師が「ナトリウム入りの点滴1本で回復するのですがね」と。看護師が3人いるが、医師の指示がないと点滴もできないのだろうか?電話すれば、指示が出るのに。
施設近くの内科へ抗議に行くと、市民の患者はゼロ。この施設専用の内科であることが判明。間違って入ってくる住民はいるだろうけどね。この病院経営も老健施設が金を出している可能性が高い。あるとき母が部屋で喉を詰まらせ、看護師が吸引器を持ってきたが、誰ひとり上手に使えず、母は喉から血を出し、救急車を呼んで近くの総合病院へ運ぶ事件があった。そこの看護師は同じ器具を使って1分もしないうちに異物を除去した。「あの施設は看護師3人いるのに何をやっているんだろう?」と皮肉。「前にも同じ施設から救急車で老人が来たよね」。
施設の主治医と大ゲンカして「もう、あなたのお母さんを私は看れません。別な病院を探してください」と言われた。私は母が運ばれた病院に変更した、但し、主治医を引き受けるにあたり、その病院は「胃ろうはしません。それに同意されるならお引き受けします」と言われた。本州在住の兄と妹に電話してOKをもらい、3年後、穏やかな死をその病院で迎えることができた。子供が私含めて3人いて、母親を自分の家で介護できなかった後悔を持ちながら。
昔の少年
介護の社会環境が十分整わないうちに他界した僕の両親でした。ちゃきちゃきの江戸っ子で行動的だった母も入院直後認知症になりました。息子の僕に「どちらか様か存じませんが、遠い北海道からたいへんですね」と。父も90半ばでの気ままな独居生活を近所からの苦情で老健施設に入院させました。機密性の高い暖房の効いた病棟内部は、隙間風が入るジメジメした自宅よりホコリっぽく、直ぐに肺炎になり亡くなりました。いずれも自宅を出た途端しばらくして亡くなったわけです。独居の時に週に2回ヘルパー制度も利用しました。今では立派な医療体制の整った有料老人ホームなどが数多くありますが費用負担も大変なようです。また表向きと裏ではかなり違うところも指摘されています。つまりビジネス化から来る経営側の考えとの歪と人材不足だと思われます。自宅介護は家族の犠牲も大きいですが人生の最期は自宅で過ごしたいと願う人たちがほとんどではないでしょうか。