「そうだなあ123を合図に人類みな歴史を忘れたら本当に幸福について語れる(阿久悠著 清らかな厭世)
「人類が同時にそれぞれの過去の歴史を忘れたら、なんの わだかまりもなく、幸福について語れる」という阿久悠さん。真実はそうかもしれないが、現実は余りに悲惨・過酷・残酷で大脳の記憶庫に沈んだまま、いつ飛び出してくるかわからぬまま私たちは日常を生きている。
過日、NHKで「731部隊 エリート医師たち」についてのドキュメントを見ていたら、昔読んだ森村誠一「悪魔の飽食」を思い出した。中国人の捕虜を実験台にチフス菌を中心に細菌兵器開発を進める話であった。南方では餓死者ばかり出している兵士をよそに、潤沢な資金を与えられたエリート医師たち。番組はそこで下働きをしていた少年兵が80代になって、顔を出しての証言する。さらに石井四郎細菌部隊で働く医師たちが戦後の裁判でGHQを前にしての音声記録や医師たちの実名も出てくる。
すでに関係者の医師たちは物故しているから作れたドキュメント。戦中に細菌兵器を3回使用したとの生々しい証言もあった。チフス菌を培養・増殖に従事した兵士は自らの犯した罪の重さに耐えかねて、刑期を終えると自殺したとされる。その声も出てくる。ソ連兵が満州に入ってくるや、人体実験の証拠や施設を破壊、捕虜は集められて焼き尽くされ、少年兵は後片付けを命じられる。「ひどいものであるが、捕虜が可哀相だと口に出して言えない雰囲気があった。絶対、戦争はしてはいけない」と何度も何度も80歳を超える少年兵は語る。
敗戦が確実になり、ソ連が参戦してきて、エリート医師たちは、特別列車で日本へ帰還し、その後、教授の道、学長の道へと出世する。そのときの石井細菌部隊の研究資料はGHQへ全部渡すかわりに、医師たちは責任を免れる。中国北部で捕虜を人体実験していたのは京都大学、東京大学、慶応大学、東北大学、北大など帝国大学医学部を中心に派遣された医師たちと彼らを派遣した大学教授である。
当時発刊された新聞見出しもテレビ画面出されていたが、日本軍に抵抗する中国人は「匪賊(ひぞく)」とされ、殺して構わないという見出しの新聞記事が踊っている。新聞記事を書いているのも、当時では知的なエリートたちである。陸軍も海軍もトップは陸軍士官学校のトップクラス、海軍兵学校のエリートたちである。細菌兵器という武器開発に国挙げて、中国人捕虜の人体を使い論文を書いて、「お国が戦争に勝つために」を至上命題に生きてきた研究者たち。ここには自分の人間観や良心があっという間により大きな国益とプロバガンダに吸収されて、消えていくプロセスが見える。そうしてとりあえず、自分だけは家族のために暮らしのために生き延びる。より安全に帰国できるよう特権を享受する。
番組は「社会全体の風潮が戦争を押しやっている」と国民ひとりひとりにも大きな責任があると欄外に伝えていた。タイトルの「そうだな、123を合図に人類みな歴史を忘れたら本当に幸福について語れる」とは、ウルトラ級の理想ではあるが、事件や出来事、それも生死に関わる事件を加害者が忘れて欲しいということでもあっても、被害者の感情が果たして許してくれるかどうか?無理だろうと思う。ということは私たちはまっすぐ前を向いて生きるためには、いつまでも歴史を学び続けなければいけないことでもある。
坊主の孫。
既に高齢者の私も含めて、本当の戦争を知らない世代で動いている現代の世界や社会で人類が犯した過去の汚点を知ろうとする者も少なく、それが証拠にゲームでは簡単に人を撃ち殺す残虐シーンのゲームソフトを開発販売したり、脅しの段階では有っても核弾頭搭載可能な弾道ミサイルを大量に作ったり、またそれで実験を繰り返したり、或る国の党首は核兵器使用をも辞さない構えを見せたり、また現代版細菌兵器の疑いさえある新型コロナ菌が流行?したりと、新たな歴史にさえ汚点を残し続けて居ます。一つ間違えば地球の終わりにも成り兼ねない危険性をはらんでいる一方で、最もらしくSDGsのバッジを襟につけた偽善者たちが政治と言う好都合な道具を使い、企業とグルで新しい再生可能エネルギー生産の大義名分を掲げ国費の支援を存分に受けながら裏金で私欲を増やす構図は、もう既に新しい形の戦争状態にも等しいですね。つまり、表の顔は清廉潔白の仮装マスクを付け、マスクを外せば醜い鬼畜の形相ですね。このような歓迎されない新しい歴史が既に始まって居ますね。過去の歴史は取り返しが効きませんが、現代の歴史なら未だ軌道修正も可能かも知れませんね。
seto
SDGsなんて誰が始めたんですか?金融の人間がみんな偽善的につけてました。そもそも社章をつける人間を信用してませんからね、私。議員バッジも全員外して仕事をして欲しいと思います。軍人のバッジは殺害した兵士の数を思います。デストピア小説が流行ってますが、小松左京は先駆的で、日本が住めなくなった時どうするかという設定です。原発がありますから黙示ろく的です。まずは北海道に逃げてくると思いますね。水と土地と食料ですね。埼玉の知人も輪島は他人ごとではない、札幌にマンシリーマンションを考えているとメールきています。考える人・お金に余裕のある人は、こういうふううに発想します。
アドマン。
幸福の基準も人それぞれ違うのでしょうが、幸福について語り合える人々はどれ程いるでしょうか。事件や事故や大災害でスタートした今年は、干支で言う辰年。昔から辰年は荒れると言われて居ますが、全くその通りに成っています。願うは、これ以上荒れないで欲しいと。しかし物事や歴史は繰り返す事はあっても、終わりが無いエンドレスではありませんから悲観せず、明るい未来を想像しましょう。辰年も、昇り龍で景気も運気も、一日も早く上昇気流に乗ってくれればいいですね。
seto
龍は荒れると出雲の神官は言ってました。偶然でしょうけれど。きょう、この場所での幸せを継続する(できる)という価値観が大事かもしれません。昨日から「老子」を読んでますがタオ(道)の深さをもっと知らないとね。