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西洋骨董でお手伝いして1か月。下町感漂う札幌東区育ち(いまは違うかもしれない)の私にしてみたら、毎日がカルチャーショックの連続。泥臭い広告営業をしてきたので、スポンサーの社長や役員はお金持ちかもしれないが、使い方が骨董を求める層とずいぶん違う。金や株式・不動産物件の話になると熱心な顔になる人をたくさん見てきた私だったから。

前にも書いたが、余裕というか品というかギトギト感のないふんわり層と表現したらいいかもしれない。その中で印象的な人たちを紹介してみたい。去年、奥様を亡くされていまは市内の老人ホームでひとり暮らしの83歳のおじいちゃんは香水入れのブルーの瓶を3万で買い求めた。素晴らしい青色で、前にも15万の壺を夫婦で買い求め、1年に3回はヨーロッパへ夫婦で旅行していたという。元商社マン。

きょうは27歳の女の子が、グラスを2個買い求めた。寝る前にワインを飲むのが習慣になり、ちょっと贅沢に飲めるグラスを探していたところだったと。一人暮らしなので未来の彼氏と飲めるよう2個購入した。「これで日本酒も飲めるよね」。私の知人もやってきた。元大手広告代理店役員でいまは、小さな広告代理店とマッサージ店を経営している。お馬さんが大好きで、油彩の馬の絵と大理石で掘られた馬の顔を購入してくれた。

1930年代につくられた見る方向で色が変わる深いピンクのガラス製ペンダントを購入した女性もいた。スマホ撮影していた。おばあちゃんもやってきて、背が低いので、子供用の椅子を買い求めていた。料理人もやってきて、銀食器を長時間見に来たが、買わずに去って行った。また来るかもしれない。奥様に連れられて、はっと思わせる超美人の娘さんもやってくる。「例のヒ素入りペンダントを見せて」と。いまは製造中止の代物で青白い輝きを放つ。ネットで調べると確かにヒ素入りのペンダントやアクセサリーはフランスやチェコで作られていた。結局買わなかったが、若いうちからお母さんに連れられて西洋骨董の本物を見ているから10年20年したらいい顧客になりそうだ。

ウラン入りのランプもある。ライトで照らすと緑色になる。これもいまは製造されていない。圧倒的顧客は50代60代の奥様族だ。自分で働いて稼いでいるわけではなくて〈中にいたら失礼)、多いのは旦那さんの職業(これは聞けない)か親からの財産譲りか、ガーデニングをしている人もたくさんいる。ありがたいお客様に囲まれている社長だ。お菓子まで持ってくるので筆者はずいぶんいただいた。

しかし、マンションに住みながら西洋家具を求める人も多い。プロのピアニストは若いときは白い家具を揃えていたが、いまは渋いオーク材の色が好きだと。3年ロンドンに住んでいて、いまは抗がん剤治療中の女性も病院を抜け出してやってきた。オーク家具を眺めてほれぼれしていた。未来へ生きる力になるようだ。3本オーク家具の仮予約を入れたが「先に欲しい人がいたら、売ってあげてもいいよ」と謙虚だ。

それぞれ、自分だけの人生の悩みや悲しみや喜びを背負ってお店に来る。45年、業界にいる人なので商品一点一点に薀蓄話があるのがいい。それを聞いているだけで、商品が生き返る、蘇生する。誰にでもできる技ではない。業界の重鎮は来月、仕入れに渡英する鈴木均72歳。大学を出て、サラリーマンの経験がない本郷育ち。教育熱心なお母さんが息子を東大に入れるためわざわざ本郷に住居を移して、現役東大生を家庭教師につけられたが、残念ながらダメだったと苦笑していた。

  1. 人生いろいろですね。貧乏を身をもって体験して育った私は身体を使っての労働や小手先だけの技術を使う仕事などの他に営業職もかじって、本職は一体?何だったのか?と自問自答しています。それでも、今では古くなった一軒家は有るものの人間と同じで老朽化して先を思いやられます。骨董どころか、ろくな家具や調度品はなく、生活するだけの最低限のものと他人から見れば多分、不用品だらけですね。骨董趣味などの余裕は全くありませんが、反面、そのような人達は羨ましいですね。今は亡き姉(長女)の旦那(義兄)は骨董癖で、檜造りの家の大きな間口の玄関の上がり框には怖い形相の甲冑が二体。40畳もある畳の部屋の透かし彫りの欄間の下には薙刀。床の間には銘の有る刀剣や見事な水墨画の掛け軸や書の額など沢山集めて居ました。現代っ子の息子の代になってからは訪問して居ませんが、思うに全て売り払ったに違いありません。我が家にも登録済みの銘ある刀剣と言っても小柄ですが子供の頃遊びに使って剣先を欠けさせてしまいましたが、その後は行方不明です。和風の骨董は紫檀の座卓がありましたが、子供の頃は価値など知らずただの座卓として荒っぽく使って居ました。西洋家具との接点は全くありませんでしたね。

    • 私も貧乏育ちで骨董はホームズのドラマの中だけ。自部自身が自宅の骨董となっています。親父がコイン集めをしていましたが、あとは何もないです。骨董は子供のころから自宅にそういう作品がないと趣味にはなかなか到達しませんね。お金持ちの主婦を見ていて、金の競い合いと見栄はりのように私には見えました。寂しさを骨董で埋めている病院長の奧さんもいました。子どものいない奥さんも何人かいました。『主人から買うのは200万までといわれてるの』と公言する女性もいましたよ。

  2. 西洋骨董を見れば歴史を感じますね。また職人の方たちの技術の高さにも感心します。北海道も旭川辺りでは家具製造が盛んと聞きますが、価値あるモノづくりの技術は絶やさず継承して行っていただきたいですね。我々は、つい安物買いに走りがちですが、これまでの経験では安物買いの銭失いの諺通りで、壊れて捨てて残って居ません。それでもまた買い求める悪循環は治りません。例えば、それなりに立派な住まいに住めたとしたら、きっと調度品にももっと気を使っていたのではないかと思いますね。興味はありましたね。仕事でヨーロッパ家具専門店の広告もやりましたから、例えばイタリアのソファや照明器具や有名なマッキントッシュの椅子など気にはなるものの、自宅を考えれば、どれもミスマッチにしかなりません。西洋骨董も、洋物家具も、それらを収容配置できる器や住まいが有る事が先決ですね。それには、相当の勉強や、相当な資金も必要と言う事ですね。

    • 自宅が安普請の我が家には骨董は合いません。私もずいぶん、文化の違うバイトをしたものです。たまたま広告の営業をしていて社長と知り合いになったんです。客はお金持ちの方が多かったのですが、『この人はと思えば100%落とせる」と豪語してました。コツは会話と相手を褒める、どんどん褒めることだと指南されました。現場を私は見ていません。独身の音楽家のマンションに納品したとき、この部屋は何度か入ったと言ってました。

  3. 何といっても好きなジャンルの仕事に就けることは幸せですね。天職と言われるほどの熱心な仕事ぶりは、やがては他方面からも評価され、認められて大きなビジネスにもなるのでしょうね。私などは、親が職人でしたが継承もせず天職どころか?転職と転居ばかりしてきました。お陰様で何とかこれまで過ごしてきましたが、天職も転職も若いうちが花ですね。

    • 好きが一番の天職の条件です。これにかなうものはありません。セクハラにもそういう要素「好き」はあります、注意しましょう。

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