イソップ物語「塩を運んでいるロバ」「旅人とクマ」「二つの袋」ほか
久しぶりにきょうは、テーマに困ったときのイソップ頼みです。イソップは紀元前6世紀の人でもとはサモスという都市の奴隷であったとも言われています。後に解放され自由民になりましたが、デルフォイで不慮の死を遂げました。(歴史家ヘロドトスの言)。
塩を運んでいるロバ
塩を運んでいるロバが、川をわたっていきました。ところが、すべって水の中にころびました。しかし水のために塩がとけたので、起き上がってみると、荷がかるくなっていました。ロバはたいそう喜びました。そののち、海綿を運んで川をわたっていったとき、ロバはまた転べば身が軽くなれると考えて、わざところびました。ところが、海綿は水を吸ったものですから、ロバは立ち上がることができなくて、そのまま、おぼれ死んでしまいました。こういうふうに、人間も、自分の立てたはかりごと(謀)のために、おもいもかけず不幸を招くことがあります。
漁師と大きい魚(さかな)と小さい魚(さかな)
ひとりの漁師が、海から、網を引き揚げて、大きな魚をとりました。そして、地面に並べました。小さい魚は、網の目を抜けて、海へ逃げました。たいして幸福でない人々は、たやすく助かりますけれど、えらくて名高い人は、罰を逃れるのが、むずかしいものです。
旅人とクマ
友だちがふたり、同じ道を歩いていきました。突然、クマが現れたので、ひとりは素早く木に登って、そこに隠れましたが、もう一人はつかまりそうになったので、地面に倒れて死んだまねをしていました。クマは鼻を近づけてかぎまわしましたが、その人は息をとめていました。このケモノは死んだ人には手を出さないというからです。クマが行ってしまったので、もうひとりは、木の上からおりてきて、クマが耳のところでなんと言ったのか聞きました。すると相手は、クマが、これからは、危険なときに助けもしないような友達とは、旅行するなといったと、答えました。不幸なことがあると、ほんとうの友達がわかるものです。
二つの袋
昔、プロメテウスが人間をつくったとき、袋をふたつしょわせました。一つにはほかの人の悪いことを、一つには自分の悪いことを入れておいて、ほかの人のぶんは、前に掛け、もう一つは後ろに掛けました。そこで人間は、ほかの人の悪いことは遠くからでも見えますが、自分の悪いことは目につかないのです。この話は、自分のことがわからないくせに、よけいな心配をするおせっかいな人に話してやるといいのです。
昔、昔の少年
長いお話しより、短いお話しのほうが解釈が広がりますね。説明的過ぎないところが読み手に空想させる部分があっていいですね。本当は長い長い話を短く短く短くしたのでしょうか?我々も学ぶところがありますね。