道内の業界で有名な、とあるフレンチのシェフの話。彼は若い頃にフランス料理

の勉強のため、専門の留学プランに申し込みました。ところが、シャルル・ド・

ゴール空港に降り立ってみると、いるはずの出迎えが来ません。詐欺だったので

す。ブランス語もできないし、手持ちのお金もほとんどなかったので、普通なら

大使館に駆け込んで泣きついて帰国するところですが、彼はしゃにむにレストラ

ンでの下働きの口を見つけ、結局数年間そのままパリにとどまり、自力でシェフ

の修行を済ませて帰国しました。

 

帰国後はススキノの近くでこじんまりしたレストランを開きましたが、偏屈なま

でのこだわりのせいで、経営はうまく行きませんでした。というのも、例えばク

リスマスのディナーに、ややこしい内臓や豚足など、彼女とふたりの甘い夜に相

応しくないメニューを出すといった具合だったからです。下ごしらえが大変

で、”フランスでは”グルメに大絶賛。気合が入れば入るほど、そういう技の全て

を出しつくすようなものを選んでしまったようです。ホールの担当や仲のいい業

者の忠告にも耳を貸さず、そういうことをしつづけたので、やはり店を畳むこと

になりました。

 

その後、あるリゾートホテルのレストランに皿洗いとして勤めますが、実力のな

いシェフを追い出し、自分がシェフになってしまいます。そこでもやはり、アル

バイトの女の子にフランス語でオーダーをとらせるなどの無茶をやったそうです

が、味の良さが知れ渡り、近隣観光コースの目玉として、バスが止まるようにな

りました。この人はその後、道内の著名な経済人の目に止まって店を任されるよ

うになったそうです。

デザイン業界でもそうですが、専門学校や美大をストレートに出た人より、いろ

いろ寄り道をしてきた人のほうが、職人としての底力があるような気がします。

 

 

 

  1. エピソードと言うより実話ですね。ご自分のやりたい事を、体制に流されずに最終的にやり遂げた訳ですから立派です。言葉の壁は、むしろ現地に飛び込んで体験したほうが会話力も身に付くのでしょうね。文字で文法ばかりお勉強していても書物を読むならともかく、とっさの会話に活かせないでしょうから。仕事も同じかも知れません。専門職に成るほど体験(経験)が自信となって物を言うなんて事にもなるのでしょう。しかし、一つの事をやり抜く事ほど難しい事はありませんね。長い道のりにはいろいろな障害も待ち受けているでしょうから。

  2. 好きな事を持ち合わせて生きている人は大成しますね。認められるまでには相当の苦労もあるのでしょうが「好きこそ物の上手なれ」ですね。嫌、嫌、仕事をするのと、喜んで働く、その差は大きいでしょうね。夢と言う目的があるから頑張れるのでしょうし、頑張るから、その夢も実現に近づくのでしょうから。好きな目的の為なら、どんなに恰好が悪くても、人並に暮らせなくても、行きつくまでのプロセスでは無く結果でしょうから。そんな若い人たちが、これからも現れればいいですね。応援したいです。

  3. 夢って実現するものですね。幼い頃から、やりたい事などを抱き続けていると、知らない内にそんな自分になっているなんて事はありませんか。もちろん、それまでにジグザグと迷ってたどり着くわけですが。きっと、何度も遭遇する途中の枝道で自らが本能的に右か左かを選択しているのでしょう。僕も娘に聞かれた事があります。「二つの職種から選ぶのだけれど、どうしょう?」と。「自分が苦手な方を選びなさい」と言ったものの、不得手をなくすには良い方法ではあったのだが?今、考えれば正しかったのかどうか。

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