『彼ら犯罪者があなたたち高齢者を狙うようになった原因が、あなたたち自身にあると考えたことはありますか』(鈴木大介 老人喰い 2015年 ちくま新書)。ここまでテレビや新聞は視聴者や読者へ問いかけない。ブログだから書けることである。詐欺をしている人間たちを肯定しているわけではないこともご理解願いたい。


若者が生きにくい・豊かになれそうもない制度(派遣法やサービス残業の常態)が、現在、資産を持ち、ぶつぶつ言いながらもそこそこの年金をもらい、『明日は何をしようか?次はどこへ旅をしようか』などと話しながら毎日を暮らしている。孫でもいるならいまならクリスマスプレゼント何にしようかである。


彼らの生きた時代は正社員があたりまえの社会であったが、新自由主義の波に飲まれて、企業が生き残るために労働者派遣法を日本経済団体連合会と自由民主党(当時の竹中平蔵大蔵大臣・・小泉首相は経済に暗くて政策は竹中に丸投げ)が速記者と通訳だけに許されていた派遣法を事務職に拡大(事前にこの法律が成立することを知っていたパソナの南部社長は事業を拡大、政商である)、それが製造業にも拡大されて現在がある。


これを報道するマスコミもテレビや新聞も関連会社に派遣会社をつくり、安い給与の彼らを利用し、後日の役員天下り先として確保している。そのとき、制度や法律作成に携わった官僚や、派遣会社で大儲けした人たちは高いテナントビルに立派なオフィースを構えて、ピンハネ産業の興隆を謳歌している。労働者派遣というから何か高尚な世界だと誤解される、ピンハネ産業と名称を変えてもらいたいものだ。役人の日本語つくりにだまされてはいけない。こういう語彙(価値中立っぽい日本語だが)で既得権者保護が横行。


正社員になれない若者(いまや30代・40代・50代も多い)が(未来の夢)を持てないのは当たり前。『預貯金3000万円を持っている高齢者から500万円いただくだけだ。何もない人から取るのではない』詐欺組織では、講師はプレイヤーにそう訓示を垂れる。ドストエフスキー『罪と罰』の出だしを思い出してしまった。あれは金貸しのおばあさんを殺して金を奪う話だけど。世の中の役に立たないばあさんを殺して何が悪いと大学生ラスコリーニコフ。


筆者は、大学を中退して、結婚後、転職を4回したが、ラッキーな今がある。私の世代に多い最初の就職先で定年を迎える人より若干、世の中を知っている。一生懸命に働いて人一倍苦労をしている人には同情的だ。しかし、これは何も日本だけの現象ではなくて、隣の韓国や中国、EU諸国、中東、アジア、南米。そしてお金持ちは貧乏人に冷たいし、軽侮の念を持っている人が多い。金持ち同士でグループを作っている。


そしてアメリカのトランプが下品な言葉使い、差別発言の数々にもかかわらず大統領に選ばれた(言葉を奪われた人たち、失業で人生が狂った人たちが多く支持したのかもしれない)。新聞や週刊誌に言葉を並べて原稿料をいただく人たち、テレビでご自分の勉強と資料で知識を持った解説者やゲストもいい暮らしをしている。スーツメーカーの広告を作っていた筆者なので、彼らの着るスーツ素材やネクタイは高い物を身につけているのがすぐわかる。


もちろん、生活保護支給者の半分は65歳以上であるのは確かで、高齢者イコール豊かな層ではない。自分たちだけなら豊かであっても、さらに高齢の両親の介護や引きこもりの子供を育児したり、子連れで帰ってきた娘がいたり様々。しかし、狙われるのは平均預金2000万円クラスの老人たちで、どういうわけか一度詐欺に引っかかると老人は再度繰り返す癖もあることも詐欺集団は知っている。

 

  1. 若者と年寄りと田舎者。

    確かに派遣業の入るテナントビルは立派だ。知り合いも派遣業にいたり、派遣社員にいたりと、様々だ。昔は大阪駅に早朝に着いて始発電車まで駅の待合室のベンチで時間つぶしをしていると、どこからともなく手配師が現れて「兄ちゃん、ええ仕事ありまっせ」と誘ってきたものだ。駅には、だまされやすい田舎者が集まるからだろう。手に職があったから誘いには乗らないが、もし、あの時職がなければ人生も変わっていたかも知れない。田舎者はだましやすいらしく、風体や言葉のイントネーションで判断される。東京ではタクシーが遠回りして料金稼ぎをしようとしたが、僕もすでに知っていた目標物を数か所指してその手は食わなかった。名古屋でも同じ目に遭った。違う処に下ろされたが、逆に料金を踏み倒してやった。こちらが一枚上手だったようだ。また田舎者を装って得をしたこともあった。いつもと違う電車に乗って羽田発に間に合わなくなった時にモノレールの中から携帯で飛行場に言い訳して、カウンターでは「田舎者ですから電車を間違えました」と。次の便に乗せてもらった事もあった。田舎者と老人はだましやすいようだが、これからの老人は、そうではいけない。今では手配師が派遣業と名を変え、若者たちからも堂々と騙して搾取している。古今東西変わらず弱者は若者と年寄りと田舎者なのだろうか。

  2. 金持ちをひけらかす輩は鼻につく。なぜならその輩にも自分にも腹が立つからだ。同じ空気を吸って、同じ税金払ってまじめにやっているのにこの格差は?。しかし、ほとんどのケースがそんな輩の手柄でも何でもなく、玉の輿、逆玉、親の七光り、遺産相続、保険金、宝くじ、博打等とまともに稼いだと言う話は少ない。最初から同じ土俵ではないのだから、比べる事すら無意味だ。ひけらかす輩は、自慢することで注目されたい、羨ましがられたい、それが生きがいなのだろう。金持ちは一般的にケチが多い。ケチだからさらにおカネが貯まる。つまり我々貧乏人は消費癖なのだろう。近所にも主婦で一億円貯めた人がいる。老後の施設に入る資金にするそうだ。オレオレ詐欺などは、そんなおカネを狙うのだろう。彼女も近々65歳になろうとしている。ご主人は退職後の余暇を、図書館と大学に行って勉強しているようだ。

  3. 仕事無ければ犯罪が増える。

    「北の国から」の田中邦衛の演技を見ていて、セリフに何か現代への警告を感じた。「カネを欲しがるな、自然は生きるためだけなら食べさせてくれる・・・」みたいな。結局みんな田舎を飛び出して街に集まって生活していても、田舎や、自然のお世話になっているわけで、都会は食べさせてくれない。僅かな報酬を得るために、無駄な通勤をして働いて疲れて結局、倹約して安いスーパーで、田舎で作られたであろう作物や牧場で生産された牛や豚や鶏の肉や乳製品や、漁村で獲れた魚介などを買って食べて暮らしているわけで、考えれば、食べるだけに働くのなら何も街に住む事もないわけで、農村や漁村で暮らしていれば、空気はいいし、身体には非常にいい環境も整っているわけで、なぜ・こうなってしまったのかと。都会しか知らない者は別として、少なくても田舎出身の者は、もう一度田舎にカムバックしたほうが良さそうだ。水力も風力も太陽熱も再生エネルギーの宝庫だし、規模は小さくても生産性が高い暮らしと言えるのではないだろうか。地方創成などを本腰で具体化するには、先ず民族の大移動から手掛けたほうが良さそうだ。実現すれば、都会への魅力などは既に過去の遺物となるに違いない。都会には、もう既に若者たちにも、老人たちにも仕事を与えられなくなっている。近い将来、町では暮らしも成り立たなくなりそうだ。仕事が減れば減るほど、犯罪は反比例的に増えるだろう。人の心は貧しくなるばかりだ。

  4. 高校の同級生から絵葉書が届いた。テニス仲間の集合写真だ。僕には縁の無い「悠々自適のPR」のようだ。昔は同じスタートラインに居た彼の姓が変わっていた。逆玉のようだ。細身のはずが、すっかり太って別人のようで、最初はだれが本人かわからなかったくらいに幸せ太りに満面の笑顔は、どうやら大満足の暮らし向きを紹介しているらしい。何度かの同窓会への誘いも僕は断ってこれまで一度も出ていない。こんな写真が送られてくると、尚更会いたいとも思わなくなった。むしろ昔のままの面影のある素朴な写真であれば別だが。想像できる酒席での自慢話も聞きたくないのも本音だ。同い年でも、まだ仕事をしていると、時間を気にせず彼らプチ富裕層と一緒に遊び歩くなど到底無理な話だ。

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