お客さんと直接接する人が大量に不足している現実。コンビニの接客、居酒屋の接客、新聞配達、板金工、トラック運転手、ホテルの清掃やベッドメイク、老人ホームの介護士そして営業職である。これ以外にも筆者の知らない職種もたくさんあるとは思う。共通は現場に必要な人が足りないということだ。

私の家の屋根の雨漏りを直してくれた板金会社の社長が話してくれた『若い人が入ってもすぐに辞めてしまう。もっと綺麗な仕事・危険でない仕事・高い給与の同業社に転職して、年寄りしか残っていない。教えてもうちの会社に残らない』。3日間だけ頼まれてホテルのベッドメイクをしたが、筆者は3日でダウン。ヘルニアが悪化して即手術。過酷である。時間との勝負で、シーツを剥がし、枕カバーを外し、宿泊客の残したゴミを片付け、トイレを清掃、終わったらシーツをマットの下に角を埋め込む。土曜・日曜はアジアからの観光客で全館満室。焼きソバ弁当の食べ残しが部屋に散乱して、掃除するおまけまである。居酒屋のママは大学生を上手に使い、同じ大学同じクラブの学生と提携して安定したバイトを確保している。姉妹も使い、居酒屋の人気者である。

団地内のコンビニは、経営者が2店抱えてどちらの店にも顔を出してがんばっているが、人手が足らないと社長みずから店員になる。顔色が少し悪い気もするが、24時間営業をしなくても1時で閉めて電気代を節約するのが賢いとは思う。スーパーの店頭から『募集チラシ』が消えたことはない。市役所の広報では臨時職員募集ばかり、随時募集。子どもと遊ぶ、老人を訪問してお喋りをする、役所の窓口業務、清掃のごみ集めもある。すべて市民と直接接触する大事な業務を臨時職員や市職員の天下り会社へ委託している。図書館運営も外部委託だ。『ボーナスはあるの?』『ない』。本屋や図書の取次が金を出して全国の図書館運営に乗り出す。『税金の節約(人件費減らす)』ことを口実にプロの視点で図書運営と市へプレゼしている。これまで5時で閉館していたのを夜8時まで開館である。便利にはなったが、そこで働く職員は市職員の労働より拘束時間と待遇面で過酷かもしれない。

そして、どこの現場でも発生している『老人のクレーマー』対応である。現役のときにそこそこ尊敬もされていただろう人たちが定年になり、自宅でもてあまされて、イライラ感募り、そのはけ口として現場の若者たち、主婦へ不寛容な言動を繰り返す。コールセンターへ向かう人もいれば現場で毒を吐くタランチェラもいる。見ていると、それを言ってる年寄りの人相の悪いこと。そういう人には『鏡を出して自分の今の顔を見せるのが薬になるかもしれない』。疲弊する現場は続く。

  1. 社会人の為の予習。

    猫も杓子も大学卒の高学歴では、それ相応の職場でなければ就職したくないと考える若者が多いのでしょうね。汚い現場、難しい職種も、反対に単純作業も、ノルマも、他人にへつらうサービス業も、職人も、やってできない事は無いのでしょうが、やりたくないのが本音でしょうね。まして職人の弟子入りなど全盛期の遺物とでも思うのでしょうね。では?一体何が彼らに出来るのでしょうか?と考えても何一つ浮かびませんが、本人たちの思い描く仕事とは、綺麗な服装でおしゃれして通勤し、デスクに座ってPCを触り、定時になればピッタリ帰る。そんなイメージなのでしょう。そこには何のストレスも無く、義務も責任も無い、理想の職場があると信じているのでしょう。ですから現実の社会に直面した途端に拒否反応で辞めたくなるのではないでしょうか。進学の為にだけ勉強して上り詰めるのも良いのですが、最終目的が就職して社会人になるのであれば、在学中に既にそちらの予習もしておくべきでしょうね。

    • 職業選択のための学校を高校ですればいいですね。普通科という選択ではなく、工業や商業、美術、農業など若いときから分節
      していくといいですね、現実は。文科省や霞ヶ関にはこれとは真逆の人たちが住んでるから直らない。普通科→法学部志向、公務員
      試験・上級に合格目指す偏差値人間を生み出すことになって、現場軽視思考にもなると思うのですが。

  2. 年寄りのひがみ。

    暇な高齢者?と言っても大した高齢ではなく、健康でピンピンしている60代の人たちです。個人の自由と言ってしまえばそれまでですが、これ見よがしに、やれ旅行だ遊びだと自己中心的な自慢話ばかりが仕事の人も多いですね。元仕事仲間と飲み会も自慢話の応酬のようですね。やれ何回も海外旅行に行ったとかスイスの山に登っただとか、全くついていけません。「すごいね!」「それは素晴らしかったでしょう」「元気ですね」と言うしかありません。こちらの話など、とっても恥ずかしくて言えませんね。また聞く気も無いのでしょうけどね。こんな元気な高齢者が沢山います。何かもっと社会に役立つことでもしてくれればと常日頃思うのですが、他人を観れば自慢話を聞かされるのって苦痛ですよね。まして比較されるのも屈辱ですね。

    • 元気な高齢者の手本、たくさんいますよ。自分の周りのおばあちゃんだけの家の除雪をしたり、小型トラックで排雪
      までしている人、小学生の通学路も交差点で毎日無償で立っている60代70代。ボランティアの競争をしているみ
      たく見えて微笑ましい。されたほうが彼にお礼にと金銭を上げると怒って受け取らないのです。

  3. 奴隷扱いと、意地悪ジジイと、意地悪ババア。

    家内もチームを作って、ホテルのベッドメイキングを請け負っていた事がありました。遠くはルスツのタワーホテルや、街中のビジネスホテルなどでした。仕事は過酷でスピードを要求される仕事でした。おまけに冬場は危険な中山峠を車で往復していましたが、大型トラックなどに煽られたりしてスタッフの命も預かっている立場上、厳しいものがありました。こんな職種の環境では長く続く訳はありません。この後、介護の仕事に就きましたが、これも過酷でした。僕も手伝った経験では我儘な年寄りが多く、まるで奴隷でも使っているような態度の意地悪ジジイも多かったです。ボランティアで老夫婦の住む戸建ての除雪に行った時でしたが、広い玄関先を一人で汗だくで作業していると、時々いじわるそうな奥さん(婆バァ)が覗いて「未だ終わらないの!」とか「早くやって、屋根雪も降ろして!」と我儘放題でした。「屋根雪は業者に頼んでくださいね」と丁重にお断りしましたが、あれでは良かれと買って出たボランティアも二度とやりたくなくなりますね。職場も仕事も同じで、依頼側や使う側にも問題が無いか?考える必要がありますね。

    • いま流行の、どこまでもサービスを求め続ける老人たち・・・です。依頼側・使う側に問題ありです。ベッドメイキング
      はチェックインまでに仕上げないといけないので大変な重労働です。人手がないと支配人も狩り出されます。ホテル代金
      の安さがベッドメイクの時給の安さにも繋がります。日本全国ホテルラッシュもこうした人がいないとホテルは機能しない
      ことを肝に銘じるべきですね。筆者の向かいにホテル経営者が住んでいます。朝の6時には車でホテルに向います、朝食
      バイキングの準備なのでしょうか?365日休み無しです。奥さんも大変です。ビジネスホテルとはいえそこそこ部屋数
      あるホテルだから労働の確保含めて、元気な60代をたくさん雇用しているかもしれません。今度、聞いてみます。

  4. ほめ殺しと、突き放し。

    ほめ殺しまでは行かなくても、人間は褒められれば伸びるものですね。そんな雇用関係の職場も良いのですが、厳しい職場も必要でしょうね。危険な作業などは特に厳しさも必要です。つまり命に係わるからです。職種によって人の育て方は違います。僕は弟子入りの経験があります。4年間でしたが厳しかったですね。それに手取り足取りは教えてくれませんでした。殆ど自分の頭で考えて技術を盗むことで覚えて行きました。大先生は多くは語らず、悪い部分の指摘だけです。そんな中で自信を持ったきっかけは大先生が家族の不幸で居なくなった時でした。大メーカーのクライアントの仕事全ての責任が僕に掛かった時でした。そんな事が二・三度あってから自信が付きました。職場でも、教える立場にあれば、突き放すことで成長させることもできるのでしょうね。

  5. 貧乏な家に育った僕は、高校進学さえもあきらめようか?などと思春期に考えていました。一応近くの県立進学校を形だけでも受験しようかとさえ考えていたのですが、しかし、二番目の姉が通った高校を思い出してそこに決めました。県立ですが珍しい昼間定時制です。この高校のある市は自宅から3~4時間も列車や電車を乗り継がないと行けません。またここは繊維産業の盛んで染色工場や撚糸工場や、機織り工場など、大・小の工場が沢山ありました。入学試験はパスしましたが、入学式のその日から全寮制の生活が始まりました。県外は奈良あたりからも入学した同級生もいました。集団生活など初めてでしたが、5~6人部屋で毎日勉強して自分の身の回りの事もしながら共有スペースの掃除や風紀委員をしたりして、学生服で一週間通学したら、翌週は繊維工場で大人に混じって作業衣に着替えて仕事です。学校の生徒はA班とB班に分けられていて交互に勉強や部活と、仕事を両立させていました。普通校との違いは、単位の関係で4年制でした。働いていた会社から寮も無償貸与され、食事も毎回大食堂に用意され、月末には給料も貰って学資や生活費に充てていましたが、親にも時々仕送りをお願いしました。好きなスキー道具などを買うためには新聞配達もしました。しかし、その後残念ながら我が母校はいつしか全日制の高校に編入されてしまいました。繊維産業の盛んな土地ならではの変わった高校でした。「働学一如」と学校の庭の大きな石に刻まれていました。これからも、企業の協力で地域産業と一体の学校も必要ではないでしょうか。卒業生の一部はお世話になった会社に就職した者もいました。

  6. お昼休みの使者

    記事を読んで、いつしか話題になりましたウルグアイのムヒカ元大統領のスピーチを思い起こしました。
    このハイパー消費社会が生んだ影響はどこまであるのでしょうか。働くことも効率性ばかりが重視され、長い時間をかけて育てるサービス(人材・商品)は、まるで”悪いこと”のようになりそうです。
    しかし、さすが。「毒を吐くタランチュラ」は秀逸です、笑わせてもらいました!(笑)

    • 毒を吐いてるタランチェラは筆者かもしれませんよ。ムヒカ大統領みたいな人が出てもおかしくない日本ですがね。こういう
      人がいて安心なのは、国のトップが汚職をしないことです。キューバやブータンも汚職がない。いまのウルグアイはわかりませんが。
      現代、どこでも即戦力の掛け声ばかり。どの分野でも育つまでは肥料や水やお日様が必要で、すぐに実になる強過ぎる人工
      肥料をかけてしまいます。未来の時間へ希望を持ってないかもしれません。目の前の成果、快楽ですかね。

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