川の駅→道の駅→鉄道の駅
廃屋が筆者の住む自宅の周りに何軒かあります。農家を辞めた廃屋ですが、以下の投稿は、明治の開拓以前からある「道」についての簡単なコメントです。
北海道では、道も通っていないような原野の真ん中に、古い小屋くらいの大きさの廃屋が現れることがあります。これは「駅」とか「駅逓」とか呼ばれるもので、開拓以前の道路のない時代の、川による交通網の拠点でした。
人の通った後に道ができるという言葉はロマンチックですが、実際の原野はその日のうちに草が生い茂ってしまいます。道を作るというのは一大事業で、少なくとも村落程度の人手をかけて、土を突き固めたり石をばらまいたりしなければなりません。
明治になって本格的な開拓時代を迎える前にも、北海道にはいろいろな人が入り込んでいました。そういう時代の名残がこういう原野の廃屋というわけです。そして、道ができてからは使われなくなり、川自体も流れが変わったりして、駅逓は原野に取り残されました。
本州では、どんなに小さな村落でも何百年も昔に道ができ上がっていて、河川交通の時代の名残などはなくなるか、何かに置き換わってしまっているでしょうが、北海道ではかろうじて残っているわけです。いや、以前は千歳や恵庭の郊外でそういう廃屋を見かけましたが、それも昔の話ですので、今は朽ち果てているかもしれません。
現在では駅といえば鉄道の駅のことを言い、その後各地に道の駅が生まれましたが、できた順番からすると、まず川の駅があり、次に道の駅ができて、鉄道の駅はそれよりだいぶ後のものということになるわけです。