11月15日、午後2時30分から北海道大学で、ピック駐日フランス大使の講演会があった。『グローバルガバナンス』のタイトルで講演された。フランスは若いマクロンが大統領になって、ことしは第一次世界大戦が終わってちょうど100年。ヨーロッパ大陸間での初の大規模な戦争で、死者は900万人、傷害600万人、戦争孤児300万人、戦争未亡人600万人。その深い反省から『国際連盟』を作ったが、ドイツに返済不可能と思える賠償金を課して、それが引き金に第二次世界大戦が起きて、今度は『国際連合』を組織した。ヨーロッパは現在のEUというヨーロッパ連合を組織した。どちらかというと経済組織として見られがちなEUは、実は戦争の悲劇を防止するための目的が主で、第一次世界大戦終結後100年を記念して今一度、EUの存在理由を再認識したいとピック駐日フランス大使は強調していた。翻って、現在の世界。緊張みなぎる世界で、アフリカ、中東、アジアでも身近なテロ行為が多発していて、どれも一つの国で防げる問題はない。ヨーロッパでもウクライナがロシアの力で部分的に奪取されて、分裂騒動が起きた。さらに大量殺戮兵器(北朝鮮やイランの核)シリアの化学兵器、中東でのシーア派とスンニー派の対立、中国の台頭でアセアンの全体統合が困難になっていること、世界じゅうで敵意の増大で軍事費が増加している。さらに国境を超える環境問題でも、アフりカの干ばつ→飢え→移民・難民の発生でヨーロッパ大陸への流入と既存国民の反発と移民制限の大きな声もヨーロッパ各国で出ていると大使。フランスでも国内で移民への壁をつくる動きはある。そしてここからがテーマのグローバルガバナンスの話だ。『グローバルは恩恵を受けてる人とまったく受けていない人(何、それ?)の格差、不平等を顕在させている。フランス国内にもたくさん不満を抱えている人がいる』とピック大使。さらに世界のデジタル化で、領土という概念にベースになる国境がなくなったことが大きいと。租税回避で大金持ちは金を移動する。国際協調が必要なのはこうした国境のない動きを管理できないということだ。貧富の格差が半端でなくなるとポピュリズムやシンプルな解決を望む(帰れ!コールや壁を作れ!)人が増えるから注意したい。解決策は既存のシステムを利用するしかない。WTOやG7やG20だ。フランスは日本が拒否権を持つ国連の安全保障理事会に加わることに賛成だ。しかし、この拒否権についてピック駐日フランス大使は、自身、国連大使を経験したことがあるのでこう言った。『しかし、ジェノサイド(大虐殺)についてだけは拒否権は行使できないとしなければいけない』と。世界中で、ロシアファースト、アメリカファースト、何でも自国ファーストの風潮が広がっていることに大使は危惧を示した。なぜなら、今日の問題は集団的な協力なくして何も解決されないからだ。

こんな要旨でいかがでしょうか。11月16日 記。今回の講演の女性の同時通訳者は凄かった。ロシア語通訳の故米原万里さんもこんな仕事をしていたんだとか、パリで客死した哲学者の森有正さんを思い出していた筆者である。

  1. 昔、昔の少年。

    世界中での政治的動きは活発ですが、何一つ解決されない根底には領土の奪い合いがありますね。そのほかには宗教の違いが発端となっている事も。強国が陰で支援している場合も多いので一層複雑な情勢ですね。国連も自国主義の集まりでは何も進展しないでしょう。領土を奪ったり、派閥による人払いで難民を他国に追いやったり、大量殺戮をしたり、第一次世界大戦終結から100年経っても破壊主義は無くなるどころか再燃しています。この状態がいつまで続くのか?それとも更に拡大して近々我々のすぐ身近なところまで及んでくるのか不安な世界情勢ですね。我が国も憲法改正が、右に舵取りの起爆剤にならなければ良いのですが。

    • まったく、昔の少年さんと同じ考えの人は世界中にたくさんいますが、いかんせん、政治力や影響力が少ないのではがゆいところです。何でも自国一番主義から戦争や紛争が起きていることを考えると、思想的にも宗教的にも『河島エイゴ』の曲にある『自分のことは後回しにする』お隣りファースト思想が未来の人間をつくる思想になりえますがいかがでしょうか?ということは新しいホモサピエンスにならないと絶滅危惧種の人類ですね。

  2. お昼休みの使者

    素晴らしい講演ですね。それが読めるのもありがたい。
    「緊張みなぎる世界」とは本当にそうですね。デジタルが国境無き世界を創り上げてきた反面で、
    ‟富むものは富む”が加速してしまうのはとても悲惨に感じます。
    キリスト教ではありませんが、今一度、世界で「隣国ファースト」を実施してはどうでしょうか?
    自国のように隣国を扶助する、そうしてその隣国が隣国を・・・・・・簡単な話ではありませんね。
    かくいう私も身近でやっているか?と反省しています。

    • 自国がまず隣国に助けられて、それで隣国を助けるという順番もありますね。自国のように隣国をとするとキリがないようなところにいって、隣にいかない気もします。物欲はキリがありません。家電や車、スマホ新機種、ファッション、旅行、泊まるホテル、時計、住宅、マンション、料理、異性に貢ぎなど大昔から物は違えど変わりません。そうそう通帳でトランプして満足しているおばあちゃんも身近にいました。ここまではお金に関することですが、隣の国の言葉を学ぶ、歴史を知る、友達をつくり困ったことあれば助ける、それは勉強と心がけでできることですね。公共のテレビがあるわけですから、もう少し賢い国民にさせるための努力をテレビはしてもいいのではと思います。すべて受験勉強漬けにした反動で学生はじめ若い人が、社会にソッポを向いてしまったのかもしれません。人生、生涯、勉強なんですがね。定年なんてないんですが・・・。

  3. 「♪オレの話を聞け!5分だけでいいから~」って歌がありましたが、国民の声や世界中の人の声を5分でいいから聞いて物事を決めるのはどうですか?もちろん要点だけの集約ですが、世論調査もいいですが、生の声、今現在の声えを聞けば、概ね答えは出るのではないですか。もちろんネットを駆使しての作業ですが。もしかして悪い考えを起こしてボットを使う事も考えられますが、その辺がクリアになれば何でも一部の人間だけで決定する危険性はなくなりますね。

    • 4年や6年に1回の選挙では民意は反映されないですね、毎日変わるわけですから。『おれの話を聞け』をメディアがそのまま流さずチェックが入る危険ありそうですね。アメリカの選挙は投票をごまかしているということだし、スコットランドのイングランドからの独立も不正な選挙(カメラ映像が残っている)だしね。人相や声の悪い政治家ばかりでテレビは見ないほうが賢さを保てますよ。テレビという電気紙芝居ももう少し、賢い市民や町民をつくるための箱になってほしいですね。メディアがまず、市民の声を拾い伝える役割をしないといけないと思いますが。

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