私たちの世界はいつのまにか、先読みテクノロジーに囲まれている。先読みテクノロジーは筆者の造語ではあるけれど、企業は、より早く、大量に消費させるために、テクノロジーを駆使して”期待感”をあおり、快感をもたらすべく競い合っている。無防備な消費者は、日々『自滅的な誘惑』にさらされている、『依存症』という習慣を身に着けつつある。スマホ、クスリ、アルコール、賭博、オンラインゲーム、小金借り、買い物など、ぎくしゃくする人間関係、進化し過ぎて使いこなせない大量の新製品。相変わらずのストレスまみれの社会で、不安と戦い、みずからの感情をコントロールしようともがくうちに『こっちにおいでよ、これを使えば楽になるよ』とささやかれて、気分のいい方を選択している。


第二回は、『社会は私たちを廃人にしたがっている』である。iPoneいじりとテレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティー』に出たマグノリアという店が流行らせた甘すぎるスイーツに見る病みつきビジネス。これにバイディコンという麻薬性鎮痛剤のアメリカでの大流行について書かれているが、自分の気分を変えてくれる。あのシャーロック・ホームズも大事件がないと退屈で中国人の経営するアヘン窟に入り、アヘンを吸っている様子は廃人のようであった。快感へはゴー、行き過ぎるとストップを出せるのが大脳の基本的な働きだとすれば、依存症はゴー&ゴー。時間や周囲のあれこれを忘れさせる。


この本の著者は18歳からオックスフォード大学に入るもアルコール中毒で32歳まで苦しんだ。この章では、新たに物質依存(酒や麻薬)ではなくプロセス依存(過程を楽しむ依存)について書かれてある。ギャンブル(1000円が200万になった競馬体験者は競馬から離れられない)や電子娯楽(インターネットでのポルノ鑑賞やオンラインゲームなどで)で病みつきになるように仕組まれている。


iPone依存症もある。もともとMac信者はウィンドウズを使う人間を下に見る性癖がある。何かを作る(デザインする人たち)が多かった。マウスも綺麗で、ウィルス汚染も少なく、コンピューターの形もお洒落だ。そのお洒落さを取り入れてiPoneを作ったから、デザインもガジェットも病みつきになるよう設計されている。デザイン主導のアップル社である。さらに『アップル社は凄いという伝説も世界中に流れている』(映画まで作られた)から物を売るには後は『お洒落な、これはアップルらしい広告だとTVCMを流して脅かせばいいのである』。


すぐに気分を良くしてくれるもの=FIX=フィックスで私たちは振り回されている(この本の書名はTHE FIX)。 つくり手は買い手に『気分のいいものを即座に買わせ』ないとまたたくまに同業社にシェアを奪われてしまう。落ち着きのない世界であるから、クスリやアルコール、賭博、買い物や万引き依存も多くなる。情緒不安に陥り、気持ちの安定へと走る先に依存症が待ち構えている構図である。(第二章 おしまい)

第三章は、依存症は本当に病気なのか?~環境次第でだれでも依存者になり得る~

  1. 僕もApple依存症ですね。スマホもいつしかAppleのi Phoneです。他機種にはもっと薄く軽いものもありますが仕事で使う事が殆どですから、例えばI Phneのカメラで撮影すると自動的にデスクトップの i Macに飛んで保存されるなどMacを使えばi Phoneも買うと便利と言う一種の依存症ビジネスのモデルみたいなものです。例えばBMWを買えば、もう一台は同じエンジンのMINIにするとか購入パターンまでもメーカーのマーケティング戦略に乗っかってしまいます。それを自分の趣味嗜好と感じるか?、それとも依存症?と判断するかはその人の考えによるでしょうね。

    • 一番怖いのは軍事依存症ではないでしょうか?また、国会である嘘依存症も被害が大きい。年金の運用も大失敗で12兆円の赤字を計上で運用しないで置いておけばいいものを、投資会社・証券会社に素人丸投げ依存で、誰も責任を取らない『知らんぷり依存症』。アメリカの投資会社や証券はウハウハです。昔、パナソニックやトヨタの運用をして失敗したら、彼らは損失補てんを求めて成功しています。年金は税金なので『他人の金』。自分で稼いだ金と他人の金と同じお金ながら、扱いがこうも違う。バブル期の交際費を思い出します。交際費依存もはやりました。

  2. 世の中すべてのものを依存症ビジネスと位置づけるなら、邪道と言われるかも知れませんが、それを逆用する「逆手ビジネス」も成り立ちますね。マーケティング戦略に乗っかったと言う形で物を購入し、メーカーや販売店の仕事をいただくビジネスです。つまり購入物より数段高価なビジネスを獲得すると言う事です。何も持たない、何も買わない理想の暮らしだけでは現実社会のビジネスの観点からは何も起きませんからね。

    • 依存症にさせるのが、ビジネスモデルです。少年たちのカードゲームもそうで、(女の子ははまるひとが少ないのはなぜでしょうか?昨日、スーパーで小学生の男がカードを入れてポケモンゲームをしているのを後ろから観察していました。グレードアップさせて強くなるだけ。後ろで次に順番を待つ幼少の男の子もながめています。袋からいろいろなカードを出しては強くしています。ブックオフでも土・日だけゲーム大会をしていました。そのカードを売ってもいます。ビー玉やメンコと同じでしょうが、金かかりすぎです。世代を超えて戦ってましたよ。相変わらず、戦い依存症で勝つ依存症ですかね。

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