『ニューズ・ウィーク』11月8日号は、「自己啓発本は前向きになることが幸せな人生のカギだとうたうが、楽観主義を強要されて欝になるリスクもある」という記事を紹介。


実際、サブプライムローンに走り、自分の収入では返せないのに、いずれこの家の不動産価値が何倍にもなって必ず上がるから、そのとき売り抜ければ100%返せるし、それどころか大儲けできると考えた中流下層の人たち。さらにそのローンを証券化して最新の金融工学ではめ込んだ商品を作り、世界中に売り込んだウォール街。基本にあるのは「楽観主義」「ポジティブ思考」である。


いったい、いつからこのポジティブ思考の流行が世間をせっかんしたのか。いまや日本中、いや世界中でポジティブ思考の信仰告白合戦が何万回も会議室で、軍隊で、アスリートの間で、先生が生徒に繰り返し教えを垂れている。お笑いの世界でも多用される。『ポジティブ!!ポジティブ!!』と。


しかし、実態はどの世界でも幸せになってる人を見ていると、「好きだからやっている、人を助けようとしたら、結果、こうなった!」と正直告白する。「練習が好きだ」とか「虫を見ているだけで充実の時間を過ごせる」「顕微鏡で探していると見つかった」。好きなことをひとりコツコツやっていた。いい導師、指導者に巡り合ったが正解ではないだろうか。外からみてポジティブのように見えるだけ。ポジティブ思考の始まりは・・・・・


1952年アメリカで出版された「積極的な考え方の力・ポジティブ思考が人生を変える」は15ヶ国語に翻訳され売れた。1954年、メンタルヘルス面からアブラハム・マズロー「人間性の心理学・・モチベーションとパーソナリティー」の中で初めて「ポジティブ心理学」という言葉が登場した。「それまでの心理学は、ネガティブな側面ばかりに光を当ててきた(フロイトか?)、人間の潜在力や美徳に目が向けられていない」とマズロー。


それが、アメリカの大好きなビジネスやスポーツ界のサクセスストーリーに転化して言語化されたとき、有名になり金持ちになるということに変形し、成功要因を彼らが語るときにポジティブシンキングなる単語が一人歩きしたのかもしれない。企業の会議でも「相手の発言にネガティブな態度や発言は慎む」みたいな慣例が出てきたり(くだらない発言や内容はやはりくだらないし内容がないと言った方が筆者は好感持てるが)する。


しかし、どこの国や大都市でも「うつ病」が激増している。「ニューズ・ウィーク」にネガティブ思考いわゆる「防衛的悲観主義」が悪いことを回避する作用もあり、現実に出てきたマイナスの現実に対処できるのも大事なことであるからネガティブ思考の大切さを忘れてはいけないとコメント。


ポジティブ思考は、「次になんとかなるよ、次には値上げして損を挽回できる、競馬で万馬券当たればあっという間に損が吹き飛ぶ。何とか人生なるものさ」と楽観して、現実を直視しない。企業決算のごまかしも似たようなものだ。人生いつも前向きでは生きていけない。無理にそうしようとすると、自分の正直な感情に嘘をつき精神と肉体を病ませる。欝の増加とポジティブ思考は平行現象に筆者に見える。「ポジティブ病の国、アメリカ」という本もある。


今回、トランプが大統領になった背景に、ポジティブに疲れた労働階層の不安や闇あって、彼らがたくさん支持したとも解析できるかもしれない。

  1. 自分も或る意味ではポジティブ思考ですね。ロトのキャリーオーバーを見て窓口で買いたくなりますね。そればかりか、当選した場合の一覧表まで作っているくらいですから。

    • 私は毎日、200円のスクラッチを買ってます。そこの宝くじの叔父さんへお菓子を上げて『当たりくじください』と2年続けてますが当たりません。そのかわり余った湿布薬をくれるので、それが当選商品ということだと納得してます。

  2. 今朝の朝刊一面に「ゲーム障害」とありました。何でも33%の青少年少女が一日にゲームに費やす時間が記載されていましたが、身近な孫たちも同様なので気になりました。当然ながら学力や気力や行動に変化が著しく現れるとの事でした。ゲーム中は、ゲームの主人公になれて何かを支配するようなハイな気分になってしまうのでしょうね。プラス思考的ゲーム感覚と、戻った現実の世界のマイナス思考的ギャップに、抵抗を感じるのでしょうね。気分転換程度なら良いのですが、没頭してしまえば精神状態も不安定になってしまうのではないでしょうか。最近の犯罪と殺人ゲームとの関係については語られていませんでしたが、大いに関連性がありそうです。

    • ゲームはコントローラーで動かすわけで私もマリオやテトリスで遊んだ記憶があります。ストリートファイターやロールプレーゲームは面倒でやりません。本を読んでいる時間が貴重だからです。しかし、近所で孫の小2がニンテンドーのゲームに大量の時間を費やすことに危機を抱いてましたね。1時間という制限でも設けないとキリがないと。ゲーム脳がつくられるらしい。しかし、心臓外科医で腕のいい人は子供のころからテレビゲームが上手いと聞いたことがあります。私の心臓にステントを2本入れた主治医も医大のころゲーム大好き人間でしたよ。職人に会うかもしれません。デザイナーとか。

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