同じお金持ちでも違う雰囲気、その他。
8月21日から西洋骨董の仕事を手伝っているが、来るお客さんはもちろんお金持ちが圧倒的に多いけれど、私の知っているお金持ちたちとずいぶん違うなあというのがきょうのブログだ。
仕事で「株への投資セナー」や「純金への投資のセミナー」、「アパート経営セミナー」、銀行の株主総会を見学したり、どうも同じお金持ちでも参加者の雰囲気が違うという印象を強く持った。旦那さんが稼いだ・投資で稼いだ利益を奥さんが趣味の骨董で費消しているという解釈も成り立つが、夫婦連れ添うお客もいて、余裕と品・教養の香りがすることが多い。
札幌という街は、歴史も浅く、お金持ちの商人文化が育っていない。文化は商人が支えている部分が大きいので、「薪能と狂言」を何度かしたときもケットが売れなくて難儀した。1回目の公演は完売したのに、ほぼ同じ演目で3年連続開催したら、売れ残り多く「招待券」と赤のスタンプを押して配り満員感を出した。空席が目立たぬよう演者に配慮した。この業界ではよくあることだが。
骨董の世界は、一度凝りだすと、テレビ東京の「なんでも鑑定団」に出てくる人たちと似ているが、収集が終わらない。繰り返す。しかも男が多いが、西洋骨董は婦人客が約9割だ。椅子やテーブル、ステンドグラス、ランプ、レース、ブローチ類、ティーカップ、銀食器、蓄音機など日常生活で使うものなので当然かもしれない。ある人は、もう部屋に入りきらず、買いたいけど置き場所がないと言っていた。
しかし、長くこの空間にいると気持ちが落ち着く。オーク材でできた机に手を置きオールドチェアに座る。歴史に囲まれている、沢山の人に利用されて、なお健在でいまここにある安心感に包まれる。時間の止まる安らぎだ。ビジネスのパイプ椅子に40年も座っていたからね。
お金をどう上手に使うかは家族それぞれの文化かもしれない。これは親が子へ、子が孫へ伝えることだ。瞬間的に大金持ちになる博奕もあるが、持続的な文化形成に間接的に寄与するような落ち着きのある暮らしが、日本のあちこちであれば、もっと面白い国になると思った。
お店の中でいつもかけてるCDが「ノラ・ジョーズ」なので、私の趣味で「ロッド・スチュワート」の「Greate American SongBook」に変更してみた。彼も英国人だしね。バブル絶頂のころ、西洋骨董の世界でも同様に、社長の話では知り合いの骨董商が何人も破産していったと。しかし、一方で、日本中の生活保護世帯がまた増えている。ことしの5月末日現在、162万2525世帯、216万1422人。65歳以上の高齢者が半数で、9割が単身老人だと発表もあった。ほぼ同じ世代が、西洋骨董を買いに来る。どちらも現実だ。
昔の少年
英国の古き良き時代の調度品に囲まれたリビングのテーブル上の青磁のカップからゆったりと湯気の立つ紅茶と傍らにビスケット。読みかけの書物。ターンテーブルから流れるLP版の調べ。一日がゆったりと流れる空間。いつか体験したい想いを持ちながら違う現実に生きている。家庭空間デザインは家族の趣味が一致して初めて成り立つ。特に家庭内に居る時間が比較的多い女性の趣味の影響大だ。世の中には趣味や性格の一致した家庭もあれば、その逆のパターンもある。最近特に亭主関白がまかり通らぬ時代で、主義主張を前面に出すわがまま男性も少なくなった。骨董家具調度品が珍しいように。