2007年公開のコーエン兄弟の映画「ノーカントリー」で保安官役のトミー・リー・ジョーンズが漏らすため息のような科白だ。麻薬と金を巡るメキシコ国境の町で、殺人が次々起きる。仲間内の殺し合い、その金を拾った狩猟趣味の男、殺すことになんの疑問を持たない異次元の価値観を持つ殺人鬼(バビエル・バルデム)が、何もそこまでしなくてもいいのにという極限まで殺人が続く。どういうわけか異次元の殺人者は、どこかに逃げて生き延び、保安官は退官を決めると言う、全然ハッピーエンドではない映画だ。

ハッピーに終わらないある意味、気分が余り良くない映画を久しぶりに見た。後味が悪いが、たえずベトナム戦争に従軍したかどうかの確認が登場人物の口から吐かれる。凶悪犯もひょとして、ベトナム戦争に従軍して半分狂気の人格のまま生きている、それをコーエン兄弟は描いてるのかもしれない。高速道路の受付男も「ベトナム戦争従軍はどこの誰の大隊で」と聞く。答えると通してくれる。

この悪役(バビエル・バルデム)が実は007「スカイフォール」の中でMI-6の有能であるが上司から裏切られてその復讐を果たすシルヴァという役だから演技も凄い。獰猛な迫力があって、私は「ノーカントリー」では座布団を被りながらの鑑賞であった。チッキン鑑賞。法も何もあったものではなくて、彼自身の決め事が法律である、彼自身が国家であるような生き方。サイレンサー付きの銃でバンバン人を殺す。金と銃と麻薬がすべてのメキシコ国境だ。コーエン兄弟も自作で一番、暴力的な映画だとも言っていた。

映画の話は、この辺でおしまいにして、表題の「敬語」についてだ。血なまぐさい映画なので、「敬語が使われなくなった国はおしまいだね」にはリアリティが桁違いにある。敬語の基本は、ご存知のように相手の存在を敬う態度・言動なので、突然、銃や刃物で殺されたり、爆撃機で爆死・重傷を負ったり、自爆テロで巻き添えを食って死傷したり、信号無視の車にはねられたり、国会の委員会で野次を次々飛ばしたりする人たちが増えてくると、コーエン兄弟の「ノーカントリー」という映画が現代によみがえり、敬語なんて無い乱暴な、暴力的な人生観が地球を覆っているように見えるのは私だけだろうか?

そういう観点から、アメリカの共和党のトランプ次期大統領を巡る、口汚い非難の応酬は、言葉遣いは「ノーカントリー」の映画を再演している。やりたいできるかどうかは別にして、やりたい放題、言いたい放題だ。文明国家だけど文化国家ではない。それにしてもこの国のジャーナリストの層の薄さはどうしたのだろうか。週刊文春の芸能ネタにやられっぱなし、それを追いかけるだけのテレビ局哀れ!!テレビ局の報道部に自前の反骨な記者はいないのだろうか?

  1. 全てはビジネスライクですね。敬語も礼節も金次第で番組もその内容も提供スポンサーに寄り添った編成ですから、関係者も下手こいたら落されるか飛ばされるか業界から消されるかですから、怯えながらへつらいながらの表現は銃こそなくても、それと同じような世界ですね。無難な表現には独自性よりもコピー記事やコピー番組が手っ取り早いし、他がやって居れば半ば安心と言う訳ですね。誰それも言っているので?と逃げられますからね。『どこどこで?聴いた』『誰誰も言っていましたが』『今流行っているので』『今世間の話題は』『〇△大学の教授がも言っているので』と・・・。そして最後に『知らんけど?』と逃げますね。

    • 昔のテレビ番組は批判力ありました。笑点見ても、志村けんのだいじょうぶだが政治や社旗風刺ありますね。笑いの基本が反骨ですから。いまはヘツライです。となりの局の物まね。安倍晋三時代、高市総務相時代の政治批判ひどいと免許取り消しの脅しがいまも効果を発揮しているわけで、立花タカシは、ノーカントリーを地で生きているようなもので、いまに塀の中に落ちますね。

  2. 敬語は相手を敬ってこそ自然に使われるもので、敬われていない相手から使われても意味は無いですね。一般的にお客様扱いの場面での敬語は単なる表敬事例ですから敬語と言うより一般マナーでしょうね。しかし、それさえ無くなれば『オイ!オマエ!』と成りますが、さんまの運転手をしていたジミー大西が師匠のさんまに『オマエ頑張れよ!』と言われ『オマエもな!』と返し、師匠のさんまもその即答の意外性に怒るどころか大笑いのネタにしたほどですね。この場合は、絶対服従の師弟関係において禁句とも言うべき事を当時お笑いの世界に足を入れかけた異端児ジミーだからこそ自然に出来た事で、普通の社会では有り得ないだけに返された師匠にはショックと同時にお笑いネタとして捉えられ言い伝えられた事例ですね。これが一般社会人の会話なら笑うどころか激怒され兼ねませんからね。

    • どんな人でも敬語、丁寧に受け答えする習慣があれば大丈夫だと思います。まずは家庭の中から敬語使うようにするといいかもしれません。ありがとうと感謝ですね。それは世界中で使えますよ。人間の基本的な人権に基づいているわけですから。

  3. 最近、昭和世代には理解できない事ばかりです。お金欲しさに知らない指示役が仕込んだネット犯罪に応募した闇バイトの若者たちが見知らぬ同士、皆でやれば怖くないとばかりリストアップされた高齢者宅に侵入し殺人まで犯して強奪とか?まるで犯罪映画顔負けの乱暴な手口ばかりがニュースになっています。犯罪と言えば、毎日来る詐欺メールや電話での儲け話の勧誘で数億円もの投資詐欺被害。他人を見たら泥棒と思えとさえ言える社会現象ですね。一方、世界はと見れば各地での戦争とキナ臭いニュースばかりですね。下手すれば一触即発で世界戦争にも成り兼ねないですね。これまでの戦争もお互いの言葉(外交会話)が原因とも言えますね。会話から口喧嘩、そして暴力による実力行使へとエスカレートします。お互いを敬い言葉には細心の注意が必要です。

    • スマホで10秒でお金を貸してくれる無審査ローンが流行ってます。これで借金をつくると返済のためにまた別ローンから借り、結果、借金まみれで1発大儲けをねらうわけですね。大学生の30%くらいは卒業時300万円くらいの有利子負債があります。給与のいい勤め先なら払えますが、アパート代や通信費、高い食費で暮らすだけでも大変な世の中。早く親にSOSをだせば防げた犯罪も多いと思いますね。ヤクザのしのぎのために作られた組織犯罪ですから、そのトップを崩さないとなくなりません。楽に金を稼ごうという風潮、株や証券、ビットコイン。最初はもうかり、次は破綻や地獄です。金融の人たちも狂いだしています。美輪明宏さん曰く,腹6分で満足すればそこそこ幸せな人生になると思うのですが。

  4. 新聞がTVが衰退の一途をたどっている?と言うのには理由があって、これまで殿様商売よろしく独裁的とも言える態度で特別意識がありましたね。新聞社へ送稿に行った若い頃は、ツマラナイ事で揚げ足を取られて随分いじめられましたから、新聞社に行くのが嫌で嫌で仕方が無かったものです。広告会社はTV局もラジオ局からも高いところから見られていました。また独自の企画を横取りされた上に何の見返りどころか一切取引さえも途絶えました。こんな高慢な態度が長く続きましたが、ネットの台頭で一瞬にしてその地位もすっかり奪われてしまいましたね。でもここで旧メディアもアイディアを出せば良いものをネットに迎合する様になりました。元々性質の違うメディアですから、それぞれの特長がある訳ですから、その得意分野を生かした新たな形を模索すれば、未だ未だ有効なメディアとして生き返ると思いますよ。ただ今まで通り胡坐をかいて高みの見物では望みは有りませんが、求められている情報を如何に届けられるかが課題でしょうね。

    • ネットのニュースも借り物ばかりですから、報道記者がいるわけではなくて、安いお金を新聞や週刊誌やTV局に支払いして買っている構造で成り立っています。記者の人件費節約です。偉そうにするのは、いわゆる媒体ですね、威張り癖の取れない集団ですが、有能な人はきっとどこかに隠れていますよ。私は10代、新聞記者になりたかった。それがいまのブログにつながってるような気がします。新聞社で威張る人、劣等感の強い人に多かったですよ。整理とか媒体ですね、そして校閲。出世競争ばかりしていました、そこからはみ出した人たちです。弱いものイジメの世界です。

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